主な収録筐体
CytusⅡ
主人公
CODENAME:BULIED
CODENAME:GAMMA
作者評価
─
作者コメント
GAMMAとの戦いが終わったあと、俺は手を差し伸べた。GAMMAは俺にとって掛け替えのない仲間となった。
このサバイバルゲームも更にゲームルール拡大への一歩を辿っている。
そんな時だ、あいつが現れたのは。
CODENAME:シリーズ3作目
今回も鳩サブレと書かせていただきました。
CODENAME:SIGMA
孤高の復讐者
DITvs鳩サブレ
GAMMAとの一戦は本来お互いを攻撃し合う敵同士が協力する異例の事態からか、試合終了後も界隈の間で話題となった。ネットの掲示板では『冷酷な砲台プレイヤーを更生させた英雄』として俺の名が連呼されているらしい。
あの日以来GAMMAは俺にとってかけがえのない仲間になった。
GAMMAは自らの過ちと反省を込めてチームを解散させ、あの光線は自粛したらしい。
俺のチームの一員となったGAMMAの砲台の腕は一流で、援護射撃は凄まじく、俺や仲間達の背後についた敵機を確実に振り払ってくれる。
GAMMAの方も俺と一緒にいるにつれ、飛行機の良さが分かってきたらしく、たまに砲台を使わず飛行機で参戦したりしている。もうその顔に飛行機に対する恨みのような暗い感情は現れてなかった。
そしてこのサバイバルゲームも更にゲームルール拡大への一歩を辿っている……。
「いくらルールに違反してないからって……」
「こんなのアリかよ……」
今度は武装した人型機械、つまりAndroidロボットが大会に出たと話題となっているという。
このゲームで使用する機体は『コントローラーで操作する金属製の機体』でなければならないとルールで定められている。それ以外の制限は特にないためプレイヤーの使用する機体の種類は様々だ。それでも扱いやすさや強さを考えると大抵のプレイヤーは飛行機に落ち着く。だがごく稀にGAMMAのように砲台や戦車を愛用する人間も中にはいる。
だが二足歩行型の武器なんてものは俺ですら初めて見るものだった。そもそも社会的に見てもまだ二足歩行型ロボットの存在が珍しいものだからだ。
他の仲間が言うにはそいつはいつも単独で出場しどこかのチームに入っている様子もないという。
そうなると、あのAndroidロボットはたった1人の手によって生み出されたのだろうか。
基本的にこのゲームに団体ではなく一人でエントリーすることは不可能ではない。
だが一人でエントリーする人間は俺ですら見たことがない。何故なら一人で10機ほどの敵と相手をしなければならないのだ。どう考えても不利なだけ。
しかし、そいつはそれで尚、無敗のまま勝ち越しているらしい。
俺はこいつがこのサバイバルゲーム以外の面でも半端ない「ヤバさ」を持っているに違いないと感じた。
そして、そいつのCODENAMEはSIGMAというらしい。
「SIGMA……?」
俺はどこかで聞いたことあるような無いような名前に首を傾げる。
だが隣にいたGAMMAは強張った顔をしている。
「どうしたGAMMA?知り合いか?」
俺は尋ねた。
「SIGMA……あいつは俺の元仲間だ……」
とGAMMAは返した。
その言葉を聞いて俺はピンと来た。
「そうだ!あれは俺が初めてGAMMAと戦った時にいたやつだ!」
「ああ、そうだな」
だがその途端俺は疑問に思った。
ということは今はSIGMAと一体どういう関係なんだ?
俺はそう聞くとGAMMAは目線を俺から逸らして話し始めた。
「お前と初めて対戦した時、俺が負けたよな。その後俺の砲台チームは解散した。
お前の熱い気持ちに他のメンバーも心を動かされたらしく解散を不満がる奴はいなかった。ただ一人を除いて……」
「まさか……」
お前の憎しみは所詮その程度だったんだな────。
「SIGMAはチームメイトに暴言を吐き捨てた。俺のチームに1人SIGMAに憧れていた奴がいたんだが、そいつがかなりショックを受けたみたいでな。もうこのゲームには参加しないと言っていたんだ」
微かにGAMMAの声が怒りで震えている。
「……SIGMAのせいでお前やその仲間が傷ついたのか!?」
「ああ、結果的にはそうだな。だが……」
「あのSIGMAってやつ……許せねぇ!俺が倒してやる!」
「待てBURIED!」
燃える闘志と共に会場に駆け込もうとする俺をGAMMAの鋭い声が静止させる。
そして落ち着いた声でこう言った。
「……こいつはお前の問題じゃない。それにお前の敵でもない。これは俺の責任だ。こいつとの決着は……俺が付ける」
GAMMAはそう言って自分の砲台を担いでその場を去ってしまった。
今回の対戦ではGAMMAは別のチームだった。
たまにはお互い敵同士になって勝負しようぜと俺から提案してこのトーナメントに別々のチームで入ったのである。
GAMMAも沢山の仲間が出来たみたいで困ったような様子もない。
そして今回準決勝で俺の対戦相手はSIGMAだった。
GAMMA……お前がSIGMAを憎んでいるのは分かる。だが、俺もSIGMAを許せねぇ。ここで俺がSIGMAを倒してやる!
BATTLE START
開戦と共に俺達は一斉に空へ飛んだ。今回のステージは摩天楼。模造のミニチュア高層ビル群が所狭しと聳え立つ。
摩天楼。本来なら俺ら飛行機達には不利なステージだ。思わぬ操作ミスでビルに激突しリタイアとなる事もあるからだ。
とは言っても相手は一機のみ。それに俺達ベテランパイロット達はビルにぶつかるなんてマヌケな失敗なんて起こさない。
この試合、やはりどう考えてもSIGMAの不利だろう。
数で攻めれば、確実に仕留められる。
Androidロボットがどういう攻撃をしてくるか知らないがここでチーム全員の総攻撃を食らわせればこの試合の勝利は確実だろう。
「目標発見!直ちに追尾する!」
仲間の一人が地上を走っているSIGMAを見つけたらしい。全機でその場所へ向かった。
俺はそこで初めてSIGMAのロボットの姿を見た。四角いブロックを積んだような角張ったロボットを考えていた俺にとって、その姿は軽く衝撃を覚えた。
左半分は遠目で見れば人間そのものと間違える身体の形状、その顔には鋭い目が赤く輝いている。
対して右半分は真っ赤な装甲に全身を包み、所々に細長い尻尾や獣の耳のようなパーツが目立つ。狙うなら装甲のついていない左側だろう。
瞬く間にチーム全員でSIGMAを1本のビルへと追い詰め、様子を伺う。
SIGMA自身はこの状況下でも顔色一つ変えずにコントローラーを握っていた。ロボットも操作の指示をじっと待機している。
チャンスだ。俺は一斉攻撃を仕掛けようと全機体を接近させようとする。
その途端、SIGMAのコントローラーからカチリと音が鳴った。
そして俺には聞こえた。SIGMAのロボットが何かを言ったのを。
──SPEED UP──
その時、SIGMAのロボットが隠れていたビルから飛び出した!
それも物凄い速さだ!これは飛行機でも全速力で飛ばないと出ない程のスピードだ!
暴走化したSIGMAは次々と飛行機に飛びかかる。右手の先には鋭利な爪が付いている。
「BURIED部隊!直ちにその場から退避せよ。」
だが退避しようにもどの機体も間に合わず、SIGMAの餌食となっていく。仲間たちは翼を割られたり、機体に穴を開けられたりして墜落する。
小回りの利くチョッパー達でさえ全て捉え破壊す姿は悪魔そのものだ。
破壊を尽くし瞬く間に戦場は俺とSIGMAだけになってしまった。
俺はSIGMAから逃げるだけで精いっぱいだった。
SIGMAはビル群を飛び回りながら俺に狙いを定めている。
「何なんだあいつは!?いくら何でも早すぎるだろ!」
狭い摩天楼を潜り抜け何とかSIGMAを巻こうと試みるが、とうとうSIGMAは俺の機体に飛び乗った。SIGMAの重量により機体の高度が下がっていく。
くそっ、離せ!落ちろ!
俺が何度機体を振り払おうともSIGMAは離れない。負ける事も時間の問題だ。
そうだ!このままビル群に突っ込んでビルにこいつをぶつければ勝てる!
俺はそう確信した。
俺はこのままビルに向かって高速で進む。上手くSIGMAだけをビルにぶつければ……!
だがその時、GAMMAの言葉が脳裏に浮かぶ。
───これは俺の責任だ。こいつとの決着は……俺がつける。───
……分かったよ、GAMMA……。
俺はSIGMAをビルにぶつける寸前で機体をビルから逸らしビル群を抜けた。
その瞬間、SIGMAに俺の機体はビルに向かって思い切り投げつけられ大破してしまった。
いい。これで良いんだ。
──SPEED DOWN──
その後SIGMAのロボットは何事も無かったように地上に降りる。破壊の限りを尽くしたにも関わらずロボットのその顔は一部始終感情を知らないかのように無表情そのものだった。ステージ上にSIGMAの機体から発される規則的な電子音がただ静かに鳴り響いていた。
試合終了後。
GAMMAは俺に尋ねた。どうやら決勝戦への切符は手にいれたようだ。
「BURIED……どうしてわざと負けたりなんかしたんだ?あのまままっすぐ行けば勝てただろう?」
どうやらGAMMAは気付いていたらしい。
「あの時突然お前の言葉を思い出したんだ。
俺の責任だ。俺が決着をつけるってな……」
「でも、お前の機体が……!大丈夫なのか?」
俺は修復できないほどに壊れたBURIEDの残骸を抱えてこう言った。
こいつは俺のデビュー戦からずっと俺を支えてくれた。
いつまでもこの形を保ち続けてここまで来てくれたんだ。だがもう流石に機体に限界が近かった……。
こいつはもう休ませてやらないとな……。
「だから、勝って来いよ。勝てば今度はお前が英雄だ!」
そして決勝戦はGAMMAのチームとSIGMAとなった。
(続く)
