第五章
~利用(前編)~

冒険者が食料庫に向かった後、
テロンはティリアに尋ねた。冒険者はイルーナでどんな活躍をしていたのかと。

ティリアは冒険者の功績を知っている範囲で答える。
パルルのキャラバンに入隊し、闇の軍勢の撃破、首都の秘書であるグーリエの陰謀を暴いたこと、
パルルだけでなくパルルとミスルナの誤解を解消し戦争を防いだ事。
怪物に捕らえられた神々を救いイルーナを異世界の怪物から守った事も。
更にテロンの故郷であるスルビニアとも和解させ、現在のイルーナはどの国も平穏が続いてるという。
今のイルーナがここまで発展したのは冒険者のお陰だった。

テロンは冒険者を知らなかったが闇の結晶は冒険者の事を聞かずとも全て知っていた。
すぐにでも命を奪う事を考えた。

しかし闇の結晶は何度も刃を交えてきた為に、冒険者の力を理解している。
迂闊に攻撃すると計画は台無しとなりこの宿主であるテロンの身体も失ってしまうだろう。
だが冒険者はテロンの中に闇の結晶が居ることを知らない。
そこで闇の結晶は
テロンに巧みに話させゲートキーパー復活まで利用させる事を企む。



そんな事を考えてる間に冒険者が子供達を追い払って戻ってきたようだ。

その後冒険者から受け取った手飾りをティリアがはめると、突然光だし手に紋章となって手に貼り付いたではないか。

ここでテロンはようやくティリアがイルーナの人柱と確信した。
となれば話が早い。早速人柱集めを開始しようではないか。

まずここから一番近い人柱はフォルティナのミネロ。まずは彼女から捧げる事にする。しかしこれは自ら行動しなくとも、事が上手く進んでいた。冒険者は既に村人の頼みからミネロを止めてほしいという話があったからである。
おまけに冒険者を心配した人柱のティリアが冒険者を追って洞窟へ勝手に入ってくれた。


しばらくすると二つの光が空へ浮かびだし、ロニオ神殿へと向かっていった。

無事に成功したようである。しかし凄いのは冒険者である。勘が正しければ竜であるミネロを一人で倒したという訳なのだから。これは確かに利用し甲斐がありそうである。
この調子で残りの人柱も捧げる事とした。


続いて冒険者が向かったのはルェーヴ地方のマイオス。

ここの人柱は族長のカガンが持っていた。
ミネロ同様、上手く行けば冒険者が勝手にカガンを倒してくれると思えた。

しかしいくら待っても、そんな気配は全くない。それどころか寄生虫に犯されたシェルクを助けたり、ガーゼフの問題を解決させたりと冒険者はカガンと信頼を深めている様に思えた。

これでは拉致があかない。
遂にテロンが行動を起こす。
マイオスへ向かいカガンと話してる所に割り込み馴れ馴れしく冒険者に話し掛けた。

そして最後に決め手となる言葉を言った。

「さすが冒険者さん!フォルティナを倒しただけの事はある!」

「フォルティナ…!?」



テロンの思惑通りその言葉に反応したのはカガンだった。
先程まで穏やかな表情をしていたカガンが物凄い剣幕で冒険者に詰め寄る。

「冒険者…。一度しか言わねぇ…。ミネロを倒したのはお前か…?」

冒険者がどう答えたとしても、カガンの怒りはおさまる事は無かった。そのまま二人を残して彼はテントへ戻る。

冒険者は何が何だか分からないまま残された。

「あれ…?私、何かマズい事言っちゃいましたかね…?」

テロンの作戦は見事成功。あとは仲間割れを始め、冒険者がカガンを倒してくれるのを待つのみ。

暫くして冒険者はカガンに呼び出される。
一体何の用だと思い、冒険者はカガンの待つマキアの通り道へと向かった。

それを見計らいテロンはまた行動を開始する。

テロンはイルーナの人柱を持つロラヘ血相を変えて駆け寄った。

「大変です!聞いて下さい!カガンさんが冒険者さんに襲いかかってます!」

「…何だって!?アンタ、それはどこでだい!?」

「この先の火山の脇にあるマキアの通り道です!」

「アンタ誰だか知らないけど分かった!全く…何やってるんだ、カガンのやつは!」

これでロラをカガンに会わせる事でカガンを竜にする事に成功する。

その後、冒険者は竜となったカガンを倒してくれたようだ。こうしてテロンは二つ目の人柱を得ることに成功した。