・サウジとシェール、世界を揺らす。
地中深くの岩盤層を水圧で砕いて取り出すシェールオイル、当然一般の油田よりは採掘コストがかさむ。
米ではシェールオイルの新規開発投資が急減速、「リグ」と呼ばれる生産設備の稼働率が急低下、直近の稼働率は659基と1年前から6割減り、原油が1バレル100ドル前後だった昨年後半まで順調に増えていた生産は頭打ち。
シェールオイルの生産減速で40ドル台まで急落した原油相場は底入れ、足元は60ドル前後で推移。
原油相場の底入れは、産油国には追い風も、本心から喜んでいない国もある。
石油輸出国機構の盟主サウジで、昨年11月のOPEC総会で減産見送り、原油価格急落の引き金引く。
「原油安がコストが割高なシェールオイルへの投資阻止したのは間違いない」とサウジの政府関係者は、今月勝利宣言、「6/5の総会でも減産は決まらないだろう」とも。
OPECでもサウジでもなく、米国のシェールオイルが相場に応じて増減して需給調整。
新秩序下の原油市場では、シェールオイルの生産コストなどから相場の均衡点が「50~70ドル」となる見方が広がっている。
乱高下した原油相場がこの水準で安定することは、世界経済にとって+。
原油安が燃料費削減につながり業績を押し上げる、そんな期待が後退したのが海運株。
川崎汽船の株価は、原油相場が急落した昨年11月下旬~今年3月中旬まで23%上昇、原油相場が底入れした以降は14%安。
日本経済全体にとっては、原油が100→40ドル台に下がると日本企業の経常利益約10兆円押し上げるが、60ドルでは押し上げ効果は2兆円ほど減る。
今期は円安の恩恵が薄れる可能性が高いだけに、原油安という追い風が弱まるのは日本企業にとって痛手。
・相場の均衡点どこに?
有力シナリオ50~70ドル:シェール生産、損益分岐点70ドル。
上昇シナリオ70ドル以上:地政学リスクくすぶる火種。
下落シナリオ40ドル台:中国失速で投機資金流出。
・マネーの流れ変える原油価格。
底入れで債券買いに冷水、株・不動産には流入。
マクロ経済で見れば、原油高は物価高を招き、インフレにつながる。
・「追い風」「逆風」の銘柄は。
世界各国の積極的な金融緩和で長期金利がゼロ近くに向かって低下する局面では、債券の代替となる利回り商品として値動きが少なく配当利回りが高い銘柄が買われてきた。
原油価格の底入れで一変、米原油先物相場でWTIの期近物が6年ぶりの安値を付けた3月半ば境に、軟調だったエネルギーや機械関連の株価が急回復、原油価格と共に上昇しやすい傾向はエネルギー資源株や商社・卸売株、建設・資材株。
原油価格との連動性が特に高い国際石油帝石、石油資源開発、三菱ガス化などはPBR(株価純資産倍率)が解散価値示す1倍下回る。
一方、原油価格が上昇すると下落しやすい関係が強い銘柄には、森永乳業、沢井製薬、明治HDなど食品・医薬品が多く、春先まで機関投資家、個人投資家の双方から好んで買われたため、PBRやPERといった指標で割高な水準にある。
原油価格の底入れは、企業業績にも陰を落とし始め、野村証券が予想する2015年度の日本企業(金融除く)の経常増益率は、4月初め時点16.3%から足元では13.5%に縮小。
原油高の影響を受けやすい化学や鉄鋼といった業種の減速が目立つ。
原油高で上昇しやすい銘柄
第一生命、3月中旬からの騰落率22.2%
原油高で下落しやすい銘柄
ユニ・チャーム、3月中旬からの騰落率▲14.4%
・東京証券取引所、第1部上場する企業の時価総額が22日、591兆3007億円となり、バブル絶頂の1989年末の590兆9087億円超え過去最高。
・FRB20日公表、4/28~29日のFOMC議事要旨読んだ市場関係者の多くは、頭を抱えたに違いない。
議事要旨で市場の目を引いた記述が2点。
1つは・・
・発掘実力企業。北米で稼ぐ企業:エフテック、シャシーの技術、現地に浸透。
・通信教育「Z会」の増進会出版社(非上場)が19日、学習塾大手の栄光HD買収。
学習塾・予備校の国内市場規模は少子化の影響でここ10年頭打ちが続き、さらに2020年度には大学入試センター試験が廃止となり、生徒数の減少に拍車がかかるとの見方もある。
株式市場では「再建機運が高まる」との思惑から、関連銘柄を先回りして買う動きも出ている。
・LIXIL、相次ぐ買収で海外事業の強化図ってきたが、思わぬつまずき。
・会社がわかる。特集:資生堂、外部から初の社長「魚谷雅彦改革」じわり。
・円相場が1ドル=122円乗せうかがい、22日には一時1ドル=121円57銭と3/13以来2ヵ月ぶりの円安・ドル高水準になった。
円相場はここ1ヵ月・・
・株主還元強化した銘柄が相場を押し上げている。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均はじわり上昇するとの見方が市場に広がり、前週は2万円突破し、3日連続で年初来高値更新も足元で過熱感指摘する声は少ない。
3月期決算発表受け、業績の底堅さ確認した投資家の買いが入るとの期待があるためで、ITバブル期の高値である2000年4/12の終値2万0833円が意識され始めた。
日経平均の今後の動きの参考になりそうなのが・・
・Wall Street:今週の米株式相場は上値の重い展開か?
ダウは先週前半に連日最高値更新したが、週後半にかけて伸び悩み、週間で0.2%の小幅下落となった。
高値警戒感に加えて・・
・ランキング:今期配当性向が前年実績比高まる企業ランキング。
時価総額1000億円以上3月決算企業対象。
1位・・
5位青山商事39 72.8、純利益の1.3倍株主還元方針。
18位ヤクルト本社13.6 30.1、創業80周年の記念配実施。
35位横河電機9.2 27.1、構造改革一巡、8円増配。
・食糧革命、押し寄せるマネー。人口100億人時代に備えよ。
食を巡り、国境越えた買収が相次ぎ、2060年代には世界の人口は100億人に達する見通しで、需要増というビッグチャンスは目の前にある。
人工的につくった卵や肉、工業品のように野菜を作る植物工場。
遺伝子組み換え種子で世界最大の米モンサントが今大勝負に出、種子大手のスイス企業、シンジェンタに総額約415億スイスフラン(約5兆4400億円)の巨額買収提案。
社はそれぞれ売上高が150億ドル(約1兆8000億円)強で、統合すれば独バイエルなど競合を大きく突き放す圧倒的な存在なると見られたが、シンジェンタのミッシェル・デュマレ会長の態度はつれなく。
モンサント「シンジェンタの農薬と、モンサントの種子の融合で、技術革新が生まれる。農業の新たな解決策を提供できる」。
日本勢は商社が活発。
三菱商事、2013年にブラジル穀物大手セアグロ社、14年にサケ養殖・加工世界3位のノルウェー・セルマック買収。
三井物産11年、ブラジルで大規模農園運営するマルチグレイン子会社化し、伊藤忠は14年にブラジル穀物会社ナチュラーレに50%出資。
・「食糧革命」で成長が期待できる主な国内銘柄
JFE・HD、天然ガスや温泉などが熱源の植物工場をロシアやモンゴルなど寒冷地に販売。
日本農薬、インドの農業メーカーなど海外企業のM&A加速。
富士通、クラウド技術で栽培の効率化支援。
住友化、微生物技術使った「生物農薬」。
クボタ、全地球測位システム(GPS)使った自動運転トラクター。
三菱ケミカルHD、無農薬野菜を自動栽培するシステムを中国で販売。
東レ、特殊繊維用いた砂漠の緑化資材を開発。
井関、センサー測定で肥料散布管理する田植え機など。
サカタのタネ、病虫害に強い野菜種子など開発、アフリカにも販路。
カゴメ、トマト種の保有数は世界トップ級、国内で大規模農園運営。
(日経ヴェリタス)