!注意!

本記事は、あくまで一つの考察に過ぎません。

一般に入手可能な情報をもとに、一個人の偏見や妄想、仮定を加えて記述された考察ですので、

事実と大幅に乖離する記載が含まれている可能性があります。

記載内容が事実と異なっていた場合でも、当方は何らの責任も負いませんので、予めご了承ください。

 

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さて、先日、まさに落ちるナイフのように下落する日鉄ソリューションズ株に手をだし大けがしている者です。

 

日鉄ソリューションズはシステム開発大手ですが、今や業務にITシステムは欠かせず、システム開発業者は引く手あまた。

そうした市場環境ではありながら、プログラマー等の人材が不足しており、受注があっても消化が進まない、そんな業界イメージです。

 

当社は一部報道で、循環取引(不正会計処理)にかかわっていたとされています。

今回はその循環取引について、調査・検討を行いましたので、その結果を残しておきたいと思います。

 

 

そもそも循環取引とは、製品等の売買を複数の会社が連続して行い、いくつかの会社を経由した後、元の売り主が買い戻すような取引のことです。

 

〈例〉

A:製品X50億円でB社に販売

→B:50億円で仕入れた製品X60億円でC社に販売

→C:60億円で仕入れた製品X70億円でA社に販売

以下、繰り返し。

実際に製品の動きは伴いません(伝票上だけの処理)

ですが、資金は実際に動くことが多いようです(そうしないと怪しすぎて会計監査等ですぐにバレる)

 

例えば、システム開発業者が開発したプログラムをサーバーとかの機器と一緒に納入するとき、機器は他の会社から仕入れることになります。

機器業者から納入先に直接納める場合、自社内で在庫や製品の動きが全くない状態というのが想定され、

そういう商慣習があれば、数十億円の取引が伝票だけのやりとりとして存在しても不思議ではありません。

(開発したプログラム自体も目に見えないものですので、余計に気づきにくくなるでしょう。)

そういう背景があるので、この業界はこうした不正会計が発生しやすい気づきにくい業界の一つと言われています。

 

循環取引を行う動機は主に2つです。

①資金繰り

例えば資金繰りに困ったA社が、B社に架空の売上を立て、B社から売上代金としてお金を受け取るもの

(B社の協力が必要です。実際には貸付と借入の関係ですが、借入が多いと決算書の見栄えが悪くなるので、売上にすればそれを隠せます)

資金繰りの目処がつけば(製品を買い戻すことにして)、お金を返します。

 

②業績の粉飾

売上や利益が(目標などに対して)不足している場合に架空の売上を立てて嵩増しするもの。

①のパターンであれば、売上と仕入れを同額計上すれば足りるので、利益に影響を与えない場合もあるでしょう。

ただし、このパターンでは、共謀している企業が永遠に製品を回し続けない限り、どこかで損をする企業が出てきます。

上の例で言えば、70億円で仕入れた製品XをA社がさらに販売することができなければ、最初の販売価格50億円との差額20億円分損をすることになります。

なので、それを避けるため永遠に回すことを前提にした仕組みなのですが、他社を通すたびに高騰していく価格に対して、決済ができなくなる可能性が出てきます。

その時がこの仕組みが破たんする時です。

 

基本的な知識はこんな感じです。

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以下、日鉄ソリューションズについてみていきましょう。

(ネットワンや東芝ITサービス、富士電機サービス、みずほリースについては、ここでは省略します。)

 

どれくらいの規模で、どれくらいの期間、不正会計が行われていたのか、というところが疑問かと思います。

一部報道では5年前くらいから、というような記載もありましたので、当社の決算(都合上、単独決算)7年分を抜粋しました。

(比較のため、同じくらいの規模の同業者SCSKの決算(単独決算)も参考につけています。)

7年で順調に成長しているように見えます。

利益率が概ね一定ですから、もし循環取引を行っていたとすれば、売上だけでなく利益も操作しているでしょう。

(売上と同額の売上原価を計上すれば、利益率が大きく下がるはず)

 

今回、ネットワンの販売する「機器」(当社の決算科目で言えば「材料費」に該当するでしょう。)が循環取引の対象となっているようですので、

売上原価の「材料費」に着目すると、直近2期で、大きく材料費の(売上に対する)比率が上がっているのがわかります。

高額の機器を合わせて納入するケースが増えているんだ、と言われればそれまでなのですが、

循環取引疑惑があるという前提で見ると怪しく見えてきます。

 

また、システム開発にはそれを作る人材が不可欠です。人を増やすことなく売上を伸ばすことは難しいでしょう。

労務費+(下請け企業等への)外注費の売上に対する比率を見ていくと、直近期は特に下落しています。

これもシステム開発が自動化したとか、人手のかからない機器販売が増えたとか言ってしまえば説明はつくのですが、

疑ってみれば、人手がそれほど増えていないのに、なんでそんなに売上が増えているの?と疑問が生じるわけです。

 

同業者のSCSKの決算書(「商品原価」の科目)にはそんなに大きな変動はありませんので、

少なくとも業界全体で機器販売が増えているという事実はないと思います。

 

そうすると目立って怪しいのは2018/3期と2019/3期の2期間かな、となるので、この部分を修正してみます。

直近2期の売上と材料費が架空計上されているとの仮定のもと、不自然がなくなるように決算書の数値を変更しました。

結果は記載の通りで、これくらいの売上利益水準が実態である可能性もあるのかなと思いました。

 

受注はあるけど、人手不足で売上は伸ばせないし、親会社(日本製鉄)向けのシステム開発については人件費の高騰を価格転嫁しにくい。

にも関わらず、親会社には成長や利益を求められる。やむを得ず不正取引…とか(完全な妄想です)。

 

 

いずれにせよ、現在、第三者委員会で調査中ですが、最悪これくらいの結果が出ることは想定が必要と思います。

売上が伸びていないという事実と、実際の利益はもう少し少ないという事実があれば、株価へどう影響するか。

 

例えば、当社が不正会計処理を発表する直前の株価(高値)は3935円(実績PER21.54倍)です。

修正後の一株利益(架空分の利益41億円から、税金30%程度を引いて算出)に対してPER21.54倍とすると、予想株価は3275円となります。

もちろん、今後の成長性を織り込んだ株価形成がなされているので、成長がもっと緩やかであることを勘案すると、この株価は上限と考えた方が良いでしょう。

 

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繰り返しになりますが、ここまでの議論は様々な仮定が存在しており、数値が正確である可能性は極めて低いです。反論の余地も多々あります。

私は上記の考察を踏まえて行動すると思いますが、皆様におかれましてはどうかご自身でご判断ください。

とりあえず、調査結果が出るまでは触れない方が良いように思いますけどね…。