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DJ RYO-ICHIの「クラブへ行こう!」日記

「誰もが笑顔で楽しめるクラブシーンを」というテーマで活動しているDJ RYO-ICHIの活動紹介☆

昨今、mix cloud等で様々なDJのミックスを気軽に聴ける時代になりましたね。
以前はDJが名刺代わりにMIX CDを渡したりする事も多かったですし。
もちろんプロDJによる市販のMIX CDなんかもあったりします。

個人的にはDJのプレイはクラブ等の現場でお客さんと一緒になってこそ輝くものと思っているので、自宅でじっくり聴かれてしまうMIXを録るのはかなり気を遣う作業になるのであまり好きでは無かったりするのですが。
とはいえクラブで楽しむDJのプレイとは違って、自宅や車の中等で気軽に聴けるDJ MIXにはまた別の楽しみ方もあるかと思います。





[DJ MIXとは]
それはそれとしてDJ MIXとなどういったものなのでしょうか。ご存じ無い方に向けてまずは簡単に説明を。

本当にかなり昔の、まだDJ MIXについて理解が無かった頃の当時の自分は「曲を一曲一曲聴きたいのに、なんでこのCDは全ての曲が繋がってるの?」なんて思ってました。
そう。DJ MIXの特徴は収録されている全ての曲が繋がっているところ。
一曲一曲聴く音楽の楽しみ方とは違う魅力があり、まずはそのあたりに気づくと楽しさが広がります。

そのあたりというのはどういう事かというと、DJがプレイするダンスミュージックの楽曲が一曲6~7分くらいとして、60分程度のDJ MIXには10曲くらいの曲が使用される計算になりますが、それらが全て繋がっている訳です。
つまり、それぞれの曲10曲という事では無く、10曲を素材として使用した60分の一つの曲のようになっているという事です。
おわかりのように10曲の曲を選ぶ段階で無限の選択肢がある訳であり、またその10曲をどう並べて組み立てるか。そこには千差万別のセンスや人間性が表れる訳です。

つまりDJによる音楽の選曲と、その選んだ曲の組み立てを楽しめるのがDJ MIXの主要な楽しみ方と言えるでしょう。
最新の盛り上がる曲を中心にセレクトして組み立てられたものもあれば、往年の伝統的な曲を中心に組み立てられたものもあるでしょう。
場合によってはそれらを上手に展開して、時代やジャンルを超えたセレクトがされているものもあるでしょう。
そしてそのように選ばれた曲がどのように並んでいるかもまたポイントです。

例えばですが、1時間の時代劇で典型的なのは水戸黄門でしょうか。

・ご老公一行が新たな町にやってくる
・町にはびこる悪事
・ご老公悪人と対決
・「この印籠が目に入らぬか~!」
・悪者ひれ伏す
・町に平和が訪れる

なんて風に展開しますよね。水戸黄門は毎回割とワンパターンですが、DJ MIXの組み立て方はもちろんワンパターンではありません。

とはいえ、一曲目が「この印籠が目に入らぬか~!」、二曲目が「ご老公一行が新たな町にやってくる」、三曲目が「町に平和が訪れる」という組み立てではどうも気持ちが悪いでしょう。

ちょっと脱線しますが、自分はDJのMIXやプレイを聴けば、その人の人物像(性格等)が、なんとなく分かると以前から言っています。その理由はこういうところにある訳です。

一つ例にあげると、終始アゲアゲ曲のオンパレードだけど一曲一曲のセレクトにセンスが無いDJプレイを聴くと→「きっと好きな物を片っ端から食べてるおデブちゃんで、ファッションセンスも無さそう。」とか。

そして実際のDJを見てみてやはりそうだと「当たった~!」と、ニヤリみたいな。(かなり余計なお世話ですねw)

こう書いただけで、今日から他人のDJ MIXを聴くのがちょっと楽しくなりませんか?

ただ、いきなりそう言っても難しいと思うので、もうちょっと簡単な楽しみ方。
特にmixcloud等の自宅でプレイしたものを録音しているようなMIXを聴く際なのですが、

《そのDJ MIXにはテーマがあるのか、ないのか。あるとすればそのテーマが伝わって来るか、来ないか。》

これを意識して聴いてもらうと今日から簡単にDJ MIXを聴くのがと面白くなると思います。

まずそのDJ MIXにテーマがあるか無いか。その事の割と簡単な見分け方として、MIX CLOUD等にアップされているDJ MIXの場合はプロDJの商業MIX等でなければたいていの場合、テーマがあるとすればだいたいタイトルに意図が込められている事が多いです。

いや、「伝えたいものがあるDJ MIX」なんて書くと大げさに聞こえるかもしれませんが、伝えたい事のテーマは別になんでも良いと思います。

ベタだけど「レッツダンス!」とか、「アイラブユー)」だとかww

(こう書くと早速探される方もいるでしょうが、多くのDJ MIXにはテーマなんてなくて、ただただ似たような曲を並べてみただけなのでは?という事がタイトルから読み取れるものも多いという事も分かるのでは。←それがダメという事ではなく、今回の楽しみ方の対象にならないという事です。)

それでですね。DJ MIXを通じて伝えたいものを表現するって、ほんと難しいんですよ。

その難しい事にチャレンジしようとしているタイトルが書いてあるDJのMIXを探し、そしてそのMIXがちゃんとそれを伝えられる内容になっているのか聴いてみる。

それを意識してDJ MIXを探して聴くと、今日から楽しさ倍増なのではないでしょうか。





そうはいっても目に見える形の無い音楽について言葉で説明されても伝わりにくいもの。

具体例を挙げた方が分かりやすいでしょう。

しかし、人様のミックスを例に解説するのはさすがに失礼なので、自分のミックスでちょっとだけ例を挙げておきます。(以前からフェイスブックで自分と繋がっている方はその当時聴いてくださったとは思いますが)

2年前からエナジードリンクのBURNが世界で始めたコンテストに、一応二年連続して応募してはいるのですが(結果は全くおよびではありませんでしたが)その応募作品は20分以内というDJ MIXとしては非常に短い時間となる制約があるももの、時間が短い分とりあえず聴いてもらう例として話しが早いです。

★そのミックスのテーマはちょっと大げさでしたが以下のようなものです。 (この時は応募の制約上、掲載箇所にタイトルが付けられませんでした)

《テーマ》1940年という戦争の時代に作られたチャップリンの映画「独裁者」のラストシーンには有名な名演説があるのですが、この映画は平たく言うと当時存命だったヒトラーやナチズムによる独裁を風刺したもの。
ラストシーンで独裁者に間違われたチャップリンが兵士に対してに対して、「・・・人間とは本来素晴らしいものだ!絶望してはいけない。(独裁者のためではなく)平和で素晴らしい未来のために戦うのだ!」」といった趣旨で(もっと深い内容ですが※下記参照)演説をします。
そして、その後のストーリーをDJ MIXで表現してみるという、言葉にすると壮大すぎるテーマになっていますw

(選曲内容説明)
冒頭 →そのチャップリンの演説
1~2曲目→そして戦いが始まる
3~4曲目→戦況の変化
5曲目→そして・・・(どうなったかは実際に聴いてみてくださいw)

では実際聴いてみてください。

《 ANSWER TO CHAPLIN mixed by DJ RYO-ICHI 》
https://www.mixcloud.com/djryoichi/burn-studios-residency/


いかがだったでしょう? そんな風に選曲とその組み立てで表現できていたように思いました?

※参考までですが、このチャップリンの名演説が何を言っているか。詳しくはこちらをご覧ください。

→《「絶望してはいけない」チャップリンの史上最高のスピーチ【独裁者】 NAVERまとめより 》
http://matome.naver.jp/odai/2134432853759771901







ところでですが、クラブの現場でのDJプレイはお客様の前でDJをする以上、ある程度お客様の求めるものを表現しなければならないところもあります。

つまり、聞き手の皆さんの反応に合わせた選曲をせざる得ない部分もあるんですね。(特にDJで食ってる人はそうでしょう。昔のディスコDJはお客さんのリクエストに沿って曲を掛けてたなんて時代もありますし、度合いは様々でしょうが表現者であると同時に接客業的な側面もあるでしょう。)
テレビドラマだって作り手の作る内容は視聴率がとれるものかどうかに影響されるでしょうし、レストランのシェフだって人気のメニューを取りそろえなければお客さんは来なくなってしまう可能性もあるでしょう。

テレビの視聴者が下品なドタバタ番組を求めていれば、提供する側もそういうものを提供せざる得なくなってきます。
レストランの客層が、安い油ギトギトで調味料まみれの高カロリーな食べ物ばかり欲していれば、メニューもそういう方向にせざる得ないでしょう。

ちょっとだけ毒を吐くと、聞き手が「音楽なんて盛り上がれば何でもいい!俺たちはただただ盛り上がりに来たんだ!」みたいな人ばっかりだと、当然DJもそういう選曲するのが持てはやされてしまう訳で。

今年流行した人気曲を片っ端からズラーっと並べてPCに自動演奏させ、操作が簡単な分DJ本人はひたすらバンザーイ!みたいなDJがお客さんを盛り上がる良いDJとされてしまう訳です。

(これはそのような最近の状況を風刺した動画なのですが、イイネ!がなんと13万越えしてますw)



お客さんがそれを持てはやしていると、世のDJの選曲力がどんどん退化していってしまいますよ。
なにしろデジタル機材が発達する今、曲を繋げるだけなら小学生がiPhoneアプリで出来てしまう時代。
DJの音楽性が問われる最後の砦が「選曲」なんですよね。

いや、世界では若者向けの単純明快な盛り上げ専用曲が流行っている。「それが世界のスタンダードだから」
そんな声もあるでしょう。「大ヒットした定番曲をひたすらプレイしていれば間違い無い!」みたいな。

そうは言ったって、世界の日本では年齢別人口分布が違うじゃないですか。

若者が高カロリーでチープな食べ物を好むのはある程度当然な事。
でも日本は第二次ベビーブーム世代中心にカルチャーが生まれてる国で若者は減っていて、割といい年の大人中心で世の中が動いていますよね。
いい年の大人は若い頃に比べて食べ物にこだわるようになってませんか? 高カロリーなものよりヘルシーなものを考えて食べるようになったとか。
クラブシーンだってそろそろもうちょっと素材にこだわり、味を吟味してくれても良いんじゃないかな?なんて思う訳です。

そもそもダンスミュージック自体が欧米から入って来たものというところがあり、「欧米の物が最先端で間違いが無い!」と思いがちなのかもしれませんね。

そんな思いもあっての今日のこの記事です。

ちなみにその翌年の応募作品は、実はこれがテーマだったんですw

「日本にも独自の良いダンスミュージックあるじゃない。日本はオリンピックの開催も決まり、今後世界から注目される上で、改めて日本の名曲を聴いてみてください。」という内容をオリンピックの招致活動になぞらえて創ったものでした。昨今のデジタル機材のDJに対して、アナログターンテーブルでロングミックスしすぎて若干自爆ぎみですが(笑)

《 Japanese OMOTENASHI MIX mixed by DJ RYO-ICHI 》
https://www.mixcloud.com/djryoichi/burn-residency-2014-japanese-omotenashi-mix-dj-ryo-ichi/  )







さてみなさん今日の記事を読んでどう思われましたか?今後DJ MIXやDJのプレイを聴く上で一つの参考にして頂いて、より楽しんでもらえたらなと思います。

聞き手の耳が全体的に肥えてくれば、必然的にDJだって腕を磨かなければならなくなりますし、そうすればシーンのクオリティーも上がってきますのでね。

自分はクラブシーンとは、文化的な人が集う場所であって欲しいなとも思っているところで、音楽はそもそも文化的なものでしょう。

音楽等について何も考えてないような連中が酔っ払ってバカ騒ぎするだけの場所では寂しいものがあるのでは?とも思っています。





以上「自称DJきっちり委員会会長のRYO-ICHI」でした!w

(上記はあくまで自分の個人的な考えの一つを述べたものにすぎません。みなさんの考えもまた自由なものです。)


※MIX CLOUDとは、世界中のDJが自分の録ったDJミックスをアップロードしているサイトです。
https://www.mixcloud.com/


DJ RYO-ICHI MIX CLOUDページ
https://www.mixcloud.com/djryoichi/

最近は殆ど人前でDJする事無くなって、もっぱら趣味のレコード集めというところなのですが、男子たるものいくつになってもコレクション欲というものがあるのでは?

自分は未だにレコードを使用してDJしているのですが、レコードには良い点が色々あるんですね。
その中の一つに「昔のレコードを探す出せる楽しみ」というのがあります。

レコードって安易には捨てないでとっておくもので、そのためヤフオク等には昔のレコードが多く出品されていて、その中から自分の好みの昔の良曲を探すのは楽しいもの。
10年くらい前までは渋谷の宇田川町あたりにはまだまだレコード店が多く存在して、新譜のレコードから中古の旧譜のレコードまで売られていたもので、レコード愛好家があれこれ試聴してお気に入りのレコード盤を探しだす、いわゆる「レコード掘り」なんて言葉もあったんですが、今「レコ掘り」と言えば、ネット上でするのが主流なのでしょう。今回は北海道在住のレコードコレクターさんの所有レコードから何枚か購入させて頂きました。


上記でも触れましたが、最近は人に聴かせるというより個人的にコレクションしたいと思える曲を中心に集めているところなんですが、自分がどんなレコードを購入しているか気になる方なんていますかね?

実は自分は名曲を独り占めにしたいタイプというか。。昔のDJは苦労して見つけ出した名曲レコードをその人なりの「キラートラック」としてDJプレイの中に取り入れたもので、有名なDJが謎の名曲をプレイすると「あの曲なんだろう?」とDJブースのターンテーブルを覗きに行ったりしたものなんですね。

今時のDJがプレイするDJブースを覗いたところで専らUSBスティックが刺さってるかPCが繋がっているだけで、そのメリットは何千曲もの曲を持ち込めるところにあるはずなのに、ド定番の人気曲をあらかじめ決めてきたセットでしかプレイしてなかったりして、またそんなド定番曲の連発プレイがお客さんから喜ばれてる事が多いようですがね(苦笑)

そういう意味で自分のDJに対する考え方は少々古いのかもしれませんが、それだけに所有している名曲レコードの数々は、ほんとうは自分だけのものとしてあんまり紹介したくないんですw


でもたまにはという事で、今回購入したレコードから数曲ご紹介したいと思います。

(ち・な・み・に・・・今回の購入レコードの写真中で、以下にて紹介していない曲があるのはそのためです。つまり・・・内緒!って事w)




1 GTS - SUPER WOMEN
日本のハウスミュージックを語る上で外せないGTSの珠玉の名曲の数々。自分も結構な枚数のレコードを持っていますが、また一枚コレクションが増えました♪
当時のGTSの当時の楽曲は初期のハウスミュージックの力強さとGTSの至高の音楽センスを感じさせてくれます。
余談ですがGTSは三人のメンバーで構成されていて、以前TURBOさんにご出演頂いた事があるのですが、素晴らしいDJプレイとお人柄に感銘を受けた事があります。
他のメンバーはGEEさんとSATISHI HIDAKAさんで、きっとその三名の頭文字を取ってGTSなんだと思いますが、ご本人に真相をお伺いするの忘れたなあw

誰しも心に響くような曲ですね☆



2 KLUBFILTER - ILLUMINATION
聴いてくださいこの音! 有名なミックスCDシリーズEMMA HOUSEの8に収録されたKLUBFILTERの名曲です☆
ハウスミュージックの魅力は世界中の様々な音楽観が入り乱れているところ。このアーティスト独自の音楽観が光ってますね。

東京湾の夜景クルーズの際にプレイしたら思わず昇天してしまいそうな曲ですねw



3 MONDO GROSSO (SHINICHI OSAWA) - VIBE PM
何度もご出演頂いてお世話になったみなさんご存じ大沢伸一さん。以前はMONDO GROSSOという名義で活動されていたのを知っている方も多いと思いますが、元々MONDO GROSSOはバンドだったそうです。
それでこのレコードは偶然見つけて、リミックスがMasters At Workだったり、沖野修也さんの名前もあったりして、一体どんな曲だろう?と思わず買ってしまった謎の盤なのですが。。。当時はどんな活動してたんでしょうね!
大沢さんといえば今はエレクトロな楽曲をプレイするイメージを持っている人も多いと思いますが、ぜひ聴いてみてください。

女の子をデートに誘って、こんな曲を演奏するバンドが登場するライブなどに連れて行ったら、きっとイチコロだと思われるような曲ですね\(^o^)/←発想が貧困ww



4 Frankie Knuckles - Walkin' (Grant Nelson's Divine Gospel Remix)
ハウスミュージック産みの親と呼ばれるフランキーナックルズは昨年春に亡くなられたのですが、それ以来改めてナックルズの名曲を集めたくなってしまっているところ。
フランキーナックルズといえば美しく華麗な音色の曲を思い浮かべる方も多いかと思いますが、初期のハウスはソウルのレコードにKORGのビートマシンでビートを乗せたものだったなんて話しがあり、力強くソウルフルな歌声の楽曲も心を打ちますね。1:50からの力強いピアノの旋律もナックルズ節炸裂!といったところでしょうか。

ハウスミュージック産みの親と呼ばれる偉大なフランキー・ナックルズの曲をぜひ聴いてみてください。



5 ULTRA NATE / FOUND A CURE
完全に個人的な趣味のコレクションとして購入したものなので多くは語りません。
しかし泣ける歌声ですねぇ~w


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それでDJにとっての曲というのは、料理人にとっての食材なんですよね。
料理人がいくら良い食材を集めて来ても、調理のセンスが無かったら台無しだと思いませんか?

ではDJによる曲の調理の仕方ってどんなものだと思います?
その中の大きな柱は選曲と、その組み立てです。
選曲と組み立てが上手なDJだと、一曲一曲を聴かせているというよりも、数曲が大きな一つの曲のような組み立てになってストーリーが想像できるような展開がされていたりするもの。

再度料理に例えるならば、

・まずは良い素材を買いそろえる
・素材を調理し、適切な順番で提供する

そして今回は、「適切な順番で提供する」というポイントに絞って以下考えてみましょう。

例えばですが、上記の1~5の曲をそのままの順番で人に聴かせるようなDJがいたとしたら、そのDJはあんまり選曲について考えていないと思ってまず間違いありませんw
だってそうでしょ? レストランに行って、例えばデザート→メインディッシュ→前菜の順に運ばれてきたら「おいっ!」と思いますよねw

先日DJミックスを録音してミックスCDを作る事についてお話ししたところで、あらかじめ曲を選んで曲順を考えてから録音するミックスCD作りと、人前で即興でプレイするのはまた違ったりするのですが、今回は事前に曲順をじっくり考えてミックスCDを録るという方向で考えてみましょう。
(人前でのDJは、フロアーに集った今日の客層や人々の反応によって臨機応変に曲を選ぶ事も多いものです。)

今回ご紹介した5つの曲は自分がたまたま購入したというだけで、もちろんこの5つの曲だけでDJプレイをしようと思って買った訳ではありません。
当然DJプレイをする際に持ち込んだレコードがこれらたった5枚だけなんて事はあり得ない訳です、これは料理に例えると人の家に招かれた料理人が「冷蔵庫の中に素材が5つだけ入っているので、これで料理してください!」と言われているようなものですが、それはそれで面白いのでここで問題です!


【曲順クイズ もし使える曲がたった5曲しかなかった場合、あなたはどう並べますか!?】
上記の5つの曲はジャンル的なものなども考えずたまたま買っただけのものではあり、少々無理があるのは承知の上。
それでもできるだけ違和感無く並べ替えるとしたらどう並べますか?






いかがでしょう!?






もちろん答えは一つではありませんが、自分ならこう並べますかね。

《 5→4→3→2→1 》

みなさんご紹介順に1から5曲目まで聴かれたと思うのですが、答え合わせしやすいようにあえて自分の回答と順番を逆にしておいたんです。
という事で再度後ろから順番に聴いてみてください。





自分の考え方を軽く書いてみましょう。

まず1曲目のGTS - SUPER WOMENですが、もう聴いての通りこれだけハッピーエンド感が強いんですからラストに決まり。また音もこれら5曲の中では割と現代的な音と言えるのではないでしょうか。
そしてハッピーエンドの前には溜めを作るとよりそのハッピーエンド感が増すもので、5曲の中で唯一音色が違いボーカルの無く、また音も現代的な曲が唯一KLUBFILTER - ILLUMINATIONなので、これをラスト前に配置。

さて、ここまでは簡単に決まりましたが、あとは少々難しいでしょうか。
残っているのは 
MONDO GROSSO (SHINICHI OSAWA) - VIBE PM
Frankie Knuckles - Walkin'
ULTRA NATE / FOUND A CURE
ですが、どれも割と生音・生歌路線の曲です。
この中で言うならばVIBE PMが少々ジャズ路線かつクールな楽曲で、4番目に配したILLUMINATIONに唯一繋げやすいのでは。独特のグルーブで、中盤の変化という意味でも良いでしょう。

ちょっと脱線しますが、ダンスミュージックというのは普遍的な4つ打ちのリズムが特徴で、そのためノリやすい・踊りやすいのですが、逆に言うと単調になりがちで、油断すると聞き手は飽きてしまうもので、「飽きさせない展開」というのも大切です。
コース料理だって最初から最後まで同じようなメニューが提供されたら飽きますよね!

さて、残っているのは
Frankie Knuckles - Walkin'
ULTRA NATE / FOUND A CURE
となります。
どっちがトップでどっちが二番目に良いか。
ULTRA NATE / FOUND A CUREについては、全5曲のうちで唯一マイナー調の曲ですが、当然マイナー調の曲は哀愁が漂うというか、やや暗い雰囲気になります。
たった5曲で選曲展開をするには、途中にマイナー調の曲が入るとハッピーエンドに繋げるのにリカバリーが難しくなってくるところもあるでしょう。
また歌が情熱的で「聴かせる歌いかた」という感じですが、逆に踊れるグルーブにはやや乏しいのでは。
一方Frankie Knuckles - Walkin' については冒頭を飾る華やかさと安定したグルーブ、そして規模感を感じる楽曲です。1:45くらいからのナックルズらしいピアノ音色のブレイク部分も高揚感があって「これから何かが始まる!」といった期待感を煽ります。
すると、Walkin'についてはトップでも良いものの、それだとFOUND A CUREの置き場が無くなるので、先にFOUND A CUREを置いて冒頭に哀愁感を漂わせたところでWalkin'で仕切り直した方がしっくりくるのでは。規模感もWalkin'の方がありますしね。

いかがでしたでしょうか。もちろんこれは自分の考えですが、「曲の組み立て」というのは大切で、クラブのフロアーにいつの間にか人が集まって来てワイワイ盛り上がるDJと、いつの間にか人がまばらになって行くDJの違いもこのあたりに理由があったりするものです。(最近はとにかく有名な人気曲を連発してひたすら盛り上げるようなDJスタイルも多く見受けますが。)


以上、DJの楽しさの一つを知ってもらえればと思って書いた記事ですが、いかが思われたでしょうか。
そうそう、数年前まではDJの再生機材というとレコードのターンテーブルとCDを再生するCDJに限られていたところ。

なのでよくレコードターンテーブルを使用するDJとCDJでCDをプレイするDJが「こっちの方が音がいい!」といったようなつまらない言い争いをしている事がありました(笑)

レコードはアナログ的な録音媒体で、CDはデジタル的な録音媒体です。
CDというのは今からもう30年くらい前に登場した媒体で、記録できるデーター容量が割と少なかったため、実は人間の耳ではあまり聞こえないような高域や低域をカットしたりしてデーターを圧縮しているそうで。

そしてデジタル音源でもその後登場したMP3という音源は、更に圧縮をかけた音源で、もちろん多少音質が低下するところ。(圧縮率によって劣化率も変わりますし、最近はその圧縮分を復元する技術もあるようですが)

とはいえ、アナログ音源のレコードだって今どきのダンスミュージックはそもそも元がデジタル機材で作られた音源なので、アナログ的な録音媒体だからといってあまり違わないでしょう。
また最近は逆にハイレゾ音源といって、CDよりもデーター量の大きなデジタル音源も登場しています。


またその事とは少し違いますが、DJが使用する基本的な機材には、音源再生機材(レコードターンテーブル・CDJ・PC等)の他に曲と曲を混ぜる(ミックスする)時などに使用するDJミキサーというものも必要になってきますが、このDJミキサーというのもまたアナログミキサーとデジタルミキサーがあり、使用するミキサー毎にも音質が違ってきます。(ちなみにPCDJはハード的なDJミキサーではなく、PCにインストールしたソフト上でミックスしています。)

さて、ここまでは前置きです!(毎度前置きが長くてすみませんw)


次の二つのyou-tube動画。
どちらもネット上にアップロードされている訳ですから、間接的にデジタル化されたデーターですが、それでもだいぶ音の雰囲気が違うと思いませんか?


(1)伝説的ビンテージミキサー(UREI1620)とレコードターンテーブルのDJ



(2)PCDJソフトをコントローラーで操作しているDJ


みなさんどちらの音質がお好みですか?(選曲の事ではなく、あくまで音質的な事です。※両方の動画では録音環境も違いますし、どちらも動画サービスにアップロードした時点で一定の劣化もしている事実もあるでしょうからあくまでリアルな計測結果の違いというよりも雰囲気的な違いという観点で)


まあこれは人それぞれの好みで、どっちが良いという事ではありませんが、自分は断然(1)ですね。 温かくも張りのある、ホッとするような音に感じます。

それはそれとして、一般的な方は音楽を聴くのにあまり音質の違いなんて意識していないかと思いますが、せめて人前でDJをする人間は音質にはこだわって欲しいと思いますね。

料理人が料理をお客様に提供するのに素材の鮮度にこだわってなかったりしたらどうでしょう? というお話し。

そして最後にちょっと脱線しますが、最近は良質の音楽をただただ良質のサウンドシステムを通して聴かせるだけというシンプルな音楽イベントが極端に減って来ていて寂しいなと思います。
もちろん様々か華やかな趣向が凝らされているイベントも素晴らしいとは思いますが、そればっかりではね。。

歳を取ってくると余分なものは要らなくなってくるというか、凝った料理もいいけれど、やっぱり新鮮な魚の刺身をわさび醤油で食べるのが一番旨い!」みたいな話しですかね。

えっ!?意味が分からないって!?

歳を取れば分かるようになりますよ(笑)