「残念。貴方こそはと思ったのに。」


ぽつりと呟いた女の顔は、そういった感情を微塵も感じさせなかった。

すぅっと目を細めて唇の両端をを持ち上げたその顔は、

文句の付け所がないほどに美しく、妖艶で、それでいてどんな言葉にも

当てはまらない恐ろしさを秘めていた。

女が近寄る。赤いヒールがコツコツと響くのが、やけに大きく聞こえる。

気味が悪いほどに白い指で、頬を撫でられる。

いや、撫でられるなんて心地よいものではない。

這われた場所だけが温度を忘れてしまったかのように冷たくなった。


「貴方は忘れている。私を。世界を。どうして忘れたの?」


女はゆっくりと瞼を落とし、再び瞳に自分を映した。

先程までの笑みは消え去り、恐ろしさだけが残されていた。

初めて向けられた憎しみを隠そうともしていない眼差しに、

どうすることも出来ず、ただ震え上がることしか出来ないでいた。

正直なところ、女が何を言っているのか全く分からないのだ。

忘れるも何も、女とは今し方会ったばかり。

怨まれるようなことは何一つしていないのだ。

神などという曖昧なものを信じている訳ではないのだが、

神に誓って『何も関係ない。私は何も悪くない』と言える立場である。

大体、世界を忘れるとは何だ?

自分が存在している場所。他人が存在している場所。

それらを繋げたのが世界と呼ばれるものではないのか。


「違う。」


小さくてもしっかりと紡がれた否定の言葉。背筋がぞくりとする。

何とも言い知れぬ感覚が、身体の内外を問わず襲い掛かってくる。

いつの間にか口に出してしまっていたのだろう。

ああ、迂闊であった。軽率であった。悔いてももう遅い。

女の顔は、目も当てられないほどに醜く歪んでしまっていた。


「やはり、貴方ではない。貴方は私ではない。」


耳を疑った。そりゃあ、自分が目の前の女な訳がない。

理屈や何やらを並べて語りだすことはできないが、言い切れる。

女は一方的に喋り始めたかと思うと、ピタリと話を止めた。

話の内容なんか別段興味もなかったので、受け流していた。

しかし、最後の一言だけが耳に焼きついた。


「ならば、私におなりなさい。」


女はにたりと形の良い唇を歪ませた。



そこから先は分からないわ。

分かったことは、生命の防衛反応とかいうものは、

今まで思っていたほどには役に立たないってことくらい。

ああ、目の前に自分が見える。何をするでもなく、突っ立っている。

やがて眼前の私はふらふらと覚束ない足取りで人波に消えていった。




・どんな話にしたいか

・伝えたいこと

・話の流れ

・登場人物

・ネーム

・推敲

これを全て考えなかった結果がこれだよー!

意味わかんないことになってますよ。

とりあえず、状況説明とかはしない。皆様の思考にお任せします。

・・・・・・えぇ、逃げましたが何か?