主な収録筐体
VOZE
主人公
私(18歳)
作者評価
★★★★◆
作者コメント
そして私はこの高校を卒業する。
その時だった。
あの人に会ったのは…。
VOZE曲初登場。
carnation
無垢な愛情
季節は3月。
様々な花達が己を開花させ
辺りは甘い香りに包まれる頃。
私はその日、卒業を迎える。
長いようで短かったような高校生活は、卒業式を最後に終わりを告げる。友達も写真を撮りながら皆泣いていた。
私は皆を離れ
人通りの少ない校舎裏を歩く。ここには沢山の思い出が残っている。毎日当たり前のように通っていた学校。でも、もうそれが当たり前ではなくなる。悲しいけれど私はこの学校で役目を終えた存在。これ以上来る必要のない存在となった。
そんな事考えながら歩いているそんなときだった。
「…?あの人何をしてるのかしら…?」
花束を抱えて誰かを捜し回ってるように思える男の人が。
あちこちに目を向けながら男の人は誰かを捜し回っているようにも伺える。
皆ならまだ校庭の方にいるはずだけれど…。
その人は私の方を振り向いた。
私とその人は目が合う。
「あ、あの男の人は…もしかして…?」
私に気付いたその人は私に駆け寄った。
この男の人は…私の憧れの先輩だった。
二年前この学校を卒業して、それ以降ずっと会ったことのなかった先輩。息を荒げてるようで走りながらずっと私を捜し回ってたみたい。
「やっと見つけたよ。卒業…おめでとう。」
卒業式を見に来たのは後輩達の事もそうだけど、でも一番会いたかったのは私だったと言う。
どうして私だったのかな?
聞こうと思ったけれど先輩は急いでいたみたいで何も聞けず、そのまま持っていた花束を渡され走って帰っていった。
渡されたのは赤いカーネーションの花束。
この日はそれ以降、あの先輩を見ることはなかった。
あの先輩、私に何か伝えたかったようにも思えたけれど何を伝えたかったんだろう…?
さて、今日からは私も大学生。希望していた大学に無事入ることが出来た。
まだまだ不満はあるけれど私はまた少し、大人になる。
高校の友達とは離れ離れになり
知ってる人なんて誰もいない中、私の大学生活は始まった。
4月下旬頃。
ある日、私は教室移動で校舎を歩いている時の事。
ガタッ!
躓いてしまい、その時に持っていた教科書を落としてしまった。
幸い怪我は無かったけれど、
慌てて教科書を拾っている時
たまたま通りかかった男子生徒が声をかける
「大丈夫?」と言って一緒に教科書を拾ってくれた。
「大丈夫です。ありがとう。」
私は男子生徒に目を向けた。
「…え?」
そう。そこで会ったのはあの先輩だった。
先輩がこの大学通っていた事なんて全く知らなかった。
「え?君もこの大学に来てたの?」
先輩も私がこの大学に来るなんて思いもしなかっただろう…。
お互いにまさかの再会に驚いた。
聞いた話によると先輩はここで音楽科の方を勉強しているみたい。
先輩らしいわね。
さらに5月中旬にはピアノコンサートが控えてる事も言ってくれた。
そのために今一生懸命ピアノを練習してるらしい。
そして時は過ぎる。
5月。
あの時先輩は赤いカーネーションを渡してくれた。
どうしてカーネーションだったのだろう?
これにはどんな想いが込められていたのかな…?
もしかしたら先輩は私に何か答えを求めているのかも知れない。
でも何に対する答えを求めているか分からなかった。
そんな中、私は今まで先輩と一緒にいた時のやりとりを考え、そしてふと一つの答えが浮かび上がる。
でもその答えを送るのは今じゃない。答を送るのは先輩のピアノコンサートの日である。
やがて時が過ぎ5月中旬。
今日は先輩が出演しているコンサートへ趣いた。
先輩のピアノ弾きが終わるとき、
今度は逆に私が先輩にこの花束を渡す事となる。
先輩ならこの花束をきっと喜んでくれるに違いない。
そう信じ私はコンサートを終えた先輩の元へ歩み寄る。
「先輩…凄かったですよ。これを受け取って下さい。…おめでとうございます。」
先輩は少し驚いたかの様に私の差し出した花束を受け取ってくれた。
「見に来てくれたんだね。ありがとう。これは…カーネーション…?」
「そうです。これは…あの時私に花束を渡してくれたお返しです。そして…、貴方の気持ちに対する答えです。」
私が先輩に渡したのは、そう。赤いカーネーションの花束。
先輩はその言葉の意味をすぐに分かったみたい。
「うん。ありがとう…。」
そう言って先輩はそっと優しく私を抱きしめ、
そして私の耳元で囁いた。
「…大好きだよ…。」
と。
先輩から発せられたその言葉に私は戸惑いを隠しきれなかった。けれど私は先輩の暖かい腕の中で安堵に包まれる。
「私もです…。ありがとう…。」
赤いカーネーション。
その花言葉は無垢な愛情。
透明で濁りなく、純粋な気持ち。そんな優しい心を持つ貴方に私はいつでも…いつまでも身を寄せていたい…。
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カーネーション閲覧ありがとうございます。
最近VOZEやってないけどこの曲はとても好きな曲です。
実際のところこの曲は元々は歌詞があるようですね。
でもゲーム側を元として歌詞のない方向で書かせて頂きました。
