これは、昔の私の体験談である。
朝、仕事でショップに行くと、そこのスタッフが
「今日お願いするゲスト2名、
カードは持ってるけど、体験レベル」と言う。
よくよく聞くと、昨日このスタッフがお連れしたらしい。
相当スキルに問題があるようである。
で、本日は私が担当することになった訳だが、
事前に話を聞いているとゲスト2名、
呆れるほどにダイビングの知識が無い。
ブリーフィングに、ダイビングの基礎を織り交ぜた。
エントリー直前、
「水中で手を繋がないといけないですか?」
「フィン、昨日は履かせてくれたんですが・・・」
と問われた。
先日、ショップのスタッフが、
このゲスト2名のスキルがかなり・・・だと見抜き、
完全に体験ダイビング方式にしてしまったようである。
他のゲストもいなかったので、
ここは、私の独断と偏見、俺流でやらせてもらった。
エントリー直前ではあったが、
フィンの履き方を教え、自分で履いてもらった。
中性浮力、フィンキックもままならない。
しかし、初心者は皆、始めはこれで当たり前である。
水中が怖いわけではないようなので、
手は繋がず、インフレータを使っての中性浮力を
課題にして潜ってみてもらった。
一本目、私から「エア入れて」「エア抜いて」の指示を
こまめに出させてもらったが、
最初のうちは、そう上手くできないものである。
二本目は、呼吸による肺のトリミングの説明もして、
さらに中性浮力を課題に潜ってもらった。
なんやかんやいいながら、
徐々に慣れてくるものである。
二本目は、ご紹介したお魚などを、
だいぶ余裕を持って観てもらえたようである。
エキジットしてから、
「少し楽に潜れるようになった気がする」
とのコメントを頂いた。
色々説明したりした甲斐があったというものである。
ゲストにとって、最初は大変かもしれないが、
その方が、今後、快適で楽しいダイビングが
出来るようになるのである。
このゲストが不運だったのは、
まず、一番最初のライセンスである
オープンウォーター時の講習の内容である。
ゲストの話が本当なら、ものすげぇ簡略的な内容の
講習であったようである。
まさに「ライセンスカードを買った」である。
そして、ダイビングとはこんなものだと覚えてしまい、
自分では何も出来ない、ダイビングを知らないダイバーが
ここに立派に誕生してしまったのである。
余談ではあるが、
超絶簡略的極まりない講習内容で、
1日で講習を終わらせて、カードを渡したり、
台風でプール講習しか出来なかったのに、
カードを渡すショップもあったらしい。
講習生にしたら、楽に早くカードがもらえてラッキー♪
・・・なんて考えてしまっているかもしれない。
このまま他に潜りに行くと、やはり危険である。
これで、ダイビングが面白くないからやめるというのは、
私としては悲しいことだが、止むを得ないであろう。
そして、やめると思う前に、事故を起こす人もいる。
自分自身だけではなく、周りを巻き込む場合もある。
本末転倒である。
上手くなりたいという向上心が湧いてきたなら、
それからでも遅くは無いので、
もう一度、ダイビングのスキルを復習した方が
いいであろう。
雑談から、こんな話になった。
ゲストは自分のスキルがどの程度かは、
ある程度はわかっていたようである。が、
「下手だって言うと、いいポイントに連れて行ってもらえない」
と思い、事前申告しなかったらしい。
気持ちは痛いほどわかる。
誰しも有名であったり、皆がいいというポイントに
潜ってみたいものである。
しかし、これはスキューバダイビングである。
大自然を相手にしたスポーツである。
スキル不足では、いくら有名で人気なポイントに潜っても、
海況に対応できなければ、全く楽しくはないだろう。
「しんどい」「怖い」で終わってしまうのがオチである。
このゲストに、ダイビングの基礎を
もう一度やり直す事を強く勧めた次第である。
その方が、今後、快適で楽しいダイビングが
出来るようになるからである。
このお話、スキル不足のゲストが全て悪い訳ではない。
ライセンス講習内容や、今までのファンダイブの内容が、
このゲスト2名にダイビングの楽しさに繋がらなかった。
そして、こういう目に遭っているダイバーは
とても多いのである。
スキューバダイビングという世界は、とても狭い。
情報も結構あるようで、偏り勝ちである。
これからのダイバーに、是非求めて頂きたいのは、
ライセンスコースを受けたり、
各地に遊びに行く際に使うショップ・サービスを、
自分に合っているかどうかを見定める眼を持って欲しい。
あなたがイメージしていた楽しいダイビングを、
自分自身で「しんどい」「怖い」「面白くない」モノに
してほしくない。
日本国内でも、海外でも、
旅行会社を通して申し込むにしても、
どんなダイビングショップを使って潜るのか、
そのショップさんがどういうショップさんなのか、
自身で調べることも、大事な事であると思う。
その先に、“楽しい”ダイビングが待っているとであろう。
ダイビング人 長谷川和弘