現実論の展開から、四島一括ではなく、

段階解決が冷静な対露交渉・・・・

というのが、トレンドであるらしい。

(私からすると、南樺太まで含めた全千島返還を基準に

そこからの外交交渉であると思っていますが)


ハードルというものは下げるのではなく下がるものであって

でなければ、外交成果実利などというものは

最初から結果が見えてくるのではないかと。

原理原則を貫かなければ、

この一年で別物になったプーチンナショナリズムの前には

一部返還も一括返還も二面外交の前に埋没してしまうと思います。

実際にそうなのでしょう。


領土返還交渉 四島一括、修正へ ロ大統領に森元首相

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/67408.html

(北海道)



 森喜朗元首相がロシアのプーチン大統領と二十一日に行った会談で、北方領土問題について「(二○○一年の)イルクーツク声明を交渉の出発点とするべきだ」と表明していたことが二十二日、分かった。日本政府筋は、森氏の発言は、今後の日本側の方針として伝えられたとの見解を示した

 四島返還を目指す基本姿勢を堅持しつつも、小泉、安倍両政権の取った四島一括の帰属確認を求める方針では、ロシア側との溝が埋まらないと判断。歯舞、色丹両島の引き渡し方針を明記した日ソ共同宣言と、四島の帰属問題を解決する基本方針を示した東京宣言の双方を基盤とするイルクーツク声明に立ち返り、停滞する平和条約交渉の打開を図ろうとする意図とみられる。

 森元首相は、ロシアのサンクトペテルブルクで行われた会談で、イルクーツク声明から交渉を再出発するべきだとの姿勢を強調。プーチン大統領は「その通りと思う」として賛意を示した。

 イルクーツク声明は、プーチン大統領が二○○○年九月の森首相(当時)との首脳会談で、日ソ共同宣言の確認に踏み切ったのを受け、同宣言を「基本的な法的文書」と位置づけた。森政権は、イルクーツク声明を基礎に、歯舞、色丹二島の返還を実現し、その上で、国後、択捉両島の帰属問題の解決を図る「段階解決」を狙った。しかし、続く小泉政権は、四島一括の帰属確認を目指す原則路線に戻り、交渉は袋小路に陥った。

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さて、イルクーツク声明当時と言えば、

末次一郎先生が病に侵され、その翌年に逝去されています。

多数の保守系議員に薫陶を授け、指南役として活躍されていたのですが

自民党清和会も利権渦巻く政界論理の中で

なんとか暴走を留めていたのも、先生の「原理原則」の外交理念の影響といえます。

しかし、その箍が外れてしまった。


巨星墜つ──末次一郎先生逝去

「日本でただ一人の国士」 「歴代総理の指南役」

http://www.wufi.org.tw/jpn/munakata5.htm

(台湾独立建国聯盟)



 小渕首相の後を継いだ森喜朗首相が初めて衆議院議員に当選したとき、末次先生の友人だった父上が森さんをつれて先生を訪ね、「出来の悪い倅ですが、よろしく御指導をお願いします。」と頼んだという逸話も、永田町ではかなり有名らしい。森さんが首相になれたのも、末次先生の指導よろしきを得たせいかもしれない。末次先生は私利私欲がなく、党派からも超然としておられたから、戦後世代の保守政治家の多くが、末次先生を師と仰いだのも当然であつたと言えよう。


ほんとに出来の悪いことでありますが

それでも、少なくとも末次先生ご健在の内には

外交施策において、大きな原則乖離はせずに過ごしていたのかもしれない。


箍がはずれた清和会は、対米対中対露施策においても

何が「原理原則」であるのかを問わない組織になってしまったようです。


実際に先生の影響力は、その正論と絶対信念によるもので

単に政界フィクサーなどという数理基準の物差しで見るのは大間違いであります。

先生の運動の正道はあくまで正論であったので、

保守政治家の某かの原則逸脱は何ら言い訳の出来ない状態となる。


だからして、利権政治家は恐れたのであります。


何かと悪評の立つ清和筋ですが

理論理念の部分で抑えられていた、保守本流に巣食う利権屋が、

「末次一郎」という理念を失って、暴走しだしたというのが

大きなターニングポイントになっているのは間違いない。


で、保守政治家と言われるその真贋を見極める一つの要件でありますが

対露対応を見ればよくわかります。


四島一括の帰属確認を求める方針を

現実的対露戦略として「過去の遺物」扱いにしようとする意見もありますが

それこそ対露外交の暗黒面を矮小化する戦略無き外交です。



五省


こちらより拝借

http://blog.canpan.info/fukiura/archive/1339

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話は変わって、

WT紙発というのもなんですが


米情報機関 中国に傍受内容筒抜け 翻訳委託先がダミー会社

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071223-00000043-san-int

(Yahoo 産経)



米紙ワシントン・タイムズは21日、ハワイで中国の通信を傍受していた米国家安全保障局(NSA)の施設が、中国の情報機関が作ったダミー会社に業務を委託した結果、機密である監視対象や傍受内容が中国側に筒抜けになったと伝えた。業者への不十分な背景調査による大失態だが、米側の情報専門家は、軍や行政機関で急増する「民間への業務委託」を利用した工作ルートとして警戒を促している。

 複数の米政府筋の話として同紙が報じたところでは、情報を盗まれたのは、ホノルル近郊のクニアにあるNSAのアジア向け通信傍受施設だ。傍受記録の英訳をハワイの翻訳会社に委託したが、この会社が中国最大の情報機関である国家安全省が作ったダミー会社であることが発覚した。

 会社名や情報漏れの期間は報じられていない。事件は米海軍犯罪捜査局(NCIS)の対スパイ捜査から判明。数百万件もの傍受記録がこの会社に渡った結果、監視対象から米側の情報源まで中国側に把握された。

 米海軍の情報関係者は、この失態で情報収集に支障が出たほか、米側を混乱させるための「偽情報」を流す中国側の工作まで手助けした懸念を示した。NSAに対しては、国家安全省のほか、中国の軍事情報機関である総参謀2部も工作を担当している。

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なんとも・・・

何が悲しいといって、

正式な国家情報機関を持たない我が国は

このNSAの情報を元に国家安全保障に関する情報分析にあたるという悲劇^^


米国からしてこの有様・・・というのが本当なら

中露の我が国への情報戦略というものの実態が窺い知れます。

恐ろしい・・・。


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またまた話は変わって



小麦相場、史上最高の10ドル乗せ~懸念される世界需給のひっ迫

http://www.usfl.com/Daily/News/07/12/1219_026.asp?id=57523



 小麦相場が史上最高値を更新し、ついに一時1ブッシェル=10ドルを超えた。商品取引関係者は世界的な需給のひっ迫を懸念しており、国連は在庫縮小と価格高騰に苦しむ貧困国を助けるために緊急措置を講じるべきと呼びかけている。

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 1年前に比べると価格はほぼ2倍に高騰しており、ほかの穀物もトウモロコシが前年の約3ドルから4.39ドルに上昇しているほか、大豆は過去30年間で最高に、乳製品やコメの価格も大幅に上がっている。


 小麦相場高騰の理由としては、オーストラリアなど主要輸出国における悪天候、インドや中国などの発展途上国における急速な需要増加、米国の穀倉地帯でエタノール用のトウモロコシ栽培に充てる面積が増えていることなどが挙げられる。農務省(USDA)は米国の07年度小麦在庫は60年来最低のレベルに落ち込むと予想しており、世界の穀物在庫も過去30年で最もひっ迫している。


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投機動向は別にして

中長期の要因はバイオエタノールの問題だと思います。

実は、バイオエタノールが環境に優しいというのは怪しい話でありまして

二次的組成物(有害物質)の危険性や現実的エネルギー収支の問題、

また、石油代替としての非現実性、

何よりも

爆発的に食料需要が増加するといわれている中国の問題。


で国内施策の段階にあるインドの食料需要と

中国のそれを並べるのは、インドが可哀想な気もする。


どちらにしろ、中国に食料供給を頼っていると

いきなりストップになりますので

食料自給率問題と絡めて、もう少し長期的視野が欲しいものです。