・モントリオール条約の責任制限額

国際航空運送のある規則の統一に関する条約(通称「モントリオール条約」)の貨物運送についての破壊、滅失、毀損又は延着の場合における運送人の責任制限額が、10年ぶりに改訂されました。

モントリオール条約が制定された1999年当初は、1キログラムあたり17SDR、2009年12月30日から

1キログラムあたり19SDR、そして今回2019年12月28日から1キログラムあたり22SDR(約3,300円)に

増額されました。インフレーション率等を加味し、おおよそ10年ごとに改訂があり、この規定により、責任制限限度額が時間の経過によって著しく低額になることを防いでいます。

 

・モントリオール条約の適用範囲

モントリオール条約は、2019年12月28日現在136カ国が批准しており、国際航空運送の世界標準と言うことができます。アメリカ、中国(香港及びマカオを含む)、イギリス、フランス他EU各国などの主要国が批准しているだけでなく、マレーシア、フィリピン、シンガポール及びインドなどの主な東南アジアの国々が批准していましたが、2017年にロシア、タイ並びにインドネシアが、2018年にベトナムが、2019年にスリランカが批准しました。

 

・貨物運送以外の責任制限

モントリオール条約は、旅客の死亡・傷害(無過失責任部分)、遅延、手荷物の破壊・滅失・毀損又は延着についても責任制限を定めており、それらも改訂されました。

 

・責任制限額の適用

モントリオール条約では、運送人は、運送契約について、この条約に規定する責任の限度より高い責任の限度を適用しないことを定めることができます。しかしながら特に旅客の死亡又は傷害については、責任制限の適用をしないとする約款を有する航空会社もあります。また、契約上の規定であっても、運送人の責任を免除し又はこの条約に規定する責任の限度より低い額の責任の限度額を定めるものは無効とされています。