<出征>

天皇(すめらぎ)の 召集(みめし)に応へ(こた) 我征かん

朝霧深き 曉のもと

<輸送船>

最悪の とくには砲と 運命をば

共にすべしと 言ひて船に乗る

<戦跡>

硝煙の臭ほのかに 漂ひて

戦跡の秋は 悲壮からずや

<故郷へ>

リラの花 咲ける卯月の 宵あさく

敵火と紛ふ 螢飛び交ふ  [春]

叢(くさむら)に すだく虫の音も すがれたり

南支の野にも 秋の寄すらん  [秋]

陸軍中尉

大貫 繁信

昭和十八年七月五日

ニューギニア島サラモアにて戦死

栃木県出身 三十八歳