主人公
無し(強いて言えば兵器開発責任者?)
収録アプリ
chain beat
午前6時早朝
気候は快晴
気温、湿度共に問題無し
民衆の反応、異常無し
直ちに作戦行動開始致します。
そして高層ビル屋上で一輪の小さな「華」が咲いた。
Chain beat及びフォロワーさんNesLa_様の楽曲から作らせて頂きました。
今回元となった曲はこちら
NesLa_
(0:00)
街は静かな朝を迎える。
雲一つ無い澄んだ青い空。朝日が街を黄金色に染めた。人々のそれぞれの日常が始まる頃、
高層ビル屋上で一輪の小さな「華」が咲いた。
そう。「華」が。
(0:15)
開花すると同時に花は無数の花粉を飛ばす。
花粉は風に乗り瞬く間に街中へと広がった。
暫くすると街で悲鳴が聞こえ出した。
1箇所からの悲鳴が聞こえると、それは次第に増えていき2箇所、3箇所と悲鳴が聞こえ出す。
異変を感じ街中は逃げ惑う人々で溢れ返り、あらゆる方向へと逃げ惑った。
だがそれは結局無駄な行動となる。
(0:32)
逃げるにも、足からは突然植物の根が生え始めたのだ。その根は土は勿論、アスファルトも鉄までも貫き瞬く間に急成長を遂げる。
自力で無理に引き抜こうにもその根は「自分自身の足」なので引き千切るような激痛が伴う。
身動きが取れなくなった人間はそのまま倒れこみ、足からじわじわと植物の様な姿に変わっていくではないか。
その姿になった者、その姿を恐れた者が悲鳴を上げたのだ。
(0:47)
倒れた人間は皆、脚は根、胴は茎となり、そして頭部は極彩色を纏う美しい華となり地上に咲いた。
flos' finitis
そう。これは人類史上最も美しく穏やかな兵器だろう。
手のひらに乗るほどの小さな華の形状をしているが、その花粉を吸い込んだ者は花となるのだ。
なんて芸術的な兵器だろうか。
この人口花粉は
体内に取り込んだ人間の遺伝子を機能停止させ、植物遺伝子に強制的に書き換える物。
華に変化する様子はまるで華に寄生された人間のように見える。
(1:03)
───人類安衰化計画───
今から数年前、
これは世界政府の裏組織が行った計画。
なにも戦争や神話ナグナロクの様なものを起こそうとする訳ではない。
技術の発展には同時にリスクが存在する。
年月が経つにつれ天災の発生が増え続ける世の中、人々は恐れた。このままでは天災により人類は絶滅するとまで言われる。
しかし考えても見てほしい。近年行われた偽善な環境保護団体によって行われた巨大砂漠の強制緑化テラフォーミング、
発展途上国上層部の貪欲な石油抽出活動によって行われた深海底地層超掘削ボウリング、確かに表面では世界環境や経済は豊かにはなった。
だがそれらの行いが環境の均衡を崩し嵐、津波、土砂崩れとなって人間に返ってきていたのだとしたら…
そう。天災環境は人間が引き起こした結果その物。ならば天災を起こさない為には何をする?
人間を消さなければならない。
その為に世界政府は決断した。一部の人間を残し不要な人間は排除する、しかし命を奪う訳ではない、不要な人間は美しい華として生まれ変わり、生き続けるのだ。
この星を元々の原初の姿へと戻す計画。
それがこの人類安衰化計画。
(1:33)
この兵器の開発チームの資料によれば、華に変わろうとも数分程度なら人間としての意識はまだ残っているらしい。しかし身体を動かす事も、感情も露にする事もなく静かにこの場で咲くことしか出来ないという。
やがて人間の意識は消え去り、それは華そのものとなる。
更に華となった人間も兵器同様花粉を飛ばしその花粉を吸い込んだ者は華となる。
これはまるで感染病。
この様子なら国中の人間は全て華となり、花粉は国を越え時期世界に広がるだろう。
人類安衰化計画は成功したと見られる。
(2:03)
開発責任者の身でありながら私は作戦開始を何度も止めに入った。
実験に試用したマウスの観察も、試作花粉が部屋に噴出した事故の際に研究員が一人誤って華になった時も、迅速に焼却処分した。
私は何故こんな非人道的な兵器を作ったのかと幾度も後悔し恐れた。
しかし街へ口出しする事も、
計画実行を止める事は出来なかった。
私の思惑が露見した今、ガスマスクを装着した兵士達に抑えられ
挙げ句私はマスク無しのままこの華の前に跪かれた。なんてザマだ。
何が美しく穏やかな兵器だ。笑わせるな。
開発者でありながら自分の開発した兵器の犠牲になる。造らせておきながら一体何なんだこの仕打ちは?こんな事があっていいのか?
私はもういい。そんな事よりこれから被害者となる街の人々に謝罪すらさせてくれないのかよ。
私の下半身は植物になっている。足もしっかりコンクリートの床掴んでいる。この姿ではもう無理だ…。
私は何も出来ずそのままビル屋上で極彩色の華となって咲いた。
が、その後どうやら誤算があった事に気付いた。
人口花粉は原子のように極小だった為にガスマスクなど簡単に浸透し無意味だったようだ。
私を抑えつけた兵士達も踠き苦しみ、そのまま華となった。
この様子ならビルの中にいる組織も無事では無いだろう。
開発組織達もこの街の人達も、皆華となる。
もしも誰か生き残ったのなら、誰でもいいからこの兵器の研究資料を見つけてほしい。
そしてこの先の遠い未来、
このflos' finitisに対抗出来る術が出来るのなら、彼らに任せるしかない─────
(2:18)
そして今。
この街には誰もいなくなった。
人間などどこにもいない。
あるのは華。極彩色に咲き乱れる華のみ。
一般人だけでなく、作戦遂行した組織の者達までもが華となる。
誰もが日常を始めようとする静かな朝、
一体誰がこんな場面を予想しただろう。
日が傾くと同時に花粉を飛ばし、役目を終えたflos' finitisは萎み果てた。
だがこの兵器の恐ろしさはこれだけではなかった。
1000年後の遠い未来、この華は再び花弁を開かせると言う。しかし組織が壊滅した今、この事実を知る者は誰もいない──────
閲覧ありがとうございます。
初めて聞いた時、ピアノ曲が好きなのでこれは刺さりましたね(笑)イントロから最高なんですよね(笑)
実はこの曲、シリーズ物で既にストーリーがあったようで、この曲はシリーズ11曲あるうちの4曲目だったらしく、凄く難しい場所から書いたなと思いました(笑)一応1曲の音ゲー曲として一話完結で作らせて頂きましたが、思ってた以上に世界観が広がって来るので他の楽曲もいつか旋律思想として書かせて頂くと思います(笑)