耳管が気圧の調節ができなくなったら、つまり開かなくなったらどうなるでしょうか。ツバを飲み込んでもあくびをしても中耳内腔の圧の調節ができない状態を耳管機能不全(耳管狭窄症)といいます。実は、これはなかなかうっとうしい状態です。痛いとか苦しいというわけではないのですが、気が重い状態です。耳管機能不全の例をあげてみましょう。
○かぜをひいて、鼻汁が多いときに、耳がつまったように感じるとき。
○スキューバーダイビングで、耳抜きができないときw
かぜをひいたときに耳がつまったように感じるのはどうしてでしょうか?
「かぜ」といいますと、どうしても、のどが痛い、鼻汁がでる、咳がでる等の症状に目が向きますが、実は鼻の奥の深いところ、耳管にも影響がでています。はじめに述べましたように、耳管は中耳腔と鼻の奥(上咽頭)とをつないでいて、通常は閉じていますが、嚥下時などに一時的に開いて、中耳腔と外気の気圧の調節をします。しかし、かぜをひくと耳管の鼻側の出口(上咽頭の耳管開口部)の粘膜が炎症で脹れたり、分泌液が付着したりして耳管が開きづらくなります。ツバをのみこんでも、あくびをしても開かずに、中耳腔と外気の気圧の調節ができません。これが耳管機能不全(耳管狭窄症)です。中耳腔の圧の調節ができないと、中耳腔内が陰圧となって耳がつまった感じがします。さらにこの状態がひどくなると、中耳粘膜から滲出液が出てきて、中耳腔にたまり、「滲出性中耳炎」になります。