国際運送では責任制限(Limitation)があり、重量(Weight)や個数(Package)により賠償上限額が決められております。このルールは、運送人にとって「貨物がどのようなモノなのか」「どのような価値があるのか」などわからないことが前提となっております。

一方で外航貨物保険では、保険金額(お支払い保険金上限)が“CIF x 110”とされております。責任制限に関わらず損害の補償を得られることができる為、国際輸送においてはほとんどの荷主が外航貨物保険に加入されております。

 

<海上運送人の責任制限>

ヘーグ・ヴィスビー・ルールによると、下記①②のいずれか高い方が責任制限金額となっております。

①666.67SDR x 梱包数(Package)

②2SDR x 重量(kg)

 

(例)40FCL、10Ton、CIF10,000,000円の機械の場合

責任制限:3,100,000円(①②の高い方)

①666.67SDR x 1(コンテナ) = 103,334円

②2SDR x 10,000kg = 20,000SDR = 3,100,000円

貨物保険金:10,000,000円 x 110% = 11,000,000

 

 

<航空運送人の責任制限>

モントリオール第四議定書・モントリオール条約によると、下記③の責任制限となっております。特に航空輸送では相手国の加盟する国際条約などによっても異なるため、事故時には注意が必要となっております。

③22SDR x 重量(kg) (2019年12月28日に改定され19SDR/Kgから変更)

 

(例)10Package、100kg、CIF10,000,000円の電子部品の場合

責任制限:③22SDR x 100kg = 2200SDR = 341,000

貨物保険金:10,000,000円 x 110% = 11,000,000

 

 

<SDR>

SDR(Special Drawing Rights)は、特別引出権といってIMF(国際通貨基金)が創設した国際準備資産単位です。米ドル・ユーロ・中国人民元・日本円・英国ポンドの5通貨バスケットで決められます。

(2021年10月1日現在:SDR=1.411680USD=約155円)