破壊と殺戮を繰り返し
無慈悲な国の長は
何度も主張を続けた
周囲は激しい轟音とともに眩しい光に包まれた。
(04:03)
(04:07)
光がおさまると地上にはぽっかりと大きな穴が空いていた。ノトスとラナの姿は何処にもない。
そればかりか今まで下にいた兵器も兵士達も何処にもいなかった。
辛うじて生き残ったアーザは仲間を一瞬にして失った事に一人に呆然と立ち尽くす。
あまりにも辛すぎる現実に思考が追い付かなかった。
力を合わせて戦うと誓った仲間はもういない。絆も何もかも、偽りの正義の前には無力。
三人で平和を取り戻す。この誓いは永遠に叶わない物となって崩れ去った…。
仲間を失ったのは僕が臆病だから…と今までなら考えていただろう。だが違う。ノトスは生前何度も言っていた。「お前は臆病なんかじゃない。それにお前には俺にも勝てない強さがある」と。しかしアーザにはそれが何なのか分からなかった。
(04:45)
絶望と怨恨と狂乱を生み出す、国の長の主張する
「諸君!見たかこの正義の裁きを!」
破壊と殺戮を繰り返す偽の正義は、
「悪は全て葬り去った!」
同じ傷を負い、生き延びる事ができた、
「これでこの世界には再び平和が訪れる!」
かすかな希望も絶ち、
「しかしこの戦いには犠牲者があまりにも多すぎた。」
涙を振り払う事が出来たばかりの
「だが彼らは決して無駄ではなかった。悪は滅びたのだから!」
「だまれ…」
ガラスの心も無惨に砕き、
「彼らは正義として悪と戦いそして命を落とした尊い犠牲者なのだ!」
「だまれ…だまれ!だまれ!!」
笑顔が消され、怒りや悲しみを通り越させ、
「これは彼らの死があってこそ掴み取った勝利なのである!!」
万物の破壊へと導かせた・・
「だまれ・・・・黙れええええええぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」
(05:28)
「許さない…!許さない!!お前だけは…お前だけは!!…絶対に許さない!!」
そして少年は再び空へ飛び上がった。
その姿はあの臆病だった少年ではなく、
仲間を失った怒りに身体を震わせ我を失い、その目は、涙を流しながらも、ただひたすらに怒りと復讐に燃えていた。
ノトスの言ったアーザの強さ。今ようやく分かった。それは仲間達に対する想いだった。今まさに仲間を失った時である。アーザの怒りは頂点に達し己の力を極限にまで増幅させる。
(05:47)
更に、グレンガーに対して何よりも許せなかったのが、
少数の敵を倒す為だけに核兵器を使い自分の仲間までも吹き飛ばした事である。
自分の仲間だろ!?仲間を何だと思っているんだ!命を何だと思っているんだ!!
「かえせ!返せ!皆を!故郷を!全部かえせ!」
核兵器によりノトスとラナとそれと戦っていた味方の兵士達諸とも葬りグレンガーの思考は完全に常軌を逸していた。
演説の後、彼は爆心地からの異変に気付く。
何かが急速接近していることに。
(06:07)
「何!?まだ悪が生きていたのか!?直ちに迎撃準備をしろ!」
「悪じゃない…僕が正義だ!!」
「何だあの右腕は…まさか人体兵器初号機か!?」
確かにアーザにはグレンガーの兵器が身体にある。だが初号機だろうがなんだろうがそんなことどうでもいい。
ただ自分の持つ力全てでグレンガーを倒す。あいつだけは絶対に許さない。アーザにはこの想いしかなかった。
(06:26)
そして高速で本拠地へと着地しアーザは屋上で報道していたグレンガーの元へたどり着いた。
すぐさま兵器の右腕でグレンガーを突き上げる
「お前達!助けろ!私がいなければ世界中に悪が蔓延る事になるぞ!」
数人の護衛兵士達はすぐさまアーザに銃を向ける。
だがアーザは言う。
「やめろ!あなた達に危害は与えたくない!!僕はあなた達が犠牲者なのを知っているんだ!選ばれた人が兵士となる事を拒んだら悪人と見なされ殺される!だから嫌でも従うしかないんだ!あなた達だってもう爆弾が空から降り注ぐ光景をこれ以上見たくないはずだ!!」
護衛兵達に動揺が走った。
「それにさっきの爆弾は兵士達に退避要請も出さずアンタが勝手に投下したんだろ!敵味方関係無しに無差別攻撃を行って一体どの口が正義なんて言っているんだ!あなた達だってコイツの下で働いてたら殺されるかも知れないんだぞ!!」
(06:45)
護衛兵達によほど効いたのかアーザの言葉に戦意喪失し銃を手放した。
もうこの現状でグレンガーに味方する者は誰もいない。
自分の未来を悟ったグレンガーは重い口を開く。
「小僧・・果たして・・それが・・お前の・・正義・・か・・?」
グレンガーがそう言うと
「いいや、違う。」
そう答えて
(07:06)
アーザは思い切り右腕を真上へと振り上げグレンガーを空高く飛ばした。
その後すぐさま自分も空高く飛んだ。
そして上空でこう答えた。
「喰らえ!!これが…僕達の…!本当の正義だぁぁぁ!!!」
そしてアーザは宙に浮くグレンガーに目掛け兵器化した右腕から巨大な光線を発射した。
凄まじい轟音が鳴り響き光線は空を覆う核開発で汚染された黒い雲を一気に吹き飛ばし、宇宙にまで達した。
これは核兵器程度では比較対象にならないほどの桁違いの威力を誇る。
それもそのはず。何故なら故郷の皆をはじめ、もうこの世にいないノトスやラナの想い
も込められていたのだから。
これは正に悲哀と復讐の裁きと言っても過言では無いだろう。
アーザは心に網羅する怒りや悲しみと言った様々な想いを全てグレンガーにぶつけたのだ。
直に受けたグレンガーは灰になることすら許されず、瞬く間に無に帰した。
(07:23)
それを報道で見ていた世界中の人々は固唾を飲むばかりだった。
だが光線が収まり、黒雲は晴れ行き、青い空が一面に広がった時、
少しずつではあるが歓喜の声が広まりはじめる。その声は爆風に巻き込まれなかったグレンガー部隊の兵士達からも聞こえていた。
念願のグレンガーを倒す事が出来たにも関わらずアーザは喜ぶ事はなかった。
そう。グレンガーを倒したからと言ってノトスやラナは戻って来る事は無い。
仲間を失って得た勝利など勝利でも何でもない。
そして今後自分自身が、この世界で最も恐ろしい兵器だと世界中から知られる事になるだろう。
(07:42)
ここまで読んで下さりありがとうございます。
第6話を持ちまして終わりとなりました。
初めて聴いた時
ノトスとラナがやられた表現が出た時は衝撃的でした。
巨悪を倒したとしても仲間を失い、決してハッピーエンドではなく、物語が終わったあとも少年は笑顔を取り戻す事はなかったと思います。それに自分自身が恐ろしい兵器である事はもう隠すことも出来ない事実。やはり人前に出ることすら出来ないでしょう。ならこのまま人々から時を経て忘れ去られた方が良いのかも知れません。6曲、6話では書ききれないほど世界観は広がってしまいいつかサイドストーリーも書きたくなりますね(笑)
今回は文字の色とか大きさとかかなり使用したのでアメーバアプリの方での閲覧を推奨しています。
物語の最後を飾るに相応しい素晴らしい楽曲でした。
第一話
アーザ~託された力~
第二話
ノトス~孤高の復讐者~
第三話
グレンガー~絶対的正義~
第四話
ラナ~正義への反逆者~
第五話
団結する想い
第六話(前編)
本当の正義とは
第六話(後編)
正義への咆哮
↑今ここ
ん?これは?
第七話
新しい世界へ



