<ロマンポルノ>日活が完全オリジナルの新作製作、来年公開
1970、80年代に挑戦的な性の表現で一世を風靡(ふうび)した成人映画「日活ロマンポルノ」が復活することになった。日活が1日明らかにした。完全オリジナルの新作を製作し、来年公開を目指す。同社は「パソコンやスマホで簡単に入手できるわいせつな情報にロマンはない。性表現が二極化する中、男女が等しく楽しめる『娯楽』として新しいロマンを生み出したい」と狙いを語る。
ロマンポルノ路線はかつて、経営危機に陥った同社が生き残りをかけ打ち出し、約17年間に約1100本が世に出た。低予算ながら自由度が多く、実験的な作品が多く生まれた。周防(すお)正行、滝田洋二郎、根岸吉太郎さんら現在の日本映画を代表する監督を輩出。宮下順子、美保純さんら多くのスターを生んだ。
2012年に特集上映した際は女性専用席を設けるなど、新たな客層の開拓に努めた。製作45周年にあたる来年以降、新作に加えて旧作を上映して市場の活性化を目指す。同社は「女性を美しく描く側面に注目し偏見をぬぐう努力をしてきた。海外展開も視野に入れたい」と話す。
観賞はこれまで「18歳以上」と制限されてきたが、既に「恋人たちは濡(ぬ)れた」(神代(くましろ)辰巳監督・73年)など旧作2作が映画倫理委員会(映倫)の再審査で「15歳以上」に指定が緩和されるなど、時代状況も変化。新作は18歳以上とするが、今後も旧作の再審査を求めていくという。【最上聡】
ロマンポルノ路線はかつて、経営危機に陥った同社が生き残りをかけ打ち出し、約17年間に約1100本が世に出た。低予算ながら自由度が多く、実験的な作品が多く生まれた。周防(すお)正行、滝田洋二郎、根岸吉太郎さんら現在の日本映画を代表する監督を輩出。宮下順子、美保純さんら多くのスターを生んだ。
2012年に特集上映した際は女性専用席を設けるなど、新たな客層の開拓に努めた。製作45周年にあたる来年以降、新作に加えて旧作を上映して市場の活性化を目指す。同社は「女性を美しく描く側面に注目し偏見をぬぐう努力をしてきた。海外展開も視野に入れたい」と話す。
観賞はこれまで「18歳以上」と制限されてきたが、既に「恋人たちは濡(ぬ)れた」(神代(くましろ)辰巳監督・73年)など旧作2作が映画倫理委員会(映倫)の再審査で「15歳以上」に指定が緩和されるなど、時代状況も変化。新作は18歳以上とするが、今後も旧作の再審査を求めていくという。【最上聡】
転載元:Yahoo!ニュース(毎日新聞)
【ここから私の意見】
私はロマンポルノ直撃世代ではないので、観たことがあるとしてもビデオかDVDによってです。当時の映倫審査では成人指定(R-18)でしたが、現代の基準ならば、R-15やPG-12になりそうなエロさです。旧作の再審査を求めるべきでしょう。映画として観られるべき作品が多々ありますから。
本件についてのマスコミ記事やネット上の声を読むと、ツッコミを入れたいものがあります。若い世代に多いのは、ロマンポルノとアダルトビデオ(AV)の混同です。確かに「実用性」を考えれば、同じジャンルでしょうが、前者はあくまでも映画です。簡単に言えば、ロマンポルノは「擬似原則で本番例外の劇映画」で、AVは「本番原則で擬似例外のドキュメンタリー」です。監督や俳優に求められる演出(演技)スキルが異なります。もっとも、実相寺昭雄のように映画監督がAVを撮ったり、平野勝之のようにAV監督が映画を撮ったりという越境現象はあります。
次にロマンポルノとピンク映画の混同があります。どちらも映画ですが、ロマンポルノはメジャー映画会社の日活が製作している点で、予算や撮影規模が大きいです。ピンク映画は、(旧メジャー映画会社の新東宝もありますが)独立プロダクションの製作なので、予算や撮影規模は小さくなります。音楽業界におけるメジャーレーベルとインディーズレーベルの違いと似ています。上記の記事で引っかかるのは、周防正行や滝田洋二郎はロマンポルノというよりピンク映画出身ではないかということです。マスコミも混同しているのでしょうか。
最後にロマンポルノ内でも前期と後期で違いがあるということです。ロマンポルノに方針転換した当初の日活だと、スタッフも俳優も一般映画の経験があり、また予算もスタジオも一般映画並みに使えたので、映画らしい華のある作品を作れたりしました。しかし、日本映画界全体の斜陽化に伴い、ロマンポルノも規模縮小化し、華がない、貧乏臭い作品が増えたのは事実です(それはそれで良い映画なのですが)。ピンク映画出身の周防や滝田、自主映画出身の森田芳光が参加したのは、この時期のロマンポルノです。ロマンポルノと一括りにできないものがあります。
こうした歴史がある中、日活は新時代のロマンポルノを創造できるのでしょうか。新作には第一線で活躍する映画監督を起用するらしいです。ポルノ映画未経験のメジャー監督に撮らせるという実験精神があれば、新時代を開拓できるかもしれません。しかし、日活出身の金子修介や中田秀夫を起用となると、ちょっと疑問符が付きますけど(両監督への悪意はありません)。