九月二十二日 水
晴々しい良い朝だ。
起床一時 間前に眼がさめて私の死の事、戦犯のこと又今日処刑された六勇士の最期など、頭に浮かんで考へてばかりいた。
鉄扉の開く音と共に起きて洗面、一同死刑房前庭に集り遥か刑場の方面に向ひ、深い深い黙祷を捧げた。
安らかに眠れ、六勇士よ。
犠牲となつて、かく散つたのだ。
祖国日本にも必ず春が来る。
その時こそ、諸氏は軍神となつて靖國に祀られるのだ。
余も後二週間で死刑執行の圏内に入る。
六氏の後を追ふのも間近い。
誠に淋しい。
さんさんとマタハリに映える日光に驚いている。
未だ俺は生きている。
そして間もなく死ねるのだ。
何か変な夢のやうなしつくりしない気分だ。
陸軍軍医大尉
山根 重由
昭和二十三年十一日二十三日
バタビヤ、グロドツクにて法務死
鳥取県気高郡青谷町出身
三十二歳
晴々しい良い朝だ。
起床一時 間前に眼がさめて私の死の事、戦犯のこと又今日処刑された六勇士の最期など、頭に浮かんで考へてばかりいた。
鉄扉の開く音と共に起きて洗面、一同死刑房前庭に集り遥か刑場の方面に向ひ、深い深い黙祷を捧げた。
安らかに眠れ、六勇士よ。
犠牲となつて、かく散つたのだ。
祖国日本にも必ず春が来る。
その時こそ、諸氏は軍神となつて靖國に祀られるのだ。
余も後二週間で死刑執行の圏内に入る。
六氏の後を追ふのも間近い。
誠に淋しい。
さんさんとマタハリに映える日光に驚いている。
未だ俺は生きている。
そして間もなく死ねるのだ。
何か変な夢のやうなしつくりしない気分だ。
陸軍軍医大尉
山根 重由
昭和二十三年十一日二十三日
バタビヤ、グロドツクにて法務死
鳥取県気高郡青谷町出身
三十二歳