捕鯨映画に賛否 モントリオール映画祭
【モントリオール=共同】和歌山県太地町の捕鯨を肯定的に取り上げたドキュメンタリー映画「Behind“THE COVE”」(ビハインド・ザ・コーヴ)が七日、世界映画祭が開かれているカナダ東部モントリオールで上映された。賛否が分かれる捕鯨問題だけに、観客からは「勇気ある製作」との声が出た。「不公平なプロパガンダ」という非難もあった。
捕鯨を批判し、米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した米映画「ザ・コーヴ」を念頭に製作された。上映後の質疑で監督の八木景子さんは「日本人は(批判されても)言い返さないが、発信すれば理解してもらえる。食文化や宗教の違いを理解しないと戦争はなくならない」と述べ、異文化の尊重を求めた。
約二百人が入る映画館は八割近くが埋まった。八木さんは太地町に長期滞在し、自分で撮影した。捕鯨に批判的な米国やオーストラリアと日本が戦った太平洋戦争などの歴史的背景も加えた。
最初に質問した現地の女性は「正しく描かれていない」「イルカとクジラは違う」ととげとげしい口調で批判した。八木さんが説明中に会場を後にし、他の観客からは「失礼だ」との声が聞かれた。それ以外はおおむね好意的な反応だった。
地元の日本人ジャーナリスト関陽子さんは「熱意や勇気が伝わった。歴史的な説明もあり、面白いと思った人が多いのではないか」と語った。
七日の映画祭授賞式で、日本から出品した作品への授賞はなかった。
転載元:東京新聞
【ここから私の意見】
「Behind“THE COVE”」がモントリオール世界映画祭で上映され、観客に問題提起したのは良いことです。日本や外国で上映する時に、上映中止運動が起こらなければ、なお良いのですけど。
本作の前提として、反捕鯨映画『ザ・コーヴ』があります。これがヤラセと盗撮で作られたプロパガンダ映画のくせに、第82回米国アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞しました。アカデミー賞などハリウッド業界人が内輪で決めるものなので、政治的バイアスがかかるのは、よくあることです。現に『ザ・コーヴ』が高評価を得て受賞しているのは、大半がアメリカ国内の映画祭ですからね。
本作に対しては、好意的な反応もありながら、やはり厳しい非難の声もありました。しかし、それで良いのです。映画で批判してきたら、映画で反論すれば良く、それを通じて議論が活性化すれば、現実問題にも少なからず展開が生じるでしょう。非難の声を怖がって、ダンマリを決め込むのが一番良くありません。
国会の審議から逃げて大阪のワイドショーやバラエティ番組を優先させ、政策論議を恐れて多勢に無勢の陰湿イジメ作戦で総裁選無投票当選を果たした、議論ができないオツムの総理大臣なんかには、死んでもなるものではありません。