アンジーが不屈の米空軍パイロットの実話描く監督第2作、16年2月公開
[映画.com ニュース]女優アンジェリーナ・ジョリーの監督第2作「Unbroken」が、「不屈の男 アンブロークン」の邦題で2016年2月に劇場公開されることが決定した。
ローラ・ヒレンブラント氏のノンフィクション「Unbroken:A World War II Story of Survival, Resilience, and Redemption」を原作に、第2次世界大戦で日本軍の捕虜となり、2年におよぶ収容所生活を生き抜いた元オリンピックアスリートで米軍パイロット、ルイ・ザンペリーニの半生を描く。
ジョエル&イーサン・コーエン兄弟らの脚本、名撮影監督ロジャー・ディーキンスによる映像で映画化され、第87回アカデミー賞で撮影賞、録音賞、音響編集賞にノミネートされた。ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソン、ギャレット・ヘドランド、フィン・ウィットロックに加え、日本からは“サムライギタリスト”として知られるミュージシャンのMIYAVIが参加している。
米空軍パイロットのザンペリーニは、ベルリンオリンピックで陸上競技5000メートルに米代表として参加した元アスリート。第2次世界大戦時、パイロットとして戦場に出るが、爆撃機が海に墜落。47日間もの漂流、日本軍の収容所での虐待という過酷な運命が待ち受けていた。ポスタービジュアルでは、主演のオコンネルが“不屈”を想起させる力強い眼差(まなざ)しを浮かべている。
日本を舞台にしており、「戦争を描くいろいろな形の映画があるべき」「戦争を背景に一人の男に降りかかる苦難を不屈の精神で生き抜く様を力強く描いたドラマ」であることから、製作ユニバーサル、配給ビターズエンドが公開に踏み切った。「不屈の男 アンブロークン」は、16年2月に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で公開。
転載元:映画.com
【ここから私の意見】
以前「反日招く?旧日本軍描いたアンジー監督の米映画」と当ブログで記事にした、アンジェリーナ・ジョリー監督『不屈の男 アンブロークン』が日本でも公開されることになりました。
本作が反日映画であると週刊誌(週刊文春)報道があったことで、映画を観てもいないネット右翼が騒ぎ出し、トラブルを恐れた映画会社が公開を見合わせていました。やっとのことで本邦初公開されます。
最初に公開されるのは、東京都渋谷区にあるシアター・イメージフォーラムです。興行上、問題がある作品は、この映画館で公開されることが多いです。何故なら、シアター・イメージフォーラムは、イメージフォーラム映像研究所というアート映画学校の併設機関であり、映画業界の縛りを受けないからです。
一般の映画館は、映画倫理委員会(映倫)の審査を受けた映画しか上映してはならないことになっています。法令があるわけでなく、あくまで映画業界内の決め事です。しかも、映倫審査には審査料金も取られます。イメージフォーラム映像研究所で制作された作品は、アートの追求を目的としており、商業性を重視しません。それでも作品を評価するためには、スクリーンで上映し、観客の反応を見る必要が生じます。もし一般の映画館で上映するとなれば、事前に審査料金を払わなければならず、また映倫審査で不合格だと上映できないことになります。アート映画の場合、予算が潤沢にあることはなく、倫理上問題のある表現でも、アートの追求のためなら敢行します。そのため、映倫審査を受けないアート映画を上映するための映画館、シアター・イメージフォーラムが必要になるのです。
本作が倫理上問題のある作品かは分かりません。しかし、シアター・イメージフォーラムなら、興行性や商業性を重視する一般の映画館と異なり、ネット右翼からの抗議や嫌がらせに対し、表現の自由を守るため、戦ってくれるでしょう。
これで日本でも本作を観る機会を確保することができました。ネット右翼の方も、そうではない方も、身銭を切って作品をしっかりと鑑賞した上で、自由な論評を発表することができます。噂どおりの反日クソ映画だったら、ボロカスに叩けばよく、戦争の真実を描いた傑作だったら、賞賛の声を上げればいいのです。ただし、その論評によって評者自身の知性と感性と品性が暴かれることは覚悟したほうが良いでしょう(右も左も)。
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