彼岸花

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彼岸花
1958日本
小津安二郎
有馬稲子/佐分利信/田中絹代/久我美子/佐田啓二
第2便2本目は小津作品「彼岸花」。
「娘の結婚」の原作「晩春」を借りたかったのだけど、
在庫切れでしばらく借りられそうも無い。
しかしこれもまた、「娘の結婚」を題材にしたお話で、
聞く所に寄ると小津作品ではこの題材がかなり多いらしい。
同じことを何度も何度も描くというのは、なんとなく村上春樹の小説っぽくていい。
今度のお父さんは家族の中で、なんとなく孤立した存在。
女3人に囲まれてかしずかれてはいるが、なんとなく居場所が無い。
周りを見れば、どこの娘も奔放な時代。
そんな新時代の女たちを理解を持って眺め、時には応援しながらも、
一歩うちに入ると我が娘の恋愛にけちをつける。
複雑な父心といったところか。
一番印象に残っているシーンは、
家族旅行にきた(これも十八番だろうか)箱根で、
ボート遊びをする姉妹を眺めつつの、夫婦の会話。
父が「2度とあの頃に戻りたくない」という空襲の夜の思い出を、
「でも私は、あの頃が一番幸せだったわ」と微笑む妻。
時代が変わって、希薄になった家族が、
娘の結婚を機にまた少し変わっていくのだろう。