高校三年の春。
文化祭で披露しようという話で、クラスメートとバンドを組んだ。
ギターが上手いやつがいた。
ドラムも、ベースもメンツは揃っていた。
僕はボーカルで場を盛り上げられる自信があった。
秋の文化祭に向け、暇なときはスタジオに入り、毎日音合わせをしていた。
曲はhideのROCKET DIVE
その頃クラスの間では、X JAPANだったり、L'Arc~en~Cielが流行っていた。
だから選曲もそっち方面。
別にみんなが知らなくても良い。
俺たちが楽しめればそれでいい。
仲間はみんなそういう気持ちだと思っていた。
文化祭本番前日のリハーサル。
他にもたくさんのバンドたちがリハーサルを行っていた。
世間の流行りの曲。
そして圧倒的な盛り上がり。
それに比べ、僕らは世代ではない曲。
僕らのバンドは完全に萎縮していた。
演奏するの止めよう。
誰かが言った。
止める?
ここまで頑張ったのに?
場が盛り上がらなくたって良い。
自分達が楽しめれば良いじゃないか。
だが、僕らは完全に心が折れていた。
誰もが思うだろう。
やってみなくちゃわからない。
でもその勇気がなかったんだ。
結局演奏を辞退した。
全校生徒の前で謝らされた。
土壇場でキャンセルしたからなのか、僕らのせいでリハーサルが遅れたからなのか。
どっちでもいい。
ただ臆病で逃げただけ。
自分がどうにも情けなくて人目も憚らず泣いた。
それ以来、バンドメンバーとはあまり口を聞かなくなった。
