殺すためのトラップ。
害獣や害虫のためではなく、コレクターに売る標本用に販売するための。
害があるなら殺していいのかというと、議論の方向が変わってくるが……。
奄美群島国立公園に指定されている奄美大島の山中でこの夏、昆虫を集めて殺す「捕殺型」トラップが複数見つかっていたことが分かった。
環境省によると、現場は自然公園法で全ての動植物の採取が禁止されている特別保護地区。標本目的とみられ、採取が禁止されている希少種アマミシカクワガタを含む約100匹が死んでいた。
同省奄美群島国立公園管理事務所は奄美署へ捜査を依頼するとともに「関係機関と監視強化を図る」としている。
(引用元 http://www.nankainn.com/a-and-p/国立公園内に違法トラップ%E3%80%80奄美大島)
100匹という数からして、単なる昆虫好きやコレクターではなく、売買を目的とする何者かの手によるものだと感じるが…。
まさかと思い、メルカリで検索してみたところ、『採集禁止 レア種』と紹介されたアマミシカクワガタのメスが出品されているのを見つけた。
出品は10ヶ月前で、送料込みの800円で取引終了。
飼っていたが、寿命で死んでしまった為、出品したとのこと。
希少種なのでお墓は作らず、標本用に売って、金にする。そういうことか。だとしたら、私が知る『昆虫好き』とは種類が違いそうだ。
産地:鹿児島県 奄美大島 笠利
累代:F3
条例で採集が禁止される前に入手していたものか、採取を禁止されていない地域で入手したものを繁殖させたか、なのだろうか。
違法ではないが、「未展足の♂単品」「壊れやすいもの」「輸送中に壊れても」という文言に、どうしても嫌悪感を抱いてしまう。
今回のトラップもそうなのだが、命に値段をつけて売買することへの議論は、大切だが今は脇に置いておくとして、
生きているものを、育てるために売買するのではなく
生きているものを、標本にするために殺して売買する
このことへの気持ち悪さや憤りは、条例がどうとか、絶滅がどうとかいう話は関係なく湧き上がってくる。
この取引は、違法性も、今回の事件との直接の関わりもないが、
『死んだ昆虫が、標本用に取引されている』
という事実は確認できる。
それでは、ヤフオクはどうだろう。
驚いたことに、こちらでは生体が取引されていた。
奄美大島産の、オスとメスが、つがいで6,750円。また、メスだけで1,800円の出品もある。
羽化日が書かれているため、採取を禁止されていない地域で繁殖させたものを、生きたまま出品したのだろう。
「国内唯一のシカクワガタで、近年採集禁止なってしまった貴重種です」
「雌雄共に完品です」
「即ブリOK(すぐに交尾や産卵ができるという意味)」
「死着保障はありません」
という文言が、やはり不快だ。
今回のトラップは、今年の7月上旬に、特別保護地区内で見つかったという。
トラップを木の枝にくくりつけ、ライトで虫を集めて、薬品で満たした下部の容器に落とすもので、
発見した地元の住人が通報した、とのこと。トラップを仕掛ける怪しい人物を見かけた、という通報もあったようだ。
地域の人達でパトロールをして、みんなで守っていくということだが、昆虫が好きな人達にはぜひ、『買わない』という守り方があることも、知ってもらいたいと思う。
