2010年12月25日(土)、千葉市民会館小ホールで開催された「ちば映画祭vol.3 GO!GO!ガラパゴス化計画」に行きました。

この頃の私は、高崎映画祭やカナザワ映画祭など各地の映画祭巡りが趣味でした。当時住んでいた千葉県に映画祭はないかと調べていたら、ちば映画祭を見つけたのです。
まだ3回目の開催で、若手監督の自主映画中心の上映プログラムです。2013年の本格的開催までの「助走期間」という触れ込みです。いいじゃないですか。何事も最初はショボいものです。それが育って大きくなっていくのを見る楽しみがあります。「所詮千葉だから・・・」などと冷笑する奴は、笑わせておけばいいんです。そんな奴はどうせ一歩も踏み出すことなく、何も出来はしないのですから。
この回のお気に入り作品は『ハッピーエンド』です。

映画オタクの桃子は、日々裏寂れたレンタルビデオ屋で映画をレンタルしては観るのが趣味。しかし、ラブコメだけは毛嫌いしており、レンタルビデオ屋の店長・黒田にもそれをたしなめられる。そんなおり、身の回りになぜか次々と「ラブコメ」的なことが起こりだし、勤め先の図書館に現れる男性・村上に急接近する桃子。戸惑う桃子を最初はバカにしていた黒田だったが、次第に乗り気になって行く彼女に対して複雑な想いを抱き始め・・・。東北の雄大な自然風景を一切収めない、わかる人にしかわからないオール山形市内ロケ(ちば映画祭vol.3上映作品一覧より)。監督は山田篤宏で、出演は菜葉菜、長谷川朝晴、河合龍之介、広田レオナ。
映画オタク女子(しかもホラー系)の菜葉菜が、ラブコメ的展開(本棚で同じ本を取ろうとして手が触れ合うとか、歩いていたら曲がり角で偶然ぶつかるとか)に動揺する様子が微笑ましく、面白いです。
本作は、山田監督が第3回山形国際ムービーフェスティバルにおいてグランプリを受賞し、そのスカラシップ作品として製作されたことから、山形市内ロケが条件とされました。しかし、「どこの町にでもある話」にするため、意図的に山形らしさ(東北らしさ)を消しています。どこの町でも成立する話なのに、山形の風景を収めた『おくりびと』と逆のアプローチです。ストーリーと同様、変化球的なアプローチです。
山田監督はニューヨーク大学映像学部映画学科で学び、本作は海外の映画祭にも招待されたり、受賞したりしています。アメリカの知人からリメイクの話もあったそうです。ちば映画祭上映作品が米国リメイクなんて、夢のある大きな話じゃないですか。実現してほしいものです(★★★☆☆)。
☆ちば映画祭ホームページ http://www.chibaeigasai.com/
『ハッピーエンド』はDVD化されています。