主人公
グレンガーレジスタンス“ラナ”
グレンガーレジスタンス“ラナ”
作者コメント
他の国だけではない。グレンガー統べるこの国であってもグレンガーの進行に不満を抱く人は数多く存在する。
悲哀と復讐の裁きから始まったこの話も第4話が出来ました。
そしてこの辺りからですね(笑)
MGR-Tさんがジャケットイラストに力を入れて下さるようになりました。(前回3話は元々キャラクターイラストの無いジャケットでした。)
今回元となった楽曲はこちら
否
denial
MGR-T
(00:00)
ラナ。この少女もまたグレンガーの暴動に巻き込まれた犠牲者である。
グレンガーの納める国の出身者ではあるが、彼を大統領として支持はしていなかった。
(00:21)
彼女とその家族は、核により世界中の罪無き多くの人々が苦しむ事への不満が頂点に達し、
グレンガー反対派として大統領及び政府への、核開発、撤廃を求めていた。最初は家族だけで撤廃を唱えていたが
世間が深刻化するにつれ、次第に同じ想いを持った人達が集まり、その同胞達と団結する。
少女の両親は主導者となって各地で反対活動の布教に専念を始める。
案の定、グレンガー大統領の進行に不満を抱く人は多かったようで、それに伴い反対活動は彼らの住む地域から徐々に広がって行った。
更にいたる場所で反対活動が行われ始め、いつしか彼らはグレンガーレジスタンスと言われるようになる。
(01:19)
しかしこのレジスタンス達にグレンガーが黙っている訳もない。この活動の主導者及び加担した者、そしてその地域全てを武力で排除活動を遂行する。
ここにはまだ抵抗勢力に携わっていない住民も数多く存在するのにも関わらず…。
町に突如として武装した兵士達が現れ
瞬く間に少女の住んでいた町は悲鳴と銃声の交わる地獄と化した。
建物は瓦礫と変わり、川や池は赤く染まり、
木々は燃え盛り、人は死体へと変わる…。
必死に抵抗しようとも、いくら逃げようとも、結果は同じこと。グレンガーによって狙われた者は助かる事はない。
そう。グレンガーに反対する者はこうなる運命にあるのだ。それが例え我が国に住む人間であろうとも。
(02:16)
逃げ続けたラナ達家族も遂に皆死体へと変わり果て、この地獄に転がった。
だが、誤解してはならない。これもグレンガーの正義の一貫なのである。
こうしてグレンガーレジスタンスは瞬く間に姿を消したのだった。
(02:40)
次の日の朝、グレンガー大統領がこの地へ足を運んだ。その時には既に町は静けさを取り戻していた。
いや、これは今まで以上に無いほどの静けさである…。
兵士達が死体処分作業をしている中、グレンガーは一つの死体が目に止まった。
「おい待て、車を止めろ。」
グレンガーは車を降り、革靴を血に染めながらそのラナの死体へと近寄った。
「大統領、如何されましたか?」
「これほど美しい娘を死なせてしまったのは勿体ない…。」
ラナはその時、顔に傷はおろか、返り血も浴びていなかった。目は閉じており、まるで眠っているかのように横たわっていたのである。
グレンガーは
「核開発の機関へ連行し、この娘に我が国最大限の力を搭載させろ。」と機関の者に命令。つまり、ラナを最先端核兵器の1つとして蘇らせろと言うのだ。
(03:02)
そして後日、それは完成した。ラナは元の面影を残しながらも内部は殆ど機械が張り巡らせられている。
人間の体を持ちながらも身体は死んでいる。だが体は機械によってまるで人間のように動けるようになっている構造のようだ。体内に様々な武装装備が備わっている。
グレンガーにより兵器となって生まれ変わったラナ。
平和を求めて活動していた彼女自身が恨んでいたグレンガーによって兵器へと改造させられたのはどれほど悲しい事だろう。
だが死した事により生を失い、感情を持たない機械となったラナは、どんなに悔しくても顔は無表情のまま変わらない。
死後の出来事である為に、彼女は悔やんでも悔やみきれないだろう…。
(03:22)
グレンガーの傀儡と化したラナ。
グレンガーにその美しい姿故に彼女はマリアと名づけられた。
試作兵器マリアは複数の整備班や技術者により離れ小島へと連れてこられた。
ここで正常に動くか、兵器としての威力観測が行われる。
まず初めのテストプレーとして廃墟となった旧核兵器研究施設を破壊するよう命じられた。
一体マリアの力はどれほどあるのだろうか?
技術者が声を上げる。
『プログラムを起動する!施設破壊ミッション開始!』
するとマリアは突然内部機械が露出した右腕を施設に向けた。
右腕にエネルギーを溜め込み、巨大な波動を発射した。
それは一瞬の出来事。
数秒前まで建っていた施設は木端微塵に砕け吹き飛ばした。それは予想以上の威力。
テストは合格として申し分ないだろう。
これは歴代最高の兵器であるとここにいた誰もが賞賛した。
これなら問題ないとここにいる誰もが確信し、このまま予定通り次のプログラムの実行に移す。
(04:00)
そのプログラム内容は一つの国の破壊。これは国の政府機関の破壊する事でミッション成功と見なす。
マリアは翼を広げ、音速で空を飛ぶ事が可能となっている為、ここで空を飛ばせ破壊させに行かす作戦である。
『新たなプログラム起動!試作兵器マリア、このままミッションを開始せよ!』
(04:10)
「……」
だがマリアの体は震えているだけで動かない。
「………」
『……?どうした!次のミッションは開始した!直ちに行動開始しろ!!』
「……や…」
『何故だ?プログラムが作動しない。整備班!早急に整備にあたってくれ。』
立ったまま動かないマリアへと数人が駆け寄った。
「イ…ダ…」
だが原因不明の異常に整備班は困惑した。一旦電源を落とし再起動を試みる。
『再起動…。なっ再起動が効かない!?』
(04:19)
「嫌だ!!」
すると突然マリアは暴走を始めたではないか!!
腕を振るい、作業にあたっていた人間を吹き飛ばした。
『おい!マリアが暴走を始めた!直ちに動きを止めろ!撃て!』
だがマリアの暴走は止まらない。
そう。これは国の破壊プログラムを否定したのだ。これは兵器としてのマリアが否定したのではない。
非道的なプログラムに対し、生前、彼女の生まれ故郷が、全てが焼き払われた記憶が怨恨となって蘇ったのである。その記憶がプログラムを拒絶し破壊したのだ。つまり死した心の奥深くで生きているラナが否定したのだ!
(04:38)
もうここにいるのは試作兵器マリアでは無い。あのラナである。
だからラナは今までの怒りをぶつけるかのように暴走を始めた。
もうプログラムで制御する事など出来ない。
『メーデー!メーデー!メーデー!試作兵器が現在暴走中!原因不明!及び数名が死傷!!直ちに救難要────
ラナはミッションを命じた機関や人員を次々に破壊する。
「・・ゼッ・・タ・・イ・・許・・サナイ・・」
彼らもまたあの時故郷で殺戮をもたらした兵士達なのである。許される訳ではない。
以前まで無表情だった彼女は、今は怒りに満ちており、それでありながらも悲しみ、涙を流していた。
(04:57)
壮絶なる怒りの果て。小島の全てを破壊した後にラナは背中に翼を広げた。
だがこの翼は実際に搭載された金属製の翼では無い。まるで天使の翼のような純白な美しい翼であった。
明るい未来を導く平和への願い。
彼女の生前の想いが具現化したと言うのだろうか。
ラナは高速で空を飛んだ。プログラムに設定された国とは正反対の方向へと彼女は飛ぶ。
(05:17)
この事件がグレンガーに届いた時にはラナはもう行方知れずとなっていた。
もちろんグレンガーにとって、この事態は全く予期せぬ出来事。
まさか我々が造った兵器が、それもあのマリアが我々に敵意を向けるなど誰が予想しただろう?
更にマリアは現在我々が造った技術よりも遙かに強い力を持っていると予測出来る。
グレンガーに動揺が現れた。人間離れした力を誇る新たな復讐者が増えた事に。
(06:14)
その時ラナは生まれ故郷に戻ってきていた。
ここで沢山の人達が死んでしまった。家族も、友達も。そしてラナ自身までもが。
現在死体も瓦礫も全て取り除かれ今は新地となり、ここにはもう何もない。あるのは異質な静けさに包まれて漂う重い空気だけ。
ラナは元家のあった場所に赴く。だが勿論ここにも何もない。
全てを奪ったグレンガーに対しこの上無いほどの怒りと恨みを持ち、
この地に居座り続けた。
彼女が求めるのは怒りに身を任せる復讐か?
否。この混沌とした世界だからこそ、彼女が求めるのは平和なのである。
その世界に武器はおろか、核などあってはならないのだ。必要なのは全ての人が全ての人に対する愛である。
世界が愛で満たされた時、初めてそこに本当の正義が生まれるのだ。
閲覧ありがとうございます。
この話も早いことでもう4話となりましたね。元々悲哀から続編が生まれる事なんて考えた事も無かった(笑)
作曲者MGR-Tさんからこの曲から4作目を作ってほしいとミッションを受け、イメージを頂いた後書かせてもらいました(笑)
曲のタイトルが否なので、必ずどこかで何かを否定しなければならない事を踏まえ、この話に仕上がりました。
第一話
アーザ~託された力~
第二話
ノトス~孤高の復讐者~
第三話
グレンガー~絶対的正義~
第四話
ラナ~正義への反逆者~
↑今ここ
次第五話
団結する想い






