【映画評】ウディ・アレンの夢と犯罪 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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ホテルへの投資で成功を収めようする野心家の兄イアンと、酒とギャンブルを愛する気ままな弟テリーは、それぞれの理由で経済的に追い詰められていた。そこに資産家の叔父が現れ、資金援助を条件に元同僚の暗殺を依頼してくる(映画.comより引用)。2010年日本公開作品。監督はウディ・アレンで、出演はユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ヘトリー・アトウェル、サリー・ホーキンス、トム・ウィルキンソン。
 
ウディ・アレンのロンドン三部作の最終章。『マッチポイント』同様、笑いの要素が少なく、暗い結末になっています。2007年製作でありながら、日本公開が3年も遅れたのは、そのシリアスさが理由でしょうか。ユアン・マクレガーとコリン・ファレルという人気俳優が主演しているのに、もしかしたら日本未公開作品になったかもしれません。
 
アレン監督作品にしては珍しく、オリジナルスコアを使用しています(音楽はフィリップ・グラス)。アレンが出演していないことも含めれば、異例のアレン作品とも言えます。
 
原題は『Cassandra's Dream(カサンドラズ・ドリーム)』で、これはイアン(マクレガー)とテリー(ファレル)が共同購入するクルーザー船の名前です。船名に「夢(Dream)」の文字が入っており、劇中でも登場人物が夢について言及するシーンがあります。
 
しかし、本作で見せるのは楽しく明るい夢ではなく、人生が転落していく悪夢です。いや、夢というより残酷な現実です。窮地に陥った兄弟の悲劇が、あっけない幕切れで終わるのも現実的です。
 
結局、夢というのは小舟のように頼りなく、儚いものだということが、「夢」と名付けられたクルーザー船のラストショットに象徴されているのです。
 
★★★☆☆(2016年3月15日(火)DVD鑑賞)
 
「酒、博打、女は身を滅ぼす」のは万国共通の道徳なのでしょうか。
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