
ひょんなことから拳銃を手に入れたしがないチンピラが、世界を相手に孤独な戦いを挑んでいく(映画.comより引用)。1978年公開作品。監督は石井聰互(現:岳龍)で、出演は志水正義、八谷富夫、樋口享、土方鉄人、泉谷しげる。
若き日の石井監督によるインディーズ映画です。後の『シャッフル』でも見られる疾走感が、本作でも見ることができます。演者を走らせることで疾走感を出すという演出は、後の世代のインディーズ映画にも模倣され、塚本晋也や園子温の作品でも見ることができます。
インディーズ映画は低予算なので、大掛かりな道路封鎖はできません。だから、街頭での追跡シーンやカーチェイスは、ほぼ無許可のゲリラ撮影に近く、街中の人々のノーリアクションぶりが、却って生々しさを強調しています(人間は目の前で凄いことが起こっても、芸人みたいに大げさなリアクションは取らず、呆然とすることが多いです)。
警察に追い詰められたチンピラたちは、幼稚園に立て篭ります。おそらく休日の幼稚園を借りたのでしょう。低予算ですからね。園児がいないのが幸いで、もし園児がいる状態なら、『高校大パニック』ならぬ「幼稚園大パニック」になっていたでしょう。
それにしても、石井監督には予知能力でもあるのでしょうか。本作では、博多の暴力団抗争が描かれていますが、近年、北九州市で工藤会絡みの抗争事件がありましたからね。また、チンピラの仲間にナチス信奉者の知恵遅れがいますが、これは「ナチスに見習え」などと発言する奴はバカだというメッセージでしょうか。その発言をしたのは、福岡選出の元総理で現財務大臣ですけどね。
★★☆☆☆(2015年12月1日(火)DVD鑑賞)
泉谷しげるが暴力団組員役で出演し、ちょっとだけ暴れます。