学徒出陣の大命を拝し、大君の御楯と出で立つの栄を受けしは実に日本男子の本懐にて、家門の名誉又之に過ぐるは無し。

今日此の喜びを得たるは、父上、母上の御苦労の賜なるは言ふも更なり。

二十有余年間の深き御恩、今茲に厚く厚く謝し奉る。

帝國海軍軍人として征くからには、もとより生還を期せず、只悠久の大義に生きむのみ。

言ひ遺すべき言の葉は更に無けれど、思ひ付きしことどもを記しまいらせむ。

一、家督の相続については父上に御任せ申し上ぐ。

一、長く武門の誉を残されたし。

一、常に家門の栄は國家の隆盛と共に在り。

一、家は常に春の如くあれかし。

一、総ての源は人の和に在り。

一、恩師、先輩、友人等への御連絡等御願申し立し上ぐ。

一、貸借関係無し。

一、婦人関係無し。

一、私物の整理、処分等については別段の希望なし。

父上様

右宜敷御願申し上げます。

精一は日本人として、小山家の嗣子として、恥ぢぬ働きをいたします。

御自身御大切に、登代子、良助のことも御願ひいたします。

母上様

「太柱ほめて造れる宮のごと、いませ母刀自面かはりせず」

最後の瞬間迄、御母様の面影を胸深くとどめて戦ひ抜きます。

海軍大尉

小山 精一

神風特別攻撃隊第六筑波隊

昭和二十五年五月十四日

九州東方海面にて特攻戦死

中央大学卒

二十四歳
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