謹啓 御両親様には相変らず御壮健にてお暮しのことと拝察致します。

小生もしごく元気にて軍務に精励致してをります。

今までの御無沙汰おわび致します。

本日をもつて私も再び特攻隊員に編成され、出撃致します。

出撃の寸前の暇をみて、一筆走らせました。

この世に生をうけて以来、十有余年間のお礼を申上げます。

沖縄の敵空母にみごと体当りし、君恩に報ずる覚悟であります。

男子の本懐、之に過ぐるものが他にあるでせうか。

護國の花と立派に散華致します。

私は二十歳をもつて君に身命をささげます。

お父さん、お母さん、泣かないで、決して泣いてはいやです。

誉めてやつて下さい。

家内揃つて、何時までも幸福に暮らして下さい。

私の小遣が少しありますから、人に頼んでお送り致します。

何かのたしにして下さい。

近所の人々、親族、知人、小学校時代の先生によろしく。

妹にも………。

後はお願ひします。

では靖國へまいります。

昭和二十年四月六日午前十一時書

海軍少尉

松尾 巧

神風特別攻撃隊第三御楯隊

昭和二十年四月七日

沖縄西方海域にて戦死

佐賀県出身

二十歳