できるだけ、かんたんに書いてみる。
例えば戦国時代だとして、織田信長、武田信玄、上杉謙信、今川義元、北条氏康、毛利元就たちが集まったとしよう。
そして、みんなで兵力の削減・廃絶を行いましょう、という話になったとして、できるだろうか?
できるわけないだろう。
なぜなら、自分だけ弱くなるのはイヤだから、他人が削減するのは歓迎だが、自分は削減したくないからズルしようとするだろうし、よほど何らかの見返りでもないかぎり自分から積極的に削減というのはしないだろう。
仮にみんなが善意で削減をしてみたところで、それは力のバランスが崩れるということで、かえって不安定になる。言い換えたら、戦争が起こりやすくなってしまう。もしかしたら、削減しなかった島津貴久が九州から軍勢を率いて上洛してくるかもしれない。
これと全く同じような理由で、現状、核保有国による核兵器の削減はできないだろう。
どうすれば削減できるかといえば、やはり上の例で言うのなら、幕府の誕生を待つしかない。幕府が各藩に対して強制的に削減命令を出す、というのが答だろう。
つまり現在の国際情勢の下では、幕府に相当する超国家的な機関が必要で、そこが強制執行力をもって保有国に対して核査察を行って、核削減・廃絶を目指して進めていくしかない。
そして、その超国家的機関は世界で唯一、国際的に核兵器を所持する機関であり、いかなる理由であれ核を使用した国に、自動的に報復をする機関である。そのようなシステムにして、はじめて世界の国々は核兵器を持つ理由がなくなる。
さて、オバマ大統領がどのような筋道を考えて核廃絶と言っているのかはわからないが、
わたしは、人類は上記のような筋道で、今後500年くらいかけてないと核廃絶を実現できないと思う。超国家機関の創設なんて、それは人類が宇宙に生活するようにならないとできない話で、とてもすぐにはできる話でないと思う。地球に住む人と、宇宙に住む人、という区分けができて、はじめて地球には連邦政府みたいなものができると思っている。
それまで何年かかるのかはわからないが、
とにかく、今回のオバマの広島訪問は、これから長い長い核兵器廃絶のプロセスへのきっかけにはなるのではないかと思うのである。
せっかちに、すぐに期待はしない。不用意で性急な削減・廃絶はむしろ危険だと思っている。
小林よしのりのブログに、このようにあった。
『オバマも安倍もよくもぬけぬけとあんな心にもないことを
言えるものだと思ってしまう。 』
『テレビを見ていると、誰もかれもが核廃絶を訴えているが、
本気なのだろうか?
国連で、日本が「核兵器廃絶」を主張する国々と
連帯してもいいのだろうか?
偽善は偽善であって、実行する気がないから、
偽善なのである。
日本は自前の核兵器を保有しないのならば、「核の傘」に
頼るしかない。』
引用先
http://yoshinori-kobayashi.com/10293/
小林よしのり氏は、オバマの訪問を偽善、と言っている。
物事は、さまざまな見方があってよいと思う。確かに、醒めた見方をすれば、短期的にはたいして意味のないことかもしれない。
しかし、人類は今回のオバマ広島訪問に、核廃絶の筋道の最初を見たと言っても良いのではないかと思う。自分は期待したい。生きているうちに意味のあることではなくとも、将来の、まだ生まれてきていない人類にとっては大いに意味のあることになるかもしれないことを。
私は安倍総理もオバマ大統領も本気だと信じたいし、
日本もアメリカも、すぐに核兵器を削減できないからと言って、偽善だとか矛盾しているとか、言ってほしくないのである。
前にも書いたが、
私は、オバマ大統領は、大統領をやめた後に期待したい。
元大統領という肩書で、どこまで行動の自由が認められるのかはわからないが、
それこそ、核廃絶にむけてのイニシアチブをとってもらいたいとさえ思う。