父上様、母上様、栄はこれから出撃します。

我儘な私を立派に成育して下さいまして、帝國海軍航空隊員となり、今回栄ある神風特別攻隊第三次草薙隊として出撃出来る様になりましたのも、皆父上、母上の御蔭と、栄は有難涙を流して居ります。

必ず御期待にそむかず敵を撃滅して日本の國を護ります。

近くの山に咲く桜花は栄の立派な生れ変わつた姿です。

幼くして出郷する時、母上から受けた教訓は立派に実行して来ました。

酒と女でしたね。

今迄酒は少しやりましたが女は全然知りませんでした。

今となつては何も思ひ残す事はありません。

只日本の必勝のみであります。

箕輪様や久保様や又親戚の方々にも色々御世話になりました。

厚く御礼を申上げます。

土産はいりません。

沖縄が私の最後の場所です。

昨晩最後の夢を拳母町のきらく亭で見ましたが矢張り父上様と母上様の夢でした。

くだらない事を書いて全く女々しい様ですが御許し下さい。

では皆々様の御健康を祈つて出撃します。

昭和二十年四月十三日

父上 様

母上 様

御膝下

栄より

海軍中尉

宮内 栄

神風特別攻撃隊第三草薙隊

昭和二十年四月二十八日

沖縄近海にて戦死

中央大学

海軍第一期飛行科予備生徒

茨城県行方郡大和村出身

二十三歳