夫の不倫相手とわたしは何度も顔を合わせたことがあった。わたしも夫の会社のひとたちとのイベントには参加してたからね。


こんな形でウチに来てもらうとは思わなかったよ。


ウチが田舎で、彼女は来たこともないし、道が悪いのもあるから仕方ないんだけど、子どもが生まれて買った新車に夫と彼女が一緒に乗って来たのがかなりショックだった。

チャイルドシート、付いてるのよ。。。


冷静にならなければならないけど、さすがにわたしもこの時は大きな声を出して2人を責めたよ。


ずっと冷静でいたわたしが豹変したことに父が驚いていたくらい。


わたしだって、愛していたから結婚したんだしね。

しかたなくとか、たまたまとかで結婚したわけじゃない、それは夫も同じ。


でも、冷静さを欠いても、しねとかは言わなかったよ。

わたしが言い続けたのは なぜ だ。


わたしは離婚して欲しいと言ったじゃないか。

なぜわたしと離婚してくれなかったのか。

不倫がしたかったのか。

不倫のためにわたしを縛り付けたのか。

不倫女さんはわたしが離婚しないと言ってると聞かされていたの?

離婚してくれなかったのはこの男よ。

離婚して一緒になればいいだろう。

そうしていれば不倫女さんをここに呼ぶこともなかった。

なぜわたしを解放してくれなかったのか。

わたしがどんどん痩せて、しんでしまえばいいとでも思っていたのか。


夫はただただ謝り、女は終始機嫌悪そうに無言だった。


でも、やらなければならない仕事があった。


わたし「わたしは夫とやり直します。それにあたり、2人が不倫していたことを認めること、同じ会社にいるあなた方がもう接触しないことを約束することを書面にしてください」


夫「書面だなんて。。。約束するからやめてくれよ」


わたし「書面にできないなら今すぐ離婚届に署名してください」


夫「わかった。。。謝罪文を書くよ。。。」


不倫女「最初に誘って来たのは夫さんです。奥さんが家のこともなにもしなくてストレスが溜まっていると言っていました。夫さんはわたしのことを好きだと告白してくれました」


ダメージ与えたいのね。

まあ、ダメージよ。


でも、あんたがそういうこと言うたびに夫がヒヤヒヤしてんのわかんない?

夫はわたしとやり直すために来てるのよ。


夫は朝早くから夜遅くまで帰ってこなかったよ、毎日ね。土曜日も日曜日も。

パチンコしてない時はあなたとホテル行ってたんだから、よく考えたらわかるでしょ。


誰が家のことをして、子どもを育ててると思ってるの。身体中が痛くて、手をグーに握れないくらい腫れている時も、夫はゴミ捨てすらしなかったよ。


そんなこと、彼女に言う必要はない。

これはわたしと夫のことで、彼女が不倫したこととは一切関係ない。


夫が不倫した理由にはなっても、彼女が不倫した理由にはならない。

そこはあんたの不倫に関係ないんだよ。


よく不倫女が、不倫は夫婦の問題で自分は関係ないと言う。

違うね。不倫に不倫してない配偶者は関係ない。

不倫された側は不倫により受けた不利益を整理しなければならない。

夫婦の問題に不倫女は関係ない。

だが、わたしの夫と不倫した女を訴えることは、夫に関係ない。

わたしと不倫女の話なのよ。

逃げられると思うなよ。


わたし「そうですか。では、夫が誘って来たことも、あなたに告白したこともすべてくわしく書いてください。あなたが応じたことも。

誘ったのは夫ですが、毎回飲食代やホテル代を支払っていたのはあなたですよね。

夫はあなたになにも贈っていませんが、あなたは夫にバッグや名刺入れ、かなり高額なものをたくさんプレゼントしてくれていましたね。

どこのラブホテルで、どれくらいの頻度で肉体関係を持ったのか、ハッキリ書いてください。」


不倫女「。。。。」


夫は肉体関係を持つ頻度を月に1〜2回と書こうとしたが、不倫女が「2〜3回よ」と多めに訂正した。


ハイハイ真顔

わたしを傷つけたいんだろうけど、こちらとしては多く書いていただいた方が悪質さの証明になって助かりますわ。


きったないブレブレの丸字で


(今日の日付)

わたしこと不倫女は何年何月頃、夫さんに告白されてナントカ町のホテルで肉体関係を持ちました。

既婚者と知っていましたが好きになりました。

月に2〜3回肉体関係を持ちました。

すみませんでした。

不倫女


夫も似たようなものを書いた。


印鑑を持ってくるよう言っていたが、ふたりとも忘れたと言った。

家に来るよう言われた時点で、夫は女が訴えられることはわかっていた。

女にもそう伝えて連れて来た。

そして、この書面を書けば離婚を回避できるかもしれないことももちろん伝えていた。

独身の女は夫とわたしの離婚を望んでいるのに。

夫は完全に保身のために女を売ったのよ。


女の気持ちはどんなものだったろう。

そりゃ夫の目の前で、夫のしたことを暴露して、傷つくわたしを見たくもなるわな。


ふたりはまたわたしと夫が買った車に乗って帰って行った。

女の両親に電話して迎えに来てもらうってのも考えたけどね。

さすがにわたしもそこまで鬼じゃないんで。。。

いや、このあとわたしはまあまあの鬼になるんですけどね。

この日はもう充分だと思ったから。




わたしがふたりを呼んだのは、この書面を取るためだ。コレがあれば、初めから負ける訴訟ではないが、もう相手方に一切の反論を許さない証拠になる。

自筆で、不貞をハッキリ認める書面。

ただ、今はどうか知らんけど、わたしが離婚した当時は印鑑がかなり重要だった。

拇印ではダメだと弁護士に言われていた。


印鑑をわざと持ってこなかったのはせめてもの抵抗だろう。


まあ、わたしはこれものちのち利用するのだが。。。