lonely deemo
彼の名はdeemo
謎に包まれた不思議な存在。
彼はこの世界で独り過ごしていたが決して不遇な生活ではなかった。
彼の唯一の楽しみ。それはピアノを弾く事。ここに美しいピアノの音色が響き渡る。
不思議な世界に住む不思議な存在。
ある日空へ続く窓から楽譜が降ってきた。それも沢山の。

それを拾い彼はピアノの元へ向かった。
falling girl
弾いてみるとなんとも美しくて神秘的な曲ばかり。

誰が作曲した曲なのだろう。
どうしてこんなにたくさん降ってきたのだろう。
そんな時、また天に続く窓が開いた。
今度はなんだろうか
彼は天の窓に目を向けた。
すると一人の少女が空から落ちてきたではないか。

思わず手で受け止める。
彼はさぞ驚いただろう。何故なら人がこの世界にやってきたのだから。
少女はピアノに座りうつ向いたまま悲しそうな顔をする。

彼は少女を見つめる。
少女が顔をこちらに向けた。
すると彼は少女に手を差し伸べた。
握手をしよう。
小さな手と黒い手が交わる。

手に触れた時とても暖かく温もりを感じた。
少女は記憶を失っているらしく名前も分からない。
唯一分かる事はこことは別の世界の人間だという事。
少女を元の世界へ帰してあげたい。
となると彼が少女に出来る事は何だろうか?

budding
少女が何かを見つける。deemoを呼んだ。
ふと目についたのは一本の木の芽。
ピアノの置かれた台の亀裂から生えてきた一本の芽。

少女は思い付いた。
この芽を成長させて大きな大きな樹を育てよう。そしたらそれに登って元の世界へと帰れるかな?と。


なんとも女の子らしい考え方である。
そんな夢みたいな事があるのだろうか?
でも、そうだ。これしかないのだろう。
つまり彼が出来る事。それはピアノを弾きその音色で芽を成長させていく。
樹はいつか天の窓へ届くだろう。
出来る限りの事をしよう。
彼が少女と会ったのは言わばただの偶然である。
しかしそれは必然だったのかも知れない。
その必然の為にピアノを弾き始める。
少女の為に。そして彼自身の為に。
growing
芽は成長し樹となったは実をつけ始めた。
届きそうで届かない。deemoなら取れるかしら?
