父上様

送つて戴いたマフラーと千人針をしめて征きます。

母上様

只今出撃致します。

長らく御世話になりました。

今更何もいふ事もありません。

私の気持お分かりの事と思ひますから何も言ひません。

とに角三時間前に命令が下り余裕ありません。

遺髪は行季の中へ入れました。

学生時代御世話になつた人達によろしく御願ひ致します。

久子様

美智子様

御両親に俺の分も孝養(きょうよう)してくれ。

美智子には一回め会へなかつた悪しからず、時勢の故と心得てくれ。

姉上様

幸子様

富美子様

一夫様

よしを様

この間が最後だつたね。

元気でおくらし下さい。

忙しくて何も言ふ事はありませんが、あんた達の写真と、父母の写真と共に散ります。

では皆々様お元気で。

海軍中尉

篠崎 俊二

神風特別攻撃隊第二昭和隊

昭和二十年四月十四日

鹿児島方面にて戦死

海軍飛行予備学生

慶応義塾大学卒

二十五歳