「いつ急変するかわからないので、すぐに連絡つくようにだけしといてください」

そう言われて過ごす夜は長かった。

翌日、母は仕事。
私は出かける用事があったけど、予定を変更して家にいることにした。
しばらくすると母から電話が鳴った。

「一般病棟にうつれることになったから、お父さんの荷物を持って病院に行ってきて欲しい」

急いで病院へ向かった。
ちょうどベッドで一般病棟へうつるところだった。一応危機を脱したみたいだ。

「荷物持ってきたで!これ!」
そう声をかけ、手に引っ掛けてあげた。
「ありがとう」とゆっくりと言われた。
全身の力が抜けており、ぼーっとしていた。父じゃないみたいだった。
呂律も回っていないようで聞き取りにくいし、話し方もかなりゆっくり。話しづらそうな感じ。

私は部屋の中には入らせてもらえなかったので、詰所前でじゃあ帰るねと声をかけベッドが部屋へ向かった途端、急に大きい声で「荷物どこ!!!!」と叫び出した。
看護師に「荷物ありますよー」と声をかけられながら部屋へ入って行った。

お正月に入るので、面会は1月4日から。予約制だったので予約をとり帰宅。

父からメールが届くが何を書いているのかさっぱりわからない。母と毎日解読しながらメールを読んでいた。何十通とおかしなメールが毎日届いた。

いつも年末年始はご馳走を食べるという習慣が私の家ではあり、今年も同じように家族皆でご馳走を食べるはずだった。
今年は父がおせちやらお刺身やらをネットで注文してくれていた。
頼んでくれていたものが次々と家に届くが、虚しい気持ちになった。
いつもはすぐなくなる量だが、今年はいつまでたっても全然なくならなかった。
お正月気分には全くなれない。
今までで1番最悪な年末年始となった。

なんでこんなことになったんだろう。

ただそればっかり頭の中でぐるぐると考えてしまう日々。



つづく。