ミュンヘン大敗物語。 | DIVAKIへの日々〜ドイツ在住劇場専属オペラ歌手 辻井亜季穂の日記

DIVAKIへの日々〜ドイツ在住劇場専属オペラ歌手 辻井亜季穂の日記

DIVAを夢見て大修行!!ソプラノ辻井亜季穂の、ときどき日記!
ドイツ在住オペラ歌手の日常生活のあれこれを綴っています。
最近は、 去年の夏に経験した病気についてまとめ中。
多くの方の、ご自身の健康を考え直す機会になりますように。

じゃーん。これがかの有名なバイエルン州立歌劇場です。
photo:01


バス、止まり過ぎっちゅーね。笑。

同居人が月曜日に引いた風邪。
絶対に移らないように気をつけていたけれど、それを見事にいただいた様子。
水曜日の朝、同居人が下痢嘔吐。こりゃあかんわ!!!
前日はホテルに寝泊まりしました。

先日書いたノドイガイガは、朝目が覚めると大量の鼻水に代わり
呼吸をすると鼻の奥にドライヤーの熱風が通るような感じ。
朝起きてからミュンヘンに着くまでの間に、鼻をかみすぎて
鼻の下から上唇までヒリヒリ真っ赤っか。涙。
ドイツのティッシュは、食事用の紙ナフキンのような硬さ。
3回もかめば、もう荒れ始めます。
鼻セレブが恋しいわ。

そして、道中、数日早めのオンナノコノヒ到来。(男性の皆さんごめんね。)
いやー。このタイミングで?
私の母は知っていますが、私の月経痛ったら尋常じゃありません。
のたうちまわるほど、むしろ、
のたうちまわることもできないほど痛みがひどく、
立っても座っても寝ても居られず、呼吸さえまともにできません。
薬なしじゃ無理。
なんで今日じゃなきゃいけないの!?と、今年初、泣きたくなりました。
薬なんて持ってきてへんしね。

ミュンヘンについて、重いお腹を引きずるように歩き
一番最初に見つけた薬局で鎮痛剤を購入。(外国の薬は合わないかも、、、なんて言ってられません!!!)
そのあと、まずは劇場の入り口を確認!!
ミュンヘンはドイツで一番大きな、そして一番物価が高い都市です。
大きな建物に、ややこしい道路、簡単に横切れない大通り。
読めない地図を片手に、トボトボと、なんとか到着。
そこから、昼食をとれるところに入る予定だったのですが、
何せ高級街でしょ。どこも良いレストランばかりで
簡単に入れるような感じではありません。
こうなったら、スーパーでバナナを買って食べよう!
と、ライプツィヒでは一番簡単なはずの決断も、ミュンヘンではそうではない。
バナナ買うのに15分探しまわりました。
漸く百貨店の食品売り場でゲット、人目なんて気にしてらんない。
バナナ食べて、薬を飲んで、会場へ。

肝心の声はというと、かなり乾燥はするけれど、歌える!!!!
全然ベストではないけれど、このコンディションでできること全てやってきました。
演奏に後悔はありません。もちろん、もっと健康状態がよければ、もっといい演奏はできましたが。
この日のベストは出せました。今の自分にできることをやってきた、ということですね。

結果は、すぐにメールで来ました。ダメでした。

今年は総勢514人の応募者から38人が第一オーディションに招待されました。
そこから第二オーディションへはきっと半分くらいが通ったのでしょう。
多くて、全声種合計8名が合格します。

招待貰えただけでも、嬉しいこと。
でもそのチャンスを貰えたんだったら、掴みたかった。
結果がないと、結局なにもないのと同じです。
これが現実。

落ちた理由は、風邪を同居人のせいでも
風邪のせいでも、オンナノコの日のせいでも
大きすぎるミュンヘンのせいでもありません。

私じゃなかったということです。

私のパフォーマンスが劇場に気に入らなかったということ。
ベストコンディションで歌っていても同じ結果だったことでしょう。

残念ですが、落ち込んではいません。
チャンスをものにできなかった自分に腹は立っていますが
悲しんではいません。

ミュンヘンのお話の最後に。
1月なのにまだやっているクリスマスマーケットの写真を♡笑。
photo:02



大好きな焦がしアーモンドがあったけど
そんな元気は無く、そそくさと帰ってきました。
っていっても、バイエルン名物の白ソーセージは買ってきましたけどねー♡

くっそーーーー!!!!

今週末ひたすら休んで、再来週のベルリンに向けて立ち上がります。

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昨日、ミュンヘンへ向かう途中、訃報が入ってきました。

愛知にいたときに、いくどか演奏の機会をくださった
アルマ音楽企画の丹羽さんがお亡くなりになられたとのこと。
まだまだお若いので、驚きました。
メサイヤ、ランチタイムコンサート、お世話になりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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Akiho

~月経とお歌についてのお話~
月経中はホルモンのバランスの関係で、声の艶がなくなったり、音程がとりにくかったり
お肌(ということはもちろん声帯も)が乾燥しやすく、荒れやすくなります。
また、お腹と腰の痛みのせいで、上手くささえられません。
この期間(とくに最初)は歌ったらダメ!と、師匠は言っていました。
人によりますが、私は薬をのんでも、支えがなくなりやすくなります。
音程の悪さ、声の艶も、自分では差がわかりますね。。。
これは女である限り変えられないこと。受け止めて、上手い付き合い方を考える他ありません。