追加過去問「医・救急、歯・外傷/損傷(創傷治療)」「歯・骨折治療」 | 天上界 Great Materia University 総合医学部 総合医学科学科 医師養成コース(※歯科医師も併合)

医・救急
歯・外傷/損傷(創傷治療)

一般家庭でも創傷に遭遇する機会は多い。
そこで、今回は、講義をするが、
治療方法は、最近の流行が変わってきて、
創内に消毒液を使わなかったり、
創面を乾燥させなかったり(瘢痕防止の目的でハイドロコイド材の使用し湿潤を保つ)
こういうものが答えになってきているので、
俺は、どちらも昔のやり方で通しているのだが、時代時代によるものなので、
どちらが正しくなるかは、時によって変わるが、
国家試験の解説を書く今回は、指定された答えを前提にして解説を書いてやろう。

医学生にとっては、歯科なんて阿呆らしいとか思う気持ちは分かる。
エアタービンで切削することが、医師のすることなのか。その気持ちは分かる。
だが、あれも重要な外科行為なのだぞ。
俺は、歯科は、外科の一分野で捉えている。そうでもなければ阿呆らしくてやっていられない。
口腔外科の場合は、外科の一分野だし、
看護学校・予備校で講義するときも一応看護学生にも口腔外科の教科書があるのだが、
薄い。大学の一般教養レベルだ。それでも外科だからやっているわけで。
口腔外科の場合は、外科の一分野であるし、
「外科で解決できない疾患は何1つない」というのが、俺の考えだ。
生体の機能はしっかりしていて、免疫系なんかはいつも体内で免疫担当細胞が走っているが、それだけに任せてもいいかもしれないのだが、それだとやはり微生物等に負けて死んでしまう。
そこで、外から何かの要因を加えることが医学なのだから、この外からというのが外科なのだ。
だから、「外科こそ医学の全て」だと表現できると俺は思っている。

口腔外科は、かなり寄せ集まっている。外科の一分野だが、皮膚科、整形外科、耳鼻咽喉科、内科、麻酔科、放射線科、
色んな勉強ができてしまう。

俺は、医師の免許と歯科医師の免許の両方を取得しているが
(ちなみに日本の国家試験だと医師国家試験でも歯科医師国家試験でも過半数の科目で満点だったが)、
歯科の学習なんかに6年もいらないと思っている。医科の一分野だから、色んな科の中の一分野で医学部で教えたらいいのだ。
一般人のイメージとしては、タービンでずっとガリガリ切削しているのではないかと思うかもしれないが、俺こそそのイメージに
驚いている。なぜなら、大学で、そういう実習は俺はポリクリで1回くらいしかやったことがないからだ。
普段何をしているかというと、講義に出席しているだけで、ほとんど実習では手を動かすことがない。
解剖学実習は遺体の解剖だし、実習では顕微鏡でスライドを見ていたし、3・4年のときは実習があるから
補綴も矯正もさらっとやるが、さらっと流しただけで削るというのはなかったな。
自動車免許と同じで、ATの実習なんて、MTの免許ではやらないだろ。それと同じで、やらなかったことを
卒業してから、免許試験に受かったら、いきなりやっていいということになるのだ。
それで、外に出ていくとガリガリと切削している人ばかりなので、そういう人間は悪魔にとりつかれてるのだぞ。
普通にHIVの診断とか治療とかを勉強しているのに、受かったら切削だけやっている奴らなのだ。
5年からはポリクリになって、6か月ずつ病院を回って、総合病院も回るが、麻酔科だと救急の実習もあるし、
口腔外科だと血圧を測ったり注射の打ち合いとか
麻酔科だと挿管の実習をやっていたが、
歯科だと助手をやって器具を出したりするだけで実習で自分がやることなんてほとんどなかったぞ。
ほとんどは机に向っての学習だった。しかも純然な歯科の分量は少ない。たいてい内科みたいなことをやっているから、
歯科だけだと1年くらいの学習内容だぞ。
よって、俺は、医学部に歯科を併合して、2つのライセンスを一緒にするべきだと思っている。

あまり問題も変わらないので(範囲は3倍以上変わるのだが)、医師と歯科医師の国家試験の問題を一緒くたに
全身医学の一分野として解説していくことにする。

俺が教えると阿呆みたいに簡単に思えるようになってくるが、
本当は難しい試験だからな。
俺が教えているから簡単に思えるだけなのだぞ。

これは救急外来で働いていると
よく来る患者の基本治療から教えていく。
口腔外科だと口腔外科で患者が来る。大学病院には、普通口腔外科があるし、京大にもあるからな。


医師・救急
115F19
創傷の治療・処置について誤っているのはどれか。

a 異物を除去する。
b 黒色壊死は温存する。
c 深部臓器の損傷を確認する。
d 非感染創は一期的に縫合する。
e III度熱傷では植皮が必要である。


解説
aは、創面に異物があると治癒が遅れたり、二次感染を引き起こす可能性があるため、除去する必要がある。
よって、bが間違いだよな。
壊死組織は温存せずに、デブリードマンだ。
デブリードマンというとdeというのは除去するという接頭語だから

c 〇深部臓器の損傷を確認する
これも歯科口腔外科で出たわ。脳に突き刺さっているか確認する問題。また、機会があれば後でその問題を紹介する。
創面だけでなく、深部臓器への影響もチェックするように。

d 〇非感染創は一期的に縫合閉鎖して創部の癒合を待てばいいのだが、非感染創だと創部の癒合は期待できず、感染治癒を遅延させるため、開放しておくように。

e 〇III度熱傷は自然治癒が困難なため(自然な上皮化が期待できないため)、皮膚移植しよう。この問題は後でまた出てくる。

よって、答えはb


回答のポイント:
創面処置では感染制御が重要になってくるから、異物除去というのは、早期の段階で処置を選ばせることが多い。

「デブリードマン」(debridement)は、壊死した組織を除去して創を清浄化する治療行為だ。
この言葉が分からなくても、綴りから意味は推測できる。
brideとは、結婚とかくっつくという意味なのだ。これは感染層のことだ。これを除去する(de)ことの名詞になっているから、
感染した組織(壊死組織等)を取り除く行為になる。
洗浄と共に選ぶ選択肢だ。洗浄→デブリードマン又は洗浄がない場合は「デブリードマン」に洗浄が含まれているという意味合いだ。


医師・救急-臨床
112C48
65歳の男性。スクーターで走行中に対向車と正面衝突して受傷したため救急車で搬入された。腹部から腰部の痛みを訴えている。意識はほぼ清明。体温35.8℃。心拍数140/分、整。血圧80/50mmHg。呼吸数24/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。迅速簡易超音波検査〈FAST〉で異常所見を認めなかった。

ショックの原因として最も考えられるのはどれか。

a 大量血胸
b 緊張性気胸
c 心タンポナーデ
d 大量腹腔内出血
e 大量後腹膜出血


解説
何度も書くが、ABC確認は大事だが、そのCのときは血圧を見ろよ。
で、Aから見ていくが
A…気道は開通しているから問題なし。
B…SpO2は100%だから問題なし。
C…ここだ!80/50だからショックバイタルなんだ!

ということで、救急だから急げ!何をするんだ!

ここは原因を聞かれているのか。

事故後なのだから、「出血」が原因だ。
よって、回答はdかeになる。

OK!分かった。
原因はeだ。

なぜ、eだと分かったかというと
「FASTで、異常所見を認めなかった」
だ。

FASTは、迅速簡易超音波検査のことだが、
腰部の痛みは、
FASTでは、心嚢・胸腔・腹腔の所見が陰性で、超音波では検索しにくい後腹膜出血が原因だということになった。

もっと簡単な解き方は、
dは腹腔
eは後腹腔
だろ。
どっちが奥にあるか、超音波で見づらいかを考えれば、「後」がある腹腔なのだ。
だから、eが答えなのだ。

迅速簡易超音波検査(FAST)は、
主に外傷患者の診断に使用される超音波検査法だ。
この検査では、
心嚢(心臓を包む膜)、
胸腔(胸部の内部空間)、
腹腔の所見を評価する。
しかし、後腹膜は超音波で直接視覚的に評価するのが難しいため、
FASTでは後腹膜出血を検出するのは難しい
ということになるから、
eが本問の答えなのだ。

よって、答えはe


1%はdに〇をつけていたぞ。バカかって感じだな。
ボケてるのか。


医師・救急-一般
111B26
甲状軟骨の左側に刺創を認める患者の身体所見において、それだけでは緊急手術の適応とならないのはどれか。

a 拡大する血腫
b 広頸筋の断裂
c 進行する皮下気腫
d 振戦〈thrill〉の触知
e ショックを伴う外出血


解説
歯科医師国家試験の口腔外科でも出題されているレベルだ。

すぐbだと分かる。
選択肢を比較しても相対的にbだと分かる。

aは「拡大する」と書いてあるからやばいな。すぐ止血をしないと気道閉塞のリスクがある。
cは「進行する」と書いてあるから喉頭・気管損傷のリスクがあるため、外科的修復が必要になる。
dは血流による血管の振戦を認めた場合は、主要血管の損傷を疑って外科処置を考慮する。
eは「ショック」なので、やばい。初期輸液療法に反応しないショック状態が遷延した場合は、外科的処置を含めた緊急止血術を考慮する。

bは、歯科医師の口腔外科の問題でも、筋の断裂の問題が近年あったので、
本当に同じような問題が出ている。

歯科医師
102D5
104B32

102D5
は、左側上唇の裂傷で来院した。
全身状態に異常は認められなかったので、裂創の処置を行うことにした。
局所洗浄後の創部の写真を別に示す。
次に行うのはどれか。1つ選べ。

a 口唇動脈結紮
b ドレーン留置
c 筋層・粘膜縫合
d スキンテープ貼付
e 医療用接着剤使用


【写真

解説
これは、「ゾンデ」というものを刺しているのだが、同じ問題が108D-1で出題されているから、そこで解説したい。

a 血管の結紮は、裂創の治療には必要ない。よって、×。今回は出血していないからだ。出血していれば、これをすればいいがな。
b ドレーンは液体(膿など)を排出するために使用するが、このケースでは必要ない。よって、×。
c 裂創の縫合は、筋層と粘膜の両方を縫合することが一般的。よって、〇。深い部分を縫合するのに使う。
d スキンテープは軽度の裂創治療に使うので、このケースでは×。軽度の場合に使うことがある。
e 医療用接着剤使用は、迅速で簡単だが、裂創の大きさ・深さによって適切な場合があるが、一部の浅い裂創の場合に使う。このケースは、浅くはない。また、cに優先するものでもない。よって、×。

よって、答えはc 筋層・粘膜縫合になる。

歯科医師
104B32
34歳の男性。上唇の裂創を主訴として来院した。
2時間前に転倒し顔面を強打した。
受傷時に他部位の打撲や意識障害はみられなかった。
直ちに創部を縫合することにした。
初診時の顔貌写真を別に示す。


処置に際し必要なのはどれか。2つ選べ。

a 筋肉の縫合
b 神経の縫合
c 粘膜の移植
d 動脈の吻合
e 赤唇縁の回復


解説
aは、口輪筋が切断されているので、口輪筋を縫合するから、aが〇。

【口輪筋の写真 複数

bは、顔面神経の損傷があるなら回復は必要だが、本問においては、そのような損傷は報告されていない。
cは、粘膜を移植する必要はない。写真では、既に粘膜はあるからである。
dは、出血を認めないし、動脈の損傷はない。
eは、審美的な観点からaに次いで重要。

本問では、
顔面の裂創による出血や神経損傷、動脈損傷がなかったことから、
動脈・神経の縫合は必要なく、
筋肉の縫合十分な修復が可能だった。
粘膜は存在しているため、粘膜移植は必要ない。
そこで、明らかに外観が損なわれているため、顔貌ということから、2つめの選択肢はeがふさわしいということになる。
eを選ぶのは、今までのパターンですぐ解けるものと比べれば、些か難問だったが、写真から正確に判断してほしい。


医師・救急-臨床
113A22
50歳の男性。地震によって倒壊した家屋に半日間下敷きになっているところを救出され、救急車で搬入された。左下肢に広範な挫滅とうっ血を認める。意識は清明。心拍数100/分、整。血圧102/50mmHg。血液検査結果は現時点で不明である。

直ちに行うべき治療として最も適切なのはどれか。

a 生理食塩液の輸液
b 赤血球液-LRの輸血
c 新鮮凍結血漿の輸血
d 0.45%食塩液の輸液
e 5%ブドウ糖液の輸液


解説
これは、阪神淡路大震災の患者のことだ。
こういうことはよくあるから、治療法を知っておくように。

問題文から把握したい情報は、写真と検査データ。
「左下肢に広範な挫滅とうっ血を認める。意識は清明。心拍数100/分、整。血圧102/50mmHg。血液検査結果は現時点で不明」
ということだ。

ここから分かることは、広範な挫滅とうっ血ということで、
細胞内液が外に流れ出ている。
それによって、心拍数と血圧はどうなっているかというと
心拍数はやや高め。
血圧は収縮期血圧は安定しているものの、脈拍は上昇しているため、ショックへの移行が懸念される。
ショックは臓器の血流不足によって引き起こされ、生命を脅かす状態だ。輸液は血圧を維持し、臓器への血液供給を改善するために重要だ。
この場合、「クラッシュ症候群(圧挫症候群)」を診断名とする。
クラッシュ症候群は、
圧迫された組織が壊死し、細胞内の成分が血流に放出されることで発症するが、
この場合、細胞内のカリウムが上昇する可能性がある。
カリウムは心臓の正常な機能に重要であるが、高いレベルでは心臓リズム障害を引き起こす可能性がある。
現段階では、血液検査の結果が出ていないため、
高カリウム血症を回避しつつ、
細胞外液(Kフリーの生理食塩水)を負荷することで急性腎障害や心室細動を発生させないようにする。
カリウムが高い状態で輸液を行うと、急性腎障害や心室細動のリスクが高まるからだ。
カリウムフリーの生理食塩水を使用することで、カリウムの上昇を防ぎつつ、体液量を補充します。これにより、急性腎障害や心室細動のリスクを最小限に抑えることができるから、
これが適切な治療といえる。

なぜ、高カリウム血症での輸液が禁止されるのか。
カリウムは、体内に含まれる電解質であり、心臓をはじめとした全身の筋肉が正常に働くために重要ではあるのだが、
正常な血液中のカリウム濃度は約4.0mEq/L前後なのだ。
血液中のカリウム濃度が5.0mEq/Lを上回るくらいから高カリウム血症と呼ばれる。
高カリウム血症において最も注意すべきは、心臓の不整脈だ。不整脈が原因で亡くなることもあるため、自覚症状がなくても治療が必要だ。
カリウムが高い状態で輸液を行うと、心臓の電気的な活動に影響を及ぼす。
血清カリウムが6.0mEq/L以上の高値になると、心電図に特有の変化が現れる。
例えば、T波がテントのように尖った形になる「テント状T」や、QRSの幅が広がる「ワイドQRS」、P波の消失などがみられる。
さらに進行すると、心室細動へと移行し、突然死の原因となりうる危険性がある。
よって、高カリウム血症の治療においては、カリウムの排泄を促進する薬物療法や、カリウムを含まない輸液を選択することが重要なのだ。

また、高カリウム血症において、カリウムが高い状態で輸液を行うと、急性腎障害のリスクが高まる。
なぜなら、高カリウム血症は腎臓の機能を悪化させ、急性腎障害を引き起こす可能性があるためだ。
腎臓はカリウムの排泄を担当しているが、高カリウム血症の場合、腎臓の機能が低下し、カリウムの排泄がうまく行われない。
これにより、腎臓の機能が急速に低下し、急性腎障害が発生するリスクが高まる。
よって、高カリウム血症の治療においては、カリウムの排泄を促進する薬物療法や、カリウムを含まない輸液を選択することが重要なのだ。

よって、本問の答えはaになる。

論文みたいに書いてしまったな。
だが、これが論文式では正解だ。

医師・救急-臨床
111D27
1歳0か月の男児。午後9時45分に熱湯による熱傷のため救急車で搬入された。午後9時ごろ、自宅でテーブルの上のポットを両親が目を離した間に倒し、熱湯をかぶったため両親が救急車を要請した。意識は清明で激しく泣いている。体温36.2℃。心拍数152/分、整。呼吸数40/分。SpO2 100%(room air)。患児の皮膚の写真を別に示す。

深度が最も深いと思われる熱傷部位はどれか。

【写真 

a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤

解説
これは見たまま答えればいい。
この熱傷の写真を見ると、深度が最も深い部位は③だ。

熱傷の場合、〇で囲まれた部分は、全部水疱が破れているのでⅡ度以上ということになる。
③の尾側は水疱が破れた境界の外側に発赤があるためⅠ度も混在している。
①④⑤は底が赤いからⅡ度
③は、白いからⅡ度深達性~Ⅲ度
②は、赤みが減っているので、①④⑤と③の中間。
よって、深度が最も深いのは③ということになる。

答え③

この部位は皮膚が白く変色しており、深達性のⅡ度熱傷からⅢ度熱傷に該当する。
瘢痕化のリスクが高いため、植皮が必要となる。

こういう場合は、感染を防ぐことが重要な治療になる。
Ⅲ度は植皮がいる。

Ⅰは2~3日で治癒する。
Ⅱは、真皮浅層の場合は、1~2週間で瘢痕再生する。
真皮深層の場合は、3~4週間かかるが、感染するとⅢに移行するから
感染予防が大切になる。
Ⅲは治癒に1か月以上かかる。小さいものは瘢痕治癒する。植皮が必要。115F19のeの解説で書いた通り、自然な上皮化が期待できないため植皮になる。

小児の熱傷の特徴は、
・皮膚が薄いから、熱作用の深達が速い。
・頭部が成人に比較して大きい。頭部の全身に対する比率や体重あたりの体表面積が大きい。
よって、輸液量が異なる。
・熱傷面積が同じでも成人より重症になる。
・小児は水代謝が大きく、ショックに陥りやすく、1/6でも危険(成人では1/3)。
これは、どういうことかというと小児は細胞外液量が成人よりも高いため、熱傷性ショックを起こしやすい。また、不感蒸泄も多い。
・糖の貯蔵量が違う。
幼児は糖質が枯渇しやすいため、輸液には糖を添加した細胞外液を使用するように。
・被虐待児症候群
小児は、虐待が多いから、熱傷は被虐待児の一症状としても考慮される。

こういった所を理解しながら覚えておくといい。

医師・救急88A91改変
広範囲熱傷患者の初期の輸液療法で誤っているものはどれか。
a コロイド液として血漿を用いる。
b 乳酸加リンゲル液を用いる。
c 1mL/kg/時の尿量を確保するよう輸液速度を調節する。
d 輸液必要量は熱傷面積と体重とを基準に決める。
e 保存血輸血を併用する。

解説
広範囲熱傷の患者の治療の場合は
1.気道確保
2.輸液
がまず必要になる。

輸液量は
Baxter法によって決定される。
乳酸加リンゲル液=4(ml)×熱傷面積(%)×体重(kg)

aは〇。全身の毛細血管浸透性亢進のため、血漿の細胞外漏出による著名な細胞外液浸透
の減少を補うため、コロイド製剤を投与するが、
全血輸血は血液濃縮を増悪させるので禁忌。

bは〇。熱傷の重症例の初期輸液では、高張乳酸加リンゲル液を用いる。

cは〇。0.5mL/kg/時「以上」(通常30~50mL/時)の尿量を確保するよう
輸液速度を調節する。

dは〇。熱傷時の輸液は、熱傷面積(%)×体重(kg)に比例する。

eは×。熱傷の輸液は、大量の浸出液と浮腫による水分(電解質)や蛋白の
補充を目的として、赤血球の喪失がない場合は、コロイド液として、
新鮮凍結血漿や5%(4%)アルブミン液を用いる。
これらは、極めて大量に使用するために、全血(保存血)を用いると大変なことになってしまうので、eは×。

よって、答えはe。


医師・救急-一般

115F10
各病態で使用する医薬品と投与経路の組合せで正しいのはどれか。

a アナフィラキシーショックにおけるアドレナリン --------- 筋肉注射
b 下腿挫創における破傷風トキソイド --------- 静脈内注射
c 高血圧緊急症におけるカルシウム拮抗薬 --------- 舌下投与
d 糖尿病性ケトアシドーシスにおけるインスリン --------- 皮下注射
e 熱性けいれんにおけるジアゼパム --------- 皮下注射

解説
aが〇。

初期治療として、血液が豊富な、大腿前外側部(骨格筋)への筋肉内注射が推奨されている。


医師・救急-臨床

101H1
高速道路のパーキングエリアの出口で、多数の観光客を乗せたバスが大型トラックと衝突した。第1陣の救急隊が到着し、複数の死亡者を含む被災者が40数名いることと爆発の危険性がないこととが確認された。医療拠点を決めているところへ、たまたまパーキングエリアに居合わせた医師が駆けつけた。
この医師が救急隊と協力して行う対応で適切なのはどれか。
a 救命可能な人の外出血を止血する。
b 皮下骨折〈閉鎖骨折〉に副木固定を行う。
c 心停止している人に二次救命処置を行う。
d 精神不安の著しい人の不安の内容を傾聴する。
e 呼吸が微弱な人に黒色トリアージタッグ〈識別札〉をつける。


解説
これは、トリアージ(英語: triage、フランス語: triage)の問題だ。
トリアージの原則に従って、適切な対応を行うことが重要だ。

トリアージ(英語: triage、フランス語: triage)とは、
多くの傷病者が発生している状況において、傷病の緊急度や重症度に応じた優先度を決めるプロセスだ。
現在の災害医療体制は、
1.現場で一次トリアージ(START式で重症度・緊急度を判定)
2.災害拠点病院(SCU)で二次トリアージ(転送して治療する必要があるかを決定)
と理解していい。

問題文のように、事故発生現場に医師がいれば、一人でも多くの患者を救うことができる。トリアージ実施者は、治療に参加せずにトリアージに専念する必要があるが、
①活動性出血の止血
②気道確保
の2点については、トリアージしながら行う。

よって、活動性出血を止めることが最優先になるから
a 「圧迫止血」をするが〇。

他の選択肢は
b 外出血の止血が優先されるから、bは×だ。
cは、心停止の奴には即座のCPRが必要だが、この状況では外出血の止血が優先されるから、cは×だ。
dは、精神的な安定は重要だが、救命の場面では関係ないし、外出血の止血が優先されるから、これを犠牲にすることはロスとなる。
eは、黒は死亡。赤は出血性ショックなど、緊急搬送して治療すれば助かる可能性が高いと判断されたものになる。よって、eは黒ではなく赤色のカテゴリーになるから、eは×。

よって、答えは、a。


医師 救急・臨床

110B50
次の文を読み、50〜52の問いに答えよ。
16歳の女子。胸部刺創のため同級生らに抱きかかえられて来院した。
現病歴:突然見ず知らずの男性に左前胸部をサバイバルナイフにて刺された。受傷後すぐに近くにいた同級生らに助け出され、一般救急外来に運ばれてきた。同級生らの話では、病院の近くの公園で、青年男性の無差別な暴力行為が発生しており、他にも数人が負傷しているとのことである。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:高校生。
家族歴:両親、兄弟とも健康。
現症:意識は清明。身長150cm(推定)、体重40kg(推定)。体温35.5℃。脈拍120/分、整。血圧80mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。ショック状態と判断し、直ちに医療従事者を集めた。蘇生処置室に搬入し、酸素投与を開始の上、静脈路を確保して輸液を開始した。左第5肋間鎖骨中線よりやや内側に長さ3cm程度の刺創を認めるが、体表への出血は止まっており、衣服には径数cm程度の血液が付着している。
この患者のショックの原因を鑑別するのに有用な身体所見はどれか。
a 皮膚浸潤
b 瞳孔散大
c 意識レベル
d 口腔内乾燥
e 頸静脈怒張


解説
突然知らない男性にサバイバルナイフで刺されたとあり、
左前胸部鋭的刺創が認められる。
これによってショックが起きたと判断したが、
ショックには、出血性ショック(90%)と閉鎖性ショックと神経原性ショックがある。
本問では、この鑑別が問われている。
本問では、120回/分ということで頻脈(100回~/分)を認めているから
徐脈になる神経原性ショックとは考えられない。
よって、出血性ショック(90%)と閉鎖性ショック(心損傷、心タンポナーデ、緊張性気胸などによる)の鑑別が重要になる。
B50では、その身体的所見は、どれかというと
頸静脈怒張は閉鎖性ショックで認められるため、eが答えになる。
ただし、大量出血と閉鎖性ショックが合併しているときは、頸静脈怒張は認めない。

何を書いているかというと、
頸静脈怒張は、頸静脈が拡張して目立つ状態を指す。これは、心臓からの血液がうまく戻らないことを示す身体所見だ。
具体的には、頸静脈が通常よりも膨隆していることが観察される。

閉塞性ショックとは、心臓や大血管に問題があるために血液がうまく循環しない状態を指す。
例えば、心タンポナーデ(心膜内の血液が圧迫して心臓が適切に拡張できない状態)や
緊張性気胸(気胸による圧迫により肺が正常に膨らまない状態)などが考えられる。

大量出血と閉塞性ショックが合併している場合、頸静脈怒張は認められないことがある。
これは、出血によって血液量が減少し、心臓へ戻り血液量が低下するためだ。
頸静脈怒張は、通常、心臓への血液戻りが良好な状態で観察されるが、
出血によって血液量が減少すると、頸静脈は拡張しなくなるためだ。

頸静脈怒張の観察は、ショックの原因を特定する上で重要だ。
閉塞性ショックの可能性が高い場合、頸静脈怒張が観察されることで、診断に役立つのだ。

B51
吸気時に大腿動脈の拍動が減弱し、胸部の聴診で心音が減弱している。創部より呼吸に伴う空気の流入出が疑われ、呼吸音は左側でわずかに減弱している。触診で皮下気腫は認めない。
最も優先すべきなのはどれか。
a 超音波検査
b 胸部造影CT
c 12誘導心電図
d 創部直視下検索
e 血液生化学検査


解説
aが〇になる。超音波検査(FAST)は、大量血胸、胸腔内出血、心タンポナーデの診断に有効であるため、
最も優先されるべき検査だ。
また、FASTに、気胸の検出を加えた手法をEFAST(extended FAST)という。胸部X線よりも高感度で気胸を診断できるため、まず行うべき検査として適当だ。

よって、
設問の患者の症状から、最も優先すべき検査は「超音波検査(エコー検査)」ということになるので
aが〇になる。

B52
この患者を救命救急センターに転送することにした。搬送時間として少なくとも30分は見込まれる。左側の呼吸音はさらに減弱し、ポータブル撮影による胸部エックス線写真でも明らかな気胸を認める。
転送前に行う処置として必要性が低いのはどれか。
a 創閉鎖
b 心嚢穿刺
c 中心静脈確保
d 胸腔ドレナージ
e 尿道カテーテル留置


解説
この患者の状態を考慮して、転送前に行う処置の必要性を判断しよう。

a 創閉鎖(創部を閉じる)は、外傷性の刺創や傷口を閉じる処置だ。
この患者は胸部刺創を受けており、創閉鎖の必要がある。応急処置として三辺テーピングをして、創の閉鎖と緊張性気胸の防止を兼ねよう。
b 心嚢穿刺(心タンポナーデの治療)は、心臓周囲の膜(心嚢)に血液や液体がたまるとき、心臓の拡張を妨げる状態で行われる。見逃すと死に至るので、安全に搬送先に到着できるように、FAST結果の記載はないものの、心嚢穿刺はやっておいた方がいい。臨床では、良い医者は、予防的にこれをやっておく。絶対やる。俺の外科室では絶対やっている。
c 中心静脈確保は、重篤な状態の患者に対して中心静脈カテーテルを挿入する処置だ。これは、輸液や輸血を行う際に使用されるので、本設問では、ショックによる循環動態悪化を改善するために輸液、ならびに輸血を行うという意味になるので、これも〇といえるな。
d 胸腔ドレナージは、気胸の治療に用いられる。この患者は明らかな気胸を示しているため、胸腔ドレナージの挿入が最も優先されるべき処置だし、合併が予想される血胸もドレナージして適切に処理できるからdは〇になる。
e 尿道カテーテル留置は、尿の排泄を管理するために行われるが、この患者の状態には直接関係ない。
尿量は循環動態の良い指標になる。尿量は一般的に脱水や腎機能の評価に用いられるが、この患者の状態においては、気胸の治療や循環動態の改善には尿道カテーテル留置は必要ない。他の処置を優先しろ(患者の状態を適切に管理しろ)。よって、eは×。

よって、転送前に行う処置として必要性が低いのは、eの尿道カテーテル留置だ。

よって、本問の答えはe。


医師 救急・臨床
110I51
19歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。オートバイを運転中に転倒し、右側腹部をアスファルト路面に強打した。搬送中は意識清明で脈拍100/分、整。血圧120/80mmHg。事故発生から病院への搬送は約45分。搬入後、呼びかけには反応するが時々意識が途切れる。脈拍112/分、整。血圧90/60mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。右腹部は膨隆し圧痛がある。血液所見:赤血球330万、Hb 11.4g/dL、Ht 33%、白血球12,800(桿状核好中球2%、分葉核好中球78%、好酸球2%、好塩基球1%、単球3%、リンパ球14%)、血小板17万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、AST 40U/L、ALT 42U/L、LD 189U/L(基準176〜353)、尿素窒素23mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 141mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 107mEq/L。CRP 0.4mg/dL。直ちに乳酸リンゲル液の投与を開始した。尿道カテーテルを留置すると血尿を認める。腹部造影CTの冠状断像を別に示す。輸血を行いながら選択的右腎動脈塞栓術を施行したが血圧は84/52mmHgと上昇しなかった。
次に行うべき治療として適切なのはどれか。
a 開腹止血術
b 自家腎移植術
c 右腎静脈塞栓術
d 経皮的腎瘻造設術
e 腹腔鏡下右腎摘除術

【写真 

解説
aが〇。ショック徴候があり、一刻も早い開腹止血術が求められる。

よって、aが答えとなる。

a 開腹止血術は、ショック徴候があり、一刻も早い処置が求められる場合に選択される。この患者は意識が途切れ、脈拍112/分、血圧90/60mmHgであり、右腹部に膨隆と圧痛がある。さらに、腹部造影CTの冠状断像で気腫性変化が認められている。これらの所見から、内臓損傷による出血が疑われ、開腹止血術が最も適切な治療法になる。

b 自家腎移植術は、腎臓がんや腎結石などにより腎臓の機能低下・喪失などの場合に行われるが、この患者の状態には直接関係はない。
c 右腎静脈塞栓術は、腎臓の血流を制限するために行われる処置だが、この患者さんのショック状態には適していない。循環が許せばこれを追加する可能性はあるが、「次に行う"べき"」適切な処置という問題だから、これは一歩ひいておこう。
d 経皮的腎瘻造設術は、腎臓の尿排泄を管理するために行われる処置だが、尿管通過障害のときにやる処置だ。この患者の状態には直接関係はない。
e 腹腔鏡下右腎摘除術は、腎臓の摘出を行う手術だが、腎腫瘍などの予定手術で実施される術式だ。この患者の状態には、適していない。

よって、「次に行うべき治療」として適切なのは、開腹止血術(選択肢a)


【写真 オリジナル110I51 1~4

 

 

--
では、歯科医師国家試験の創傷の問題を解説していく。

歯科医師
107C47

【写真 

解説
乳幼児は、まだ生まれて慣れていないから、転倒しやすい。
乳幼児の口腔前庭の粘膜は薄く脆弱だから、裂創が生じることが多いから、治療法を知っておくことは不可欠である。

本問では、
「まず」行うべき対処と問われているので、
ここまで教えてきた通りで、すぐ答えられたのではないか。

解答は、ルール通り、cdになる。

aは、顎骨骨折の所見はないから、不要。この問題のパターンでは、まず、こんな所の治療の話にならない。歯科口腔外科では、従来から、すぐに「洗浄」→「消毒」と答えるパターンばかりになる。
bは、真皮ではない。粘膜の縫合をしよう。よって、×。
cは、〇。二次感染の予防のために行われる。
dは、〇。
eは、本症例は、裂傷と擦過創が認められ、組織欠損は小さいから、人工真皮の貼付は必要ない。ちょっと解答のイメージから離れすぎていて、遠すぎると感じるので、距離感的にもすぐ×だと判別できる。

一番、この問題パターンの解答のイメージにあうのは、bcなのだ。
歯科医師国家試験の場合も、試験時間は、本当にないので、1時間で60問くらい解かないといけないのだが、1問3秒くらいでスラスラ解いていっても、本当に全科目時間ギリギリになるので、すぐ問題パターン→解答のイメージで3秒くらいでcdと選んでいかないといけない。


歯科医師
110C127

【写真 

解説
このパターンもよく出題されるのだが、
簡単なのだが、受験生には難しく見えるようだ。

解き方は、切開線に一番近い骨縫合を探せばいい。

そうすると前頭頬骨縫合のdが答えになる。

eは少し遠いから、dが〇になって、eは×。ここからのアプローチは遠すぎてメリットはない。

bは、眼窩底骨折では、「睫毛下切開(subciliary incision)」が行われる。
眼窩底骨折の治療には、睫毛下切開(subciliary incision) という手術法が用いられる。
この方法は、眼窩底や眼窩の外側壁の骨折部位にアプローチするために、
下まぶたの睫毛直下に平行に皮膚を切開し、
脂肪組織や筋肉を元の位置に戻りにくく、審美的な観点からも優れているとされている。

cでは、Gilliesの側頭アプローチが行われる。


歯科医師
109C127

【写真 

解説
これは、すぐeが〇ということで、次の問題に進む難易度の問題なのだ。

問題を特にあたって、初学者の医学部・歯学部の5~6年生くらいは、
創傷の種類を覚えないといけない。

以下に、創傷の種類と特徴を解説する。

・切創(incised wound):
鋭器による開放性損傷。
創縁は直線状で正鋭でなく、挫滅縁がある。
創端(創角)は破裂状で、創面は平坦でなく、創洞は楔状で架橋構造を持たない。

簡単に書くと刃物の創。

・割創(cut wound):
重量のある物体が体表面に打ちつけられて生じる開放性損傷。
創縁は直線状で正鋭であり、挫滅縁がない。
創端は尖鋭で、創面は平坦で、創洞は楔状を呈することが多い。

・刺創(stab wound):
刺器による損傷で、刺器の種類により創の形態が異なる。

針やアイスピックなど先端の鋭利な器物により生じる創だと覚えておけばいい。

・挫創(contusion):
鈍的外力が作用して生じる開放性損傷です。
創縁は不整で、表皮剥脱を伴います。創端は不整で、創面も不規則・不整です。創洞は架橋構造を持つことが多いです1。

・裂創(laceration):
鈍的外力により表皮が過度に伸展されて生じる開放性損傷。
創縁は不規則・不整で、創端や創面も不規則・不整。
挫創との区別はつきにくいが、組織欠損は無い。

鈍的な外力により軟組織が過度に伸展して割かれて生じる創だ。

本症例も上唇の連続性が保たれていて、受傷様式もシートへの強打だから、裂創なのだ。

写真を見てほしい。
写真では上唇の開放性損傷があり、創縁は不整であり、組織の連続性が断たれている。

交通事故では
交通事故では、シートやダッシュボードに激突して、多くが、裂創や挫創になる。
牽引力が加われば裂創となる。
汚染も伴いやすいから、治療法は、医師国家試験で習ったように通常通り、汚染組織の除去(デブリードマン)をし、
新鮮な組織面を出して洗浄してから、縫合を行う。

基本は、洗浄→消毒→縫合
創傷治療は、ケースによって少し変わることがあるから、問題によって適切なものを選ばなければいけない。

よって、答えはe。


歯科医師
108D1

【写真 

解説
D問題に入って、いきなりこんな簡単な問題だったら幸先がいいなと思う。

外で転んだわけだから、まず最初にする処置は、「洗浄」に相当するものを探せばいい。
すると洗浄はないが、デブリードマンがあるから、同じ意味のカテゴリーに入るものだから、
bデブリードマンが〇になる。

よって、答えは、b。

洗浄・デブリードマン→縫合の順になるのだが、
接着剤は効果が不十分なので、浅いものに使うし、縫合が望ましいから、2つ並んでいた場合、どちらかというと縫合が答えになる。
すぐはがれてくるのだよな。


歯科医師
107B38

【写真 

解説
最近、ハイドロコロイド材が流行ってきていて、流行が変わってきているのだ。京大が早くから提唱していた。
昔は、皮膚の創傷には、乾いたヨードホルムガーゼがドレッシング材として使われていたが、
細胞を殺滅することや、乾燥環境下では細胞の遊走が阻害されるとの理由によって
かえって治癒が遅れる。
以上の理由から、現在は、消毒もせずに生理食塩水の洗浄などにとどめて、ハイドロコロイド材などでドレッシングして
湿潤環境を保つという奇怪な医術が推奨されている。

これは、湿潤療法といって、モイストヒーリングともいうが、
傷口の湿潤状態を保つことによって、自己治癒を促進するわけだが、
化膿している傷や出血が激しい傷には使わない。

ハイドロコロイドというと、ハイドロというと水のことだが、コロイドだと小さな何かが入っているわけで、
ベタベタのバンドエイドが薬局に売り出されるようになった。
「水」(ハイドロ)と「小さな粒子」(コロイド)を組み合わせたものだ。
コロイドは微細な粒子が液体中に分散している状態を指し、その粒子は通常ナノメートルからミクロンの大きさだ。
ハイドロコロイドは、水を含むこのような微粒子のことだ。
なぜ、コロイドを入れているかというと
湿潤な環境は細胞の遊走や再生を助け、傷口の治癒を早める。
コロイドが水分を閉じ込めることで、この効果が得られるのだ。

こんなのは、破傷風とか、咬傷とかの
医師国家試験の解法理論にあわないから、
俺は、全部はじいて、×でいいと思うぞ。俺は、こんなことしない。

だが、美容的な観点から優れていて、瘢痕の形成を軽減し、傷跡を最小限に抑える効果があるために、
最近は流行になっている。

だから、本問では
dが×になって
eが〇になっちゃうので、
昔のドクターは正解できなくなっているのだ。

aは組織欠損が大きいときに使え。今回は、そういう所見はないから×になる。

bは刺激が強すぎるので、これしかなかったら俺なら使うが、
創傷治癒を遅らせるから、過度な消毒はしない流儀が、風潮になっている。

cは抗真菌薬だから、このパターンでは使わない。水虫の症例で使え。

よって、答えはeになる。

俺は毎回正解しているが、くそ問題だと思いながら正解している。
司法試験でも行政書士試験でも同じだぞ。思ってないことを資格試験では答えにして合格している。

これは、外国では×になる答えなのだぞ。
今でも×になっている国は少なくない。

だから、そういう国での流行にあわせて、その国の試験では答えを選ぶが、
いつでも答えになるような手順を頭に入れるといい。

すると
ここを覚えたほうがいい。

日本創傷外科学会の急性創傷診療ガイドライン
https://www.jsswc.or.jp/volume.html#chapter1


問題だと思って解いていけばいい。

CQ1
刺創にCT,MRI,超音波検査は有用か?
推奨
異物残存が疑われる場合や深部臓器損傷の評価に,CT・MRI・超音波検査は有用である。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ2
切創,裂創,擦過創,刺創において消毒剤による洗浄は水道水による洗浄より有用か?
推奨
創傷部の感染予防には水道水による洗浄が有効であり,消毒薬や生理食塩水を洗浄に用いることは必ずしも必要ではない。
推奨の強さと根拠
1B(強い推奨,中程度の根拠)

CQ3
切創,裂創,擦過創において,創傷被覆材は皮膚外用剤よりも有用か?
推奨
創部の状態に応じて適切に選択すれば,皮膚外用剤と創傷被覆材のどちらも有用である。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ4
切創,裂創,刺創に予防的抗生物質投与は有効か?
推奨
基礎疾患を伴わない骨や深部組織などの損傷がない単純な創傷では,予防的抗生物質投与によって感染の発生率には差を認めず,有効とはいえない。
推奨の強さと根拠
2B(弱い推奨,中程度の根拠)

CQ5
切創,裂創,擦過創,刺創に破傷風予防は有効か?
推奨
切創,裂創,擦過創,刺創に対して,年齢,創の状態,ワクチン接種歴,糖尿病合併の有無などを考慮し破傷風予防を行うことは有効である。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ6
切創,裂創では受傷から縫合までの時間が術後創部感染に影響するか?
推奨
単純な切創,裂傷であれば,縫合までの時間は術後感染に影響していないと考えられる。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ7
切創,裂創における合成皮膚表面接着剤は縫合,皮膚接合用テープより有効か?
推奨
縫合や皮膚接合用テープなどの従来法と比較すると,合成皮膚表面接着剤(TA)は処置に要する時間や痛みの軽減には有用であるが,創部離開のリスクを考慮すべきである。
推奨の強さと根拠
1B(強い推奨,中程度の根拠)

2章 挫滅創・汚染創
CQ8
評価に創部細菌培養は有用か?
推奨
評価に創部細菌培養は考慮してもよい。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ9
水道水による洗浄は有効か?
推奨
水道水による洗浄は有効である。
推奨の強さと根拠
1B(強い推奨,中程度の根拠)

CQ11
デブリードマンは有効か?
推奨
明らかな壊死組織や異物については,デブリードマンが望ましい。
推奨の強さと根拠
1B(強い推奨,中程度の根拠)

CQ12
一期的縫合は有効か?
推奨
受傷後6~8時間以内に十分な洗浄・デブリードマンが行われた場合には,一期的縫合が有効である。
推奨の強さと根拠
1B(強い推奨,中程度の根拠)

4章 切断創
CQ24
保存的治療において消毒は有効か?
推奨
保存的治療において消毒の使用を考慮してもよい。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ25
保存的治療において抗生剤は有効か?
推奨
保存的治療において,抗生剤の全身投与を考慮してよい。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

CQ29
切断創に皮弁は有効か?
推奨
皮弁選択は,大きさや部位に応じて再建手順,再建材料をふまえれば有効である。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)
CQ30
切断創に皮膚移植は有効か?
推奨
切断創に皮膚移植を考慮してもよい。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)
CQ31
切断創に人工真皮は有効か?
推奨
切断創に人工真皮を考慮してもよい。
推奨の強さと根拠
2C(弱い推奨,弱い根拠)

だから、手順としては、消毒は含めないという答えになってきているよな。

そこで、
1.洗浄 (cleanse)
2.デブリードマン (debride)
3.創縁の新鮮化 (refashion);一期的縫合を行う場合、受傷後6~8時間以内に十分な洗浄・デブリードマンが行われた場合には、創縁の新鮮化が有効。
4.創傷の被覆 (dress): 創傷被覆材を選択する際には、創部の状態に応じて適切に選択。

になり、消毒も必要ないという解法チャートになるのだが、動物咬傷に対応できないから、
消毒は入れるべきなのだ。
では、消毒は、どこに入っているかというと
1・2に入っているのだ。洗浄→デブリードマン→消毒となっている。

そこで、
1.洗浄・デブリドマン・消毒
2.縫合
という順になるが、
もっと細かく書いていくと

1.洗浄
2.デブリドマン
3.消毒
4.創縁の新鮮化
5.創傷の被覆 (dress)

この順が創傷問題パターンに対しての解法チャートになる。

これは、実は細かく考えると難しいのだ。
なぜかというとケースによって優先順序が変わってくるし、
国によってもバラバラだからな。

今の日本ではこれで答えていけばいいし、俺は、これでやっていく。


ここからは、外力が、顎骨のどこにかかったのかを推理する問題パターンになる。
これもまあまあ出題されるパターンだ。

ちょっと考えれば知識なしで解けるサービス問題だ。
司法試験では、こんな問題は無いが、
法学検定2級や上級では、こういう暗記なしで考えるだけで解ける問題が出るが、
暗記がどれだけ阿呆かということを教えるために学者は出すのだが、
最高の司法試験では、さすがに暗記も必要にしないといけないということで、
考えるだけでは解けないようになってきた。

歯科医師
104D47

【写真 


解説
上顎左側小臼歯の頬側咬頭が
頬側にかけて破折しているから、
その逆(下顎の右側の下縁部)から外力がかかったのだ。
よって、dが答えになる。


歯科医師
105B39

【写真 


解説
オートバイの交通事故は昔から多く救急で運ばれてくる。
口腔外科の場合でも、同じ処置をするのだが、
頬骨弓は、ペラペラで薄いからよく骨折する。好発部位だから、覚えておけ。
次に、AがレントゲンでB(右)がウォーターズ法(Waters法)撮影で、C(下)がCTなのだが、
BCで頬骨弓と上顎洞前壁の骨折が認められる。

よって、bcが答えになる。

眼球が無事でよかったなと思う問題だ。


歯科医師
105D2

【写真 


解説
喧嘩で殴られて来院する患者もいる。
よくケンカでは顎を殴る奴が多いが、そうなるとどこに外力がいって骨折しやすいかというと
下顎骨骨体部だよな。次に、力の伝達によって、関節突起が骨折(介達骨折)しやすい。
筋突起も骨折しやすいが、骨が細い所が介達骨折しやすい。

介達骨折:力が加わった場所より離れた部分に起きる骨折。

解剖学的名称も覚えておくように。もう2年生じゃないのだから。

【写真 歯科医師105D2 別1・2 2枚




顎骨骨折の治療法のパターンは、まだ教えていないが、
このパターンの問題と出会ってしまったので、
さらっと解いていくが、予習ということで見ていけばいい。

解き方としては、肉眼的な所見は、ほぼ注視せずに、
レントゲン(又はCT)を見るのだぞ。

CTで骨折線を確認しろ。
すると、今回だと
下顎に2か所確認できた。
右側犬歯部のあたりと
左側下顎角部(臼歯部)。

で、場所が下顎骨だと
プレートをうちこめばいいのだが、
最近だと金属製より吸収性のプレートを多用するようになってきたが、
選択肢にプレートがないので、
固定を選べばいいからbが〇になる。
これは整形外科の基本だからな。

次に、固定するのだが、
何で固定するのかという話になって、
歯科だと上下顎歯に矯正みたいな線副子をグルグル巻きつけて顎が開かないようにする。
「線」を使えという意味だから、
線が入っているcが次の〇になる。

よって、bcが答え。


普通は、成人だったらプレート固定なのだが、
プレート固定がない場合が、骨縫合による固定が答えになるが、それもなければ歯に線副子を巻き付けて固定するのだ。
固定できれば、一応は治療になるのだから。病院に観血手術をする勇気がない人とか、プレートを打ち込むインスツルメントの準備がない場合、こういうやり方もありになる。

だから、
解答のパターンとしては
1.「整復」→2.「固定」→3.「投薬(抗菌薬、鎮痛薬)」という順序になる。

3は外傷治療の基本だから、骨折の整復・固定以外の場面でも頻出だぞ。

小児と老人は、2でどうするかというと
線副子を使うのかというと
ここは論理的に考えないといけないぞ。

小児は、これから発達するから、顎骨の発達を阻害しないために
プレートは使わない。
老人は骨が薄いからプレートは打ち込めない。割れてしまう。

では、線副子かというと
小児も老人も歯がないから(未萌出および喪失)
床副子(splint)を骨に当て、その板を囲むようにワイヤーで結紮することを囲繞結紮というのだ。
これによって、骨の成長発育や後続永久歯の影響を最小限に抑えることができる。

ただ、修正があるが、昔は老人には、全身状況も危惧されるからプレートは使わなかったが、

現在では、「手術が可能であれば」ということわりありで、使うという答えになっている。骨片偏移が大きい場合も安定するから、できれば観血処置をするほうがいいといわれているが、どれも答えになりうる。

こうやって考えて頭に入れていかないと
色んな骨折の問題がいりみだれて出題されるから
混乱して治療法が訳分からなくなるから、
下顎骨体部骨折の場合は、この解法のパターンで、問題文の状況をあてはめて
出現した答えを回答するのだぞ。

全部そういう機械的な作業だから。

一番ダメなやり方は直感で解くことだ。
また書くつもりだが
そんな方法で受からないからな。

問題パターンと
それに応じた解答のパターンを
インプットしておいて、
この状況は、このカテゴリーだと分類して、
ふさわしい解答のパターンを適用して
問題文の状況を
「論理的に」「あてはめて」いって
そのフローチャートから出現した答えを
淡々と答えにして回答していくだけの作業であって
主観的に「これはおかしい」と考えたら
ひっかけられるパズルみたいな試験だから
我流で考えたらダメな試験だからな。このレベルから上は。
大学の定期試験でもないし、運転免許の試験でもなく、
学者が学会で喋っていることがすぐ出題される
全問「学説」問題だからな。

惑わせるひっかけが多いから、
学者の誘導に惑わされずに
現場で自分で考えて理論を作らずに決まっている答えを答えにしていくのだぞ。
それでも満点は難しいのは、学説が入り乱れているし、通知もなくコロコロ変わるし
その学者が考えている説が答えになる試験だからだ。

直感で医師になれたら、頭いい人たちは誰も苦労してないのだ。
だが、実際はそうではないのだから、直感は通用しないし、ひっかけられると知っておけ。


歯科医師
111A73

【写真 


解説
口腔外科の問題は、交通事故外傷が本当に多い。

介達骨折によって、下顎頚部が骨折することも多いわけで、
下顎頚部(下顎頭/関節突起)という部位に関しては、
骨が細いからプレートや骨縫合はやりづらいから、
整復後は、線副子で顎間固定する。
つまり、直接その部位に観血手術をするのではなく、
全然関係ないように見える上下顎歯列に矯正のワイヤーみたいなのをつけて
その上下顎のワイヤーをぐるぐると巻いてしばって
2~3週間外さずに固定するが、
そうすると下顎頭のコツが、異常な硬化を起こして強直症みたいになってくるから、
ここは顎関節症のⅡ型の治療と同じように「開口訓練」が術後の選択になるので、開口訓練も答えになるので、注意しておくこと。

顎関節症Ⅱ型と関節突起骨折は、
「開口訓練」も治療法で選択することになる。

そこまで講義をして問題を見ていくと
今回は、俺の講義のやり方に反して
Cでは観血処置をして
Dではミニプレートを入れて整復固定したのだと分かるよな。
じゃあ、俺が間違っていたのかというとそうではなくて、
この場合、「術後に合併症が起きる」と書いてある。
後遺症のことだな。
では、こんなことをしたら、何が起きるのかという問題を選ぶ問題なのだ。

そうすると解剖学の問題になってくるが
下顎下縁部からのアプローチだと顔面神経に触れるよな。顔面神経の下顎下縁枝や頚枝を傷つけて
麻痺症状が起きやすいから、下顎下縁枝は下唇の運動を支配しているから、
下唇の運動障害と書いてあるbが答えになる。

このように論理で解いていくと
途中から解剖学の問題に切り替わるときが多い。
こうなると後は詰み手を考えていく段階になっているのだ。
もし、ここで解剖学を忘れている場合は、仕方がないから、
暗記していない分、正答率は下がるが、
顔面神経の走行を考えると
下唇の運動障害が選べるはずだ。
そこで、作問した教授が、ここまでの回答のプロセスにたどりついたら、
後は易しくしてくれているはずだと願って、
暗記した知識ではないから自信がない所、
顔面神経の支配領域と走行から考えて、
ここから切開を入れた場合に、損傷が起きる神経の走行から考えて
その下位には何があるかと考えて
一番真らしい下唇の運動障害を選ぶと
今回はあたり(推理が正しいということ)になっている。

(何にせよ(外科だから)その基礎となっている解剖学の本質を正しく理解して勉強してきたことが正解するためには大切だ。
しかし、この構造から導かれる機能は、他の科目にも大切なものだ。ゆえに、外科を習うことで得られる恩恵は大きい。)


さっきも書いたように
直感はあてにならないからな。
俺ら賢明な天使は、「直感を捨てろ」と最初から教育を受けて
論理的に論理的に正しい答えを導く論証教育を受けてきたのだ。
だから、正解できるのだ。
もし、直感でぶれるようなら、このレベルの問題なら正解なんてできないだろう。
司法試験でも難しい問題は、そうなのだが、
数学で、1つ1つの目に見えない答えのステップを丁寧に出していって
次の答えを出していって、遠く離れている答えを順々に「論理で正解する」のだ。
これが問題の解き方なのだ。

医師の試験は学問なのだ。
学力がものをいうが
それは暗記だけではないのだ。
暗記+論理によって
遠く離れた見えない答えにたどりつかないと正しい答えにならないのだ。

創傷をやっていると外傷のカテゴリーだから
顎骨骨折のカテゴリーと出会ってしまったので、少し解き方のさわりを教えたが
まだまだこんなものではないから、
口腔外科1科目にしても一朝一夕には身につかない。
初めて習う理論であれば、シナプス形成にかなり時間がかかるので、
思考して答えを出せるようになるためには、かなりの練習期間が必要になる。
医科でも歯科でも一朝一夕では習得できない解法スキルだし
5年まで勉強してきた学生が残り1年で完成させようとする理論体系なのだ。

俺が講義したからすぐに解けるようになっているのかもしれないが、
甘い考えは捨てて
我流も捨てて
医学者の教授クラスの解き方に従っていかないと
どこまでも迷走する試験だからな。

俺は忙しいから
全問題を解いてやりたいところだが、
今回はここまでにしておこう。
人を頼らず自分で勉強するのだぞ。
医師になってから教えてなんて誰にも言えないのだからな。
やり方を見たら自分で勉強して進化していく癖を身につけろよ。

このレベルの試験は、人間の能力の負担を超えているから
人間を超えていけ。
楽に受かりたかったら努力していって、難易度の適応していって
自己の脳みそを変えて進化していけ。
大学生レベルじゃ受からないからな。博士レベルにならないと。


医師国家試験も歯科医師国家試験も面白いから
全部を解いてやりたいが、
俺は、ここに全部を書いていくほど暇人ではないのでな。
1を知って10を知ることができる天才だったら、これだけで受かるから。
賢い奴だったら渡された本を読んでいくだけでハーバード大学にも受かるから。

今回は創傷治療と骨折治療は一緒に手術することが多いので
骨折治療の問題とかぶってしまったが、
こういう問題も出題されるから、骨折と創傷がセットになっていても解けるように。
それにはまず1つ1つの基本パターンが分かっていないといけない。

 

--
歯科医師
問題番号:116C-68
正答率:71.8%
ハイドロコロイド材で創面を被覆する目的はどれか。3つ選べ。

a 止血
b 乾燥防止
c 殺菌作用
d 再生上皮の保護
e 瘢痕形成の抑制


解説
b 湿性ドレッシングを行う理由は、創面の乾燥防止のため。よって〇。
d 上皮再生は、浸出液中で創面に沿ってスムーズに起きる。上皮再生を促進するためだから、dは〇。
e 上皮再生が促進され、再生上皮が保護されることによって、瘢痕形成が抑制されるといえるからeは〇。


歯科医師
116C69
75歳の女性。上顎左側第一大臼歯の動揺を主訴として来院した。
1か月前から徐々に動揺してきたという。
頸部に腫大したリンパ節は触れない。
初診時の口腔内写真(別冊No.26A)、エックス線画像(別冊No.26B)、CT(別冊No.26C)及び生検時のΗ-E染色病理組織像(別冊No.26D)を別に示す。

【歯科116C69-1・2・3】

適切な治療はどれか。1つ選べ。

a 抜歯
b 化学療法
c 抗菌薬投与
d 上顎部分切除
e レーザー照射


解説
これは、歯肉癌の切除範囲をどこまでにするかというだけの
簡単な問題だったので受験生の正答率は98.1%だった。

歯肉癌の範囲を写真から把握して、
1センチくらいセーフティマージンをとって
切除するわけだから
回答は、上顎部分切除になる。

上顎がんの場合、
どこまでの範囲を切除するかについては
1.歯肉切除
2.上顎骨部分切除
3.上顎亜全摘術…眼窩底のみを温存し、上顎骨を切除する。
4.上顎全摘術…上顎骨の全てを周囲組織も含めて切除する。
5.拡大上顎全摘術…上顎だけでなく、眼窩内容や頭蓋底も切除する。これは歯科医がやるから驚きだろ。俺は医師だと認めている。かなりの術式をやっているから、俺は口腔外科医に関しては医師だと思っている。口腔外科の奴らのことは。歯科医でありながら、医師のすることをしている不思議な人達だ。大学教授クラスのオペになると医師でも名医と呼ばれることをするからすごい奴らに進化する。かなりの技術を持っている。もったいないから医師免許と併合してやればいい。歯科のことは俺は馬鹿にしているが、口腔外科に関しては、隣接領域でもないぞ。正真正銘、医師の領域だぞ。歯科もそうだが、口腔外科は範囲が広く全身までやっているから。医師は不足しているより多い方がいいから、こういう7割の医師がやりたがらないことをやりたがっている奴らは医師にしてやった方がいい。救急は足りなくて、運ばれるまでに1時間かかるからな。俺は、こいつらだったら慣れているし、できると思うがな。大学病院の外科の医局にいたら、こいつら来てたぞ。一緒にやってるぞ。外科なら普通に全部やってたぞ。こいつら。一緒の医局に入局してた奴いたぞ。「え?歯科医師なの?お前ら汚い環境で治療してるよな。空気見てみろ。」と言われてたぞ。昔、もう何十年も前のことだが、俺が見てたら、そいつが患者の頚部を切ってもの凄く血しぶきが吹いていて、天井に届くまで人間の頚の血はぶわ~っと噴き出すのだが、それだけ血圧というものは凄いのだが、天上も血だらけで、そいつがびびってたがな。そういう奴が、もう歯学部の口腔外科の大学教授になってたわ。今は裁判例が出て区分けが厳しくなっているが、昔は歯科の口腔外科医が外科に入局して一緒にやっていたのだ。そいつらは外科のことを全部やっていたのだ。だから、その世代の奴らは、とんでもなくすごい治療をするからな。

 

--

外科の解法のポイント

 

(次の記事に続く)