【映画評】異聞猿飛佐助 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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関ヶ原の戦いを経て、時代が豊臣から徳川へ移り変わろうとしている頃、真田幸村に仕える猿飛佐助は、徳川方の郡山帯刀が豊臣側に寝返ろうとしていることを知り、いつしか双方の争奪戦に巻き込まれていく羽目に……(DVDジャケットより)。1965年公開作品。監督は篠田正浩で、出演は高橋幸治、吉村実子、渡辺美佐子、佐藤慶、岡田英治、丹波哲郎、石原慎太郎。
 
現在、NHK大河ドラマ『真田丸』が放送中ということもあり、本作を選びました。本作の真田幸村と猿飛佐助は、講談や小説で用いられた名前です。実際は真田信繁であり、佐助は架空の人物という『真田丸』の方が史実に沿っています。
 
豊臣と徳川の対立構図は、製作当時の米ソ冷戦構造を取り入れたものです。クールな平和主義者である佐助(高橋)の姿は、当時の若者像を反映したものでしょう。シラケた態度の佐助が、やがて刺客と戦うことになるのは、若者に社会への抵抗を喚起するメッセージのようです。“松竹ヌーベルバーグ”の一人、篠田監督らしく、単なる娯楽映画にしていません。
 
前述のとおり、猿飛佐助は講談や小説に登場する架空の人物なので、真田十勇士の一人として、ファンタジックな忍術を駆使するイメージが一般的でした。それを現実離れしていない、リアルなタッチで仕上げたのが、篠田監督の挑戦です。しかし、あまり奏功しているとは言えません。何となく盛り上がりのない平板な出来になっているような気がします。映画として面白くするなら、多少の嘘を盛った方が良かったかもしれません。
 
また、特別出演している石原慎太郎の扱いは、どうにかならなかったのでしょうか。“天才”的な演技をしろとまでは言いませんが、『からっ風野郎』の三島由紀夫のように下手でも演じようとする熱意はなかったのかと。これで特別出演というのは……(映画界の慣習として、「特別出演」は通常の相場より高いギャラで、「友情出演」は安いギャラで出演することを言います)。
 
★★☆☆☆(2016年4月25日(月)DVD鑑賞)
 
篠田正浩監督の時代劇では、『心中天網島』が好きです。
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