安倍晋三首相の農協改革は本気のようです(Yahoo!ニュースより)。何しろ「60年ぶりの農協改革」です。統一地方選で地方農協の反発を食らいそうですが、それでも改革に邁進するのでしょう。
改革と言えば、小泉純一郎元首相の郵政民営化が記憶に新しいところです。郵政民営化を「改革の本丸」と位置付け、自民党内の反対派を「抵抗勢力」と切って捨てる大胆な政治手法で、目的を達成しました。それで、私たち国民の生活は良くなったでしょうか? 国家財政の健全化は進んだでしょうか?
郵政民営化は、アメリカの「年次改訂要望書」に基づいて行われたとされています。アメリカの郵便事業は国営です。Amasonが台頭しても、建国以来ずっと国営です。それにもかかわらず、日本に郵政民営化を押し付けてきたのは、郵便貯金と簡易保険という金融分野の民営化が目的です。約300兆円と言われる郵貯マネーを、ウォール街の株屋が売りさばく金融商品に変えようとしたのです。ウォール街が「狂ったカジノ」であることは、サブプライムローン問題やリーマン・ショックで大々的に明らかになりました。もし高額の郵貯マネーがこれらの詐欺まがいの博打に突っ込まれていたとしたら、日本にとって恐ろしい結果になっていたでしょう。
それでは、農協改革にアメリカは関与しているのでしょうか? 在日米国商工会議所(ACCJ)は主要な政策提言活動の1つとして、意見書を作成・公表しています。2014年6月4日には「JAグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資する形で組織改革を行うべき」という意見書が公表されています(ACCJ意見書の詳細)。この意見書は、保険委員会、銀行・金融・キャピタルマーケット委員会の作成で、JAバンクとJA共済という金融分野を民間金融機関と同様の規制に置くよう要請するものです。意見書中にJAバンクの資産は約81兆円とありますが、JA共済の資産と合わせると、JAマネーは約300兆円を超えると言われています。アメリカは、郵政民営化と同様、JAマネーをウォール街の「狂ったカジノ」に突っ込めと命令しているようです。
農家は天候により作物の出来不出来があるので、収入が安定していません。そのため、銀行が資金貸付を渋ります。また、天災によって田畑に損害を被った場合、生活への影響が多大です。ネット銀行もネット保険もない時代、農協が運営する銀行や保険は、農家にとって大事な拠り所でした。汗水垂らしてこしらえた農作物から得た収入を、コツコツとJAバンクに貯金し、JA共済に保険料を支払うことで、生活を安定させてきたのです。JAバンクとJA共済の資産は、そういうお金です。
農協組織が万全であるとは言いません。正すべきところは正す組織改革により、農家が安心して農業を営み、日本の食を支える体制を築くべきです。しかし、日本の農家が苦労してコツコツ貯めてきた資産を、博打の当てにしようと汚ねえ手を突っ込んでくる金融ギャンブル狂いのアメリカと、それを「アメリカ様への献上金」とばかりに媚びへつらって差し出す売国的日本人が、背後にいるとなれば、両手を上げて農協改革に賛成とは言えないのです。