「日教組は日本をダメにした」と言われるわけ

社団法人 全国教育問題協議会教育改革プロジェクト

◆はじめに

私たち全教協は、昭和五十二年(一九七七)、日本の教育の荒廃に心を痛めた全国の民間人の有志が浄財を出し合い結成した団体です。

教職員団体の一つである全日本教職員連盟と共に「美しい日本人の心を育てる教育の創造」を目指し、今年で結成してから三十年を迎えています。

その間、全教協は、調査・研究活動・出版活動、国や行政に対する要望活動、教育問題に関する啓発活動を展開してきました。

去る(平成20年)九月二十八日、当時国土交通大臣だった中山成彬氏が、「日本をダメにした要因の一つは日教組だ」と発言、その責任をとって辞任しました。

私たちは元来学校教育現場で起こっているいじめ・不登校・校内暴力・学力低下・学級崩壊問題も、政界・官界・産業界・教育界で多発する規範意識の欠落による崩壊現象も、まさに戦後教育六十年間における影の部分が噴出した現象であり、これらの教育荒廃・社会崩壊の元凶は日本の教職員団体の一つである日教組の活動にあると捉えております。

中山氏が身をとしてまで国民に訴えようとしたその心情を察すると共に、日教組の活動を再点検し、全教協の見解としてまとめました。

全教協顧問の小林正氏、杉原誠四郎氏から日教組の活動に対する論文をお寄せいただきましたので、合わせて冊子『教育再生を阻む最大の抵抗勢力、日教組を衝く』を作成しました。

いま、教育の再生が叫ばれています。二十一世紀を築く子供たちの未来のため、強く明るく美しい日本の国づくりのための方策を探る手だてとしてご利用いただければ幸いです。

■原因1 日教組は美しい日本人の心を破壊してきたから

昭和二十年(一九四五)敗戦を契機として日本にどっと流れ込んできた思想が大別して三つあります。一つ目は自由・平等・平和・民主主義といった政治理念、二つ目は個人主義を標傍する欧米思想、三つ目は社会を階級的に捉えるマルクス主義でした。

日教組は活動理念に平和主義・児童中心主義・階級国家論を中心にすえ、教育の場を利用し反体制運動を展開しました。

人を愛し・人を信じ・人につくし、郷土や国を愛する人づくりの場に協力心を培うのでなく、反抗心を人間関係に憎悪と怨念の情を浸透させ日本人の心を破壊しようとしたのです。具体的活動について列挙します。

①先祖を敬う心、家族の絆を大切にする日本の伝統的な価値観を否定。

②自虐的な歴史教育を通して日本の歴史や文化の否定。

③日本の郷土や国を愛する教育の否定。

④宗教的な心情、公共心や規範意識を高める道徳教育の否定。

⑤子供の権利を尊重し、自己決定権を認め権利を主張する教育の推進。

⑥悪平等主義・偽平和主義教育の推進。

⑦ジェンダーフリー(性差撤廃)運動、過激な性教育運動の推進。

⑧国・行政・管理職と対立し、いたずらに教育の場を混乱させる運動の推進。

■原因2 日教組は活動の底流に誤った教育論を持ち込んだから

①戦後の教育界に持ち込んだ、子供中心主義と平等主義

昭和二十二年(一九四七)、アメリカ教育使節団報告書がマッカーサー最高指令官に提出され、占領下における日本の教育の方向が提示されました。

「戦後六十年、日本の教育は、マルクスとマッカーサーのDNAを受け継いできた。現在の教育荒廃の底流にあるのは、このDNAの核心である「子供中心主義」である。

アメリカ教育使節団の理論的支柱であるデューイの教育論をつまみ食いし、観念的で空想的な子供中心主義を日本の条件を無視して教条的に持ち込んだ。

そして現実離れした極端な平等主義を教育現場に適用したのである」と石井昌浩氏が『教育問題』第九号で述べているが、まさに戦後の教育観は、戦前と比べ一変した。

教育使節団の「子供の自主性を尊重し、大人はみだりに子供の言動に対し、干渉してはならない」というアメリカ教育使節団の提示にとびつき、「子供は無限の可能性を持っている。大人は子供に自分の考えを強制するな」といった教育論を振りまいたのが日教組と進歩的学者文化人でした。

加えて日教組の教育理念の主柱は日教組の綱領に述べられている通り教師は科学的真理を求め、社会主義社会の実現に向け、子供たちにイデオロギーを注入することにあった。国家は悪、個人は善、資本家は悪、労働者は善、与党は悪、野党は善というように社会を対比的に捉えて抗争の場として教育を利用したのです。

人間は憲法にうたわれている通り、平等であるべきです。

しかし、人間の社会において機会の平等は不可欠であるが結果の平等はあり得ない宿命を認識すべき。

日教組教育六十年の結果、自己中心主義が横行し義務を履行せず、権利を主張する日本人が大量に輩出したのも事実であります。

②人間の成長に応じた子育てのコツが大切

「三つ子の魂百までも」

「鉄は熱いうちに打て」

と、日本には昔から子育てのコツを述べた言葉がある。

最近、脳科学学会でも幼児教育の重要性が立証されてきました。子育てのポイントとして「乳幼児期には肌を離すな、幼年期には手を離すな、少年期には目を離すな、青年期には心を離すな」にあり、と言われている。

また親学を推進している高橋史朗教授は「しっかり抱いて、そっとおろして歩かせる」と述べ、人間の成長に応じての接し方を示しています。

日教組は子供は育てるのでなく「育つ」のだと子供の主体性を尊重すべきと主張しているが、子供の成長期に応じての大人・親の的確な心くばり、目くばりが必要と考える。

よく「人づくりなくして国づくりなし」と言われる。

元来、人づくりにおいて、つくるのは大人であり、つくられるのは子供。

つまり、教育の主体は大人であり、客体は子供。

子供が主役でなく教育の営みは大人と子供の共同作業であり主役も脇役もない。

教育改革がいま叫ばれている。

教育内容・方法・制度などの改革も重要。

しかし、日本の歴史・伝統に基づき、日本人の心にマッチした教育理念の構築抜きでは真の教育改革はあり得ないと考える。