
財政難に陥ったフリードニア共和国は富豪のディスデル夫人の援助なしには立ちゆかないが、彼女は愛人のルーファスが宰相になるのを条件にそれを承諾。この政変の隙に隣国の指導者トレンティノはフリードニア乗っ取りを企み、チコリニとピンキィのスパイ・コンビを送り込むが、そのチコリニが陸軍大臣にされ、トレンティノ自ら乗り込んで夫人との政略結婚を狙うのだが……。(Yahoo!映画より引用)。1933年アメリカ公開作品。監督はレオ・マッケリーで、出演はグルーチョ・マルクス、ハーポ・マルクス、チコ・マルクス、ゼッポ・マルクス。
マルクス四兄弟出演のコメディ映画です。舞台転換がそれほど多くなく、ミュージカル・シーンが挿入されるので、映画というより舞台に近い感覚です。
ルーファスを演じるグルーチョの話芸、というか屁理屈は、ウディ・アレンのそれに影響を与えていると言われています。確かにヒネクレた感じは似ています。二人ともユダヤ人であり、アレンが先達の芸風を真似たとも言えます。
個人的には、ハーポの「ひたすらに無言でボケ続ける」芸が好きです。ストーリーに関係なく、ハーポは他人へのイタズラをかまし続けます。しかも、サイレント映画ではないのに台詞無しです。何のためのトーキーなのかと。
本作が「アナーキーなコメディ」と評される理由は、観ると納得できます。マルクス兄弟の笑いは、ストーリーに関係なく、ただやりたいからやるという衝動に貫かれているように見えるからです。チャールズ・チャップリンのヒューマニズムな笑いとも、バスター・キートンの体を張った笑いとも異なる、彼ら一流の笑いを確立しています。
★★☆☆☆(2015年6月19日(金)DVD鑑賞)
マルクス四兄弟とカール・マルクスに血縁関係はありません。