主な収録筐体
ボルテ、指、ビースト

作者評価

★★★★★

主人公

若者



作者コメント 

あなたはご存知だろうか?冬にこの山へ訪れると 
とある幽霊に遭うことを…。


ボルテ曲初登場









雪 





この山にまつわるこんなお話がある。
大昔。江戸と呼ばれた時代。



___

冬。その日はとても寒く、
辺りは雪が降り続き山から吹き下ろす冷気は町にまで届いた。


空は厚い雲に覆われそこから夥しいほどの雪が降る。夜だと言うのにその雪のせいで空が白い。それは夜の暗さを感じさせなかった。


その日山に赴いた一人の若者がいた。百姓だろうか?鍬を担いでいる。

どうやら夕方から降りだした突然の雪に見舞われ山から帰れなくなったらしい。


しばらく山を歩き始めてようやく見つけたひとつの古い小屋。

今日はここで泊まろうと彼は小屋に入った。

朝になる頃には雪も止んでいる事だろう。


寝床を見つけられ火も焚けた事に一安心。

だがひとつ気になった事がある。

何故外より小屋の中の方が寒かったのか?


始めは気になったが火を焚いてから暖かくなったので今は気にしなくなった。


若者は横になった。扉からひゅうひゅうと外の風の音が聞こえる。


男が寝静まったその時である。


突然小屋の扉が思い切り開いたではないか。


(誰だ!?)

若者は慌てて跳ね起きた。



それは雪のように白い着物を着た一人の若い女だった。



女が小屋に入ったとたん急に寒気が立ち込める。


女は小屋に入ると焚かれていた火に一息吹き込んだ。すると火は一瞬で消えそれどころか燃えていた薪までもが凍り付く。



「!?まさか…お…お前は…」


男は即座に気がついた。

そう。雪女だと。

だがもう遅い。


実は噂で聞いた事がある。


雪女。それはこの山に出る幽霊。雪の降り積る夜、人間を探し凍死させるという。




腰を抜かし慌てて小屋の隅に逃げ込んだ。そして置いていた鍬を手に取り構え、怯えながら女に向ける。



それでも女は近寄ってくる。



「くっ来るな!」



それでも女は無表情のまま近寄ってくる。




女の冷たく閉ざした口が開く。

それを見て
余の終わりを悟った若者。



だが違った。


「お前はまだ若い。生かしてやろう。しかし妾の事は誰にも言うな。もし話したらそなたを殺してしまおう。」


「わ、分かった…誰にも言わない…。」

怯える若者に雪女はそっと微笑み再び雪の中へと消えて行った。


何故若者は生かされたのだろう?


訳のわからぬまま一夜が明け
若者は山を後にする。


それからと言うもの若者は身体に不思議に思った。春になってもまだ肌寒く、夏はいくら畑を耕して働いていても汗をかかない。

周りの人間は汗だくになりながらも畑を耕していると言うのに。


彼は夏場涼しくて仕方ない。




冬。彼は風邪をひいて寝込んでしまった。

この一年間一体どうしたのだろう?


仲間は心配し若者の家に見舞いに着た。

仲間に話す
「実は、不思議な経験をした事が有ってな。そのせいかもな。今から一年ほど前だ。


山に山菜を取りに行った時、雪に見舞われ梺へ戻れなくなってな。山小屋で寝たら突然女が現れて。

その女は…。雪女だったんだ。」


若者がそう言うと


とたんに辺りは寒くなった。



そう。あの女が現れたのだ。



「約束したのに…。」



若者はあの日の約束を破ってしまったのだ。




雪女は若者に向かって冷たい息を吹きかけた。



若者は瞬く間に凍死しその場で動かなくなった。

逃げようとした仲間もそのまま凍死させられた。




彼女は冷たくなった若者の前に座り込む。



そして泣き出した。


何故だろう?

実は雪女は若者に惚れていたのだ。



惚れた人間の命を奪うなんて例え幽霊だとしてもできなかった。




惚れた人間の命を自らの手で奪うのはどれ程悲しく辛い事なのだろうか。

彼女はあの日からずっと若者を見守っていたのだ。



彼女は若者の亡骸を宙に浮かすように優しく抱え込むとまた夜の闇に消えて行ったという。

それから若者の姿を誰も見ていない。


雪女は本当は悪い幽霊ではなく、

ただ…叶わない事を分かっていても

自分の愛しい人間が欲しかっただけの哀しい幽霊だったのかも知れない。









雪女閲覧ありがとうございます。 

雪女は勿論例の妖怪の事です。 
話は昔話を参考にしつつ自分らしさを上手く表現出来たかなと思ってます。

最近サンボルをやりはじめまして何かいい曲ないかなと勧めてもらったのがこの曲ですね。