ランクル100に乗るお客様から電話が鳴る
ディーゼル車にガソリンを入れたらどうなるの? ゆっくりとした言葉だから誰か知り合いの話かと思えば
自分のランクルにガソリンが入ったとの事
今はどこ?と聞けばスタンドでエンジンもかけていないとの返事
偶然、スタンドのアルバイトが入れていたメーターを見てガソリンだと気づいたらしい
ともかくギリギリセーフ
メカはいる? いない・・
リフトはあるよね? いや、無い
ジャッキは? 無い
ライトは? 無い
じゃあ、誰が燃料を抜くの? 僕しかいないわなぁ・・
燃料タンクはどこにあるの? と聞くお客様に、50Lも入ってる燃料を抜かすわけにもいかず
では今から用意して行きますねと伝えて、パジェロにぎっしり工具やジャッキ
ライト&延長ケーブルを積み込み、いざ出陣
同じランクル100でも最近のランクルは燃料ランクのドレンコックが無い
スタンドに到着して一番にタンクの底を見た、果たしてドレンボルトはあるのだろう?
のぞき込むとしっかりと付いていた、ラッキー☆
車の側にはなぜかおじいちゃんがいる
おじいちゃんが、良かったなぁとつぶやく
おじいちゃんが、僕の用意をしてきた工具を足で置いてる場所を変える
誰のおじちゃんかと聞けば、この店のオーナーらしい
なんと言う他人事な言い方に責任感はあるのかと思えてきて少しイラっとなる
でも相手はおじいちゃん、80歳ぐらいの元気そうな人だけど注意をするわけにもいかず・・
古びた田舎のスタンド
上を見たら今はもう使っていない給油口とホースが垂れ下がっているけど、もうミイラ化してる
見てはいけないモノを見た感じ・・
衣類の収納BOX3ヶに燃料を抜いた
最初はイエローな色
次はちょっと赤い色が混ざってる
最後は赤い色が目立つ燃料
軽油とガソリンは混ざらずにタンク内でいたことになる
乙4の危険物免許は持っているけど普段接することがないから忘れている
最後に手を洗おうとしていたら、他人事の発言をしていたおじいちゃんが近寄ってきて一言
ごくろうやった、良かったな・・ぐらいだろうと思っていたら
「今日の手間はウチが出すから請求してな」と言うおじいちゃん
そう言われれば、もう充分かなと思った
困った時はお互い様やから、また考えておくよと伝えて帰ってきた
作業をしているときも次々に入ってくるお客様
えーって驚くばかり、近くにはピットもあり照明も明るいスタンドがあるのに・・
最初は邪魔にならないと思って作業をしていたけど、思いっきり邪魔になってるランクル
お客様が入るお店、見た目ではないのだろうなと改めて思う
作業を終始手伝ってくれた(当たり前か・・)僕と同年代の女性
おじいちゃんの家に嫁いできたその人が話すおじいちゃんに話す言葉が優しい
見てて、聞いてて気持ちがいい
そんな人がいるお店だからサービス&設備のスタンドに対抗出来ているのだろう
いいお嫁さんが来てくれた幸せなおじいちゃんでした