第三章
~暗黒大陸と大神官~

目が覚めるとそこは浜辺だった。
見たことのない景色。
ふと辺りを見ると船はバラバラとなり
船乗りや同胞の学者達の姿はなく、積んでいた荷物も財産も全て失ってしまった。

それなのに何故自分だけ生き延びたのだろう…。
途方にくれながら浜辺を歩くと、小さな村にたどり着く。


テロンは住民の女性に聞いた。
「あの…ここは…どこですか?」


「ここ?ここはイオリウ村だよ。それよりなんだいアンタ…ずぶ濡れじゃないか。どうしたんだい?」
幸い、ここの住人もイルーナと同じ言語を発するようだ。
「航海中に船が難破してしまいここに辿りつきました…。」


「船…?まさかイルーナからここまで来たんじゃないだろうね?」

女性の言葉からイルーナの言葉が出た事に確信した。そう。ここは暗黒大陸。

「そうです。私はイルーナから来ました。」


「まさか!?本当にイルーナから来たのかい!?
あの嵐の中をよく来たもんだ…。で?ル・タートンに来れたは良いものの、船は壊れ荷物も無くなって帰れないと。困ったねぇ…」

ル・タートン。これが暗黒大陸の正式名称だろうか。


「よし、それならリオクトブにいるコーダル大神官に相談するといいよ。コーダル様はイルーナから来られたお方だから話を分かってくれるかも知れないね。」

コーダル、それはどんな人物なのだろう。
そこでテロンは遥々フォリスコ平原を歩きリオクトブへ向かい大神官と呼ばれるコーダルの元へ趣いた。

この暗黒大陸、いや、ル・タートンの主導者とでも言うべきか。テロンはコーダルの居るロニオ神殿へと趣き相談した。だがコーダルはテロンを見るなり相談を拒否した。

それもそのはず。コーダルは今のイルーナが憎くて仕方なかったのだ。

ここで闇の結晶が話し掛けてきた。

「あの男はお前の敵だ。奴はイルーナの神々を滅ぼそうとしている。あいつを止められるのはお前だけだ。」と。

テロンは闇の結晶の言葉に悩んだ。あの神官が本当にイルーナの神々を滅ぼそうとしているのか?
確かにイルーナはテロンの故郷。だが古文書によれば天界大抗争の際、この暗黒大陸へやってきたのはイルーナの人間のはず。イオリウ村の女性も言っていた。それなのに何故コーダルは神々の破滅を目論むのだろうか?