父母上様

お父さんお母さん。

清も立派な特別攻撃隊員として出撃する事になりました。

思へばニ十有余年の間、父母のお手の中に育った事を考へると、感謝の念で一杯です。

全く自分程幸福な生活をすごした者は外に無いと信じ、この御恩を君と父に返す覚悟です。

あの悠々たる白雲の間を越えて、坦々たる気持で私は出撃して征きます。

生と死と何れの考へも浮びません。

人は一度は死するもの、悠久の大義に生きる光栄の日は今を残してありません。

父母上様もこの私の為に喜んで下さい。

殊に母上様には御健康に注意なされお暮し下さる様、なほ又、皆々様の御繁栄を祈ります。

清は靖國神社に居ると共に、何時も何時も父母上様の周囲で幸福を祈りつつ暮してんります。

清は微笑んで征きます。

出撃の日も、そして永遠に。

海軍中尉

小川 清

神風特別攻撃隊第七昭和隊

昭和ニ十年五月十一日

南西諸島方面にて戦死

群馬県出身

ニ十四歳