
30年代から50年代にかけて活躍した伝説のジャズ・サキソフォーン奏者チャーリー・“バード”・パーカーと、彼の妻チャンの生涯を描く(映画.comより引用)。1989年日本公開作品。監督はクリント・イーストウッドで、出演はフォレスト・ウィテカー、ダイアン・ヴェノーラ、マイケル・ゼルニカー。
本作でのパーカー(ウィテカー)の演奏シーンには、パーカー本人が演奏した音源が使用されています。ジャズ愛好家のイーストウッド監督のこだわりです。
ところで、イーストウッドとウディ・アレンは意外と共通点があります。ジャズ愛好家、派手な女性遍歴、批判的な眼差し、本国以外でも高評価という点です。キャラクター的には『ドラえもん』のジャイアンとスネ夫ぐらい異なる二人なので、ちょっと不思議です。
話を本作に戻します。本作は音楽映画と言っても、心弾むような陽気なシーンより、心沈むような陰気なシーンが多いです。宙を飛ぶシンバルのカットが何度も挿入され、それはパーカーにとって暗闇の過去を表しています。その過去と、次々と降りかかる不幸から、パーカーは酒とドラッグに溺れます。それによりパーカーには死の影が付きまとい出します。そんな映画が陽気になるはずがありません。
天賦の才能あるパーカーは体をボロボロにして夭折します。本作はパーカーに格好悪い死に様を用意します。そこにイーストウッド監督の冷徹さや残酷さ、もっと言えば「神の視座」を感じます。
★★★☆☆(2015年5月20日(水)DVD鑑賞)
イーストウッドは自作で映画音楽も手がけるほどです。