主婦ときどきグラフィックデザイナー
オオイシユカコです。
話は3ヶ月前にさかのぼります。
2017年2月16日、
ディック・ブルーナさんの悲報を目にしたのは、Facebookのタイムラインに流れてきたニュースだった。
それで真っ先に、
小学校の卒業文集のことを思い出した。
私の書いた作文の題名は『miffy』。
内容は確か、
私はミッフィーが大好きで大人になってもこの気持ちは一生変わらないですっ♡!!!
みたいなことだったと思う。
将来の夢や小学校生活の思い出を綴る卒業文集だというのに、まったく無関係のミッフィーちゃんについて熱く書き記すという。
かなり世間とズレた子だった。
ミッフィーを知ったのは12歳年上の従姉妹がミッフィーコレクターだったからで、従姉妹には可愛がって(子守して)もらっていて、自然とミッフィーに親みを覚えていった。
彼女からは絵本やグッズもたくさん貰い受け、
今も息子たちの手元にそれはある。
でも実を言うと、
私が最も好きなディック・ブルーナ作品は、
ミッフィーではない。
“ネギ”である。
「うたこさんのおかいもの」という絵本の中に、ポロネギ(西洋ネギ?リーキというのかな…)を描いた絵があって、記憶が正しければ、それを初めてみたのは、母に連れて行ってもらった何処だか都内で開催されたディック・ブルーナ展だったと思う。
“ネギ”という題材ですらこんなにも可愛らしく描けるのか!
と度肝を抜かれ、
絶妙なバランス感にいたく感銘を受けた。
これが私のデザインの原点だったのかもしれない。
前にも述べたように世間とズレた小学生だった私には、好奇心を湧き立てるような夢も、これといってハートフルな思い出もなかったから、いわゆる大人の喜びそうな題材では作文の書きようがなかったのだ。
唯一図画工作には情熱を感じていて、図工の先生も私に理解を示してくれていたから、半ばこじ付けで、ディック・ブルーナ作品を見た時のときめきや感動を卒業文集にしたためることにしたのだろう。
小学生ユカコの奇行を、この歳になってようやく理解してやることが出来た。
今年は1月から3月にかけて、ピアノコンサートのプログラム制作に取り組んでいました。
ご依頼主からのご要望はざっくりとだけで、デザインに関してはお任せするといっていただけたのですが、目新しい発想も思い浮かばず…
期間もあまりないので考えがまとまらないまま手を進めましたが、毎度毎度構成が似通ってしまうなぁと、勉強不足と表現の幅の狭さにがっかりさせられ…
じっくり向き合う時間も満足にとれず更に焦る焦る。
そんな中、ひと息つこうと雑誌を手にとり眺めながら気がついたんです。
いつも似たり寄ったりになってしまう。
これこそが出そうとせずして溢れ出る
“ワタシ”
なのだから、気にしなくていいんだと。
ディック・ブルーナは、元々絵本作家ではなく本のデザイナー。
だから絵本だって1ページ1ページが正にデザインで、スペースの空け方にしても配色にしても、ふむふむ、とずっと見ていたくなる魅力がある。
そんなディック・ブルーナの魅力にココロ震える、自分の美的感覚を信じればいい。
私の感性なかなかのもんですよ〜♡
欠点が自信につながった瞬間の回想でした。
5月で10歳を迎えた愛犬、
ビーグルのBoris。
(実家住まい)
ブルーナ作品から名付けています。