物騒な事件が増えている。暑くなってきたからだろうか。
銃器の所持が認められていない日本では、そうしようと思った時に取る手段が、より直接的なものになる。
毒物や薬物よりも、落とす、殴る、刺す、絞める。どれも、手応えのない銃よりも、手に感覚の残る手段だ。知りたくもない。
書くだけで怖いし気分も悪いが、一線を越えるような人達は、そうは思わないのだろうか。
男性ならまだしも、年若い女性がそこに至る背景には、何があるのだろう……。
交際相手の男性(28)を包丁で刺したとして、大阪府警平野署は5月31日、殺人未遂容疑で、大阪市住之江区に住む高校生の少女(17)を現行犯逮捕した。
「死ぬかもしれないと思って刺した」
と供述し、容疑を認めている。
逮捕容疑は、31日午後8時55分ごろ、同市平野区喜連西のマンション一室で、交際相手の男性の腰を包丁(刃渡り約20センチ)で刺したとしている。男性は救急搬送されたが、命に別条はないとみられる。
府警平野署によると、現場は男性の自宅で、少女は
「けんかになって刺した」
と供述。同署は2人で口論となった後、少女が室内にあった包丁で背後から男性を刺したとみており、詳しい動機などを調べる。
(引用元 https://www.sankei.com/smp/west/news/190601/wst1906010005-s1.html)
「死ぬかもしれないと思って刺した」
というのは、死んでもいい、と思っていたということだろうか。
刺したら相手がどうなるか、刺した自分がどうなるかを、考えているようで放棄している。そうでなければ刺せないだろう。
「けんかになって刺した」
というのは、あまりに幼いが、犯した罪は大人以上だ。
だが、まだ17歳。女の子の一番楽しい時期を、彼女はこれから、どう過ごすのだろう。
28歳の男と出会い交際している時点で、少なくとも親の目からは、遠く離れている。闇の深さが底知れない。
だが……
20歳の知人男性を刃物で刺し、重傷を負わせたとして、5月23日、殺人未遂の疑いで逮捕された高岡由佳容疑者(21)。
犯行後、警察署から移送される際には、なぜか笑みを浮かべていた。
調べに対し
「好きで好きで仕方なかった」
などと、男性への強い執着を口にしている高岡容疑者。
その詳しい供述により、エスカレートしていく愛情の暴走過程が浮かび上がってきた。
(引用元 https://sp.fnn.jp/posts/00046569HDK/201905301923_livenewsit_HDK)
闇の深さという意味では、『彼氏』ではなく『知人』を刺した、こちらの事件の方が怖い。FNNの「Live News it!」5月30日の放送から経緯をまとめると、こうだ。
2018年10月、高岡容疑者が当時店長を務めていた飲食店を男性が訪れた。それが出会いだ。
その後、高岡容疑者自身も男性が働く飲食店を、客として訪れるようになった。
事件発生の数日前から、現場となった新宿区の歌舞伎町近くのマンションで、同居を開始。この時、事件に使用された包丁も購入した。
「男性との新生活のために買いそろえたものの1つ」
その時の気持ちを思い出して刺さない人と、思い出したからこそ刺す人。高岡容疑者は、後者だったのだろうか。
事件当日、高岡容疑者は男性の帰りを、部屋で待っていた。だが、男性はなかなか帰ってこなかった。
「悲しくて死にたくなり、どうしたら好きでいてくれるか考えた。
一緒にいるためには殺すしかないと思ったので殺そうと思った。
死んでくれたら「好き」「一緒にいよう」という言葉が現実になると思った」
帰りを待つうちに、そう考えるようになった高岡容疑者。
それを知らずに帰宅した男性。
午後4時前、高岡容疑者は、知人の男性を刺すに至った。
「相手を殺して私も死のうと思い、おなかのあたりを包丁で刺しました」
凶器となった包丁は、寝室で発見されている。
「刺した直後に男性が好きと言ってくれた」
だが、男性は部屋から逃れ、エレベーターに乗った。
「エレベーターの中は壁とか全部血だらけで、3階と4階のボタンの所に血がついていました。血のついた手で触ったような…」
(同じマンションの住人)
男性はそのまま、マンションの1階の入り口付近まで逃げた。
男性を追う高岡容疑者は、
「どこにも行ってほしくなかったので外階段で下におりました」
そしてなぜか、倒れている男性のそばに座る。
「刺し殺して、その死んでいく様子を見届けた後に死ぬつもりだったので119番通報はしませんでした」
駆け付けた警察官に現行犯で逮捕されるまで、そのまま倒れた男性のそばに座っていたという。
逮捕直後、警察官に囲まれて連行される高岡容疑者の両足は、男性の血で染まっていた。
刺された男性は一時意識不明の重体となったものの、一命を取り留め現在も入院している。
移送時の車内を撮影した映像の中で、高岡容疑者は笑顔を見せていた。
この状況で、何を思い、何を話せば笑顔になるのだろう。
不可解なのは、同居をしていながら、男性が『彼氏』や『交際相手』ではなく、『知人』と報道されていることだ。そういう微妙さがあっての事件なのだろうか。
血を流す男性の死を『見届けるため』に、隣に座って『その時』を待つところに、壮絶さを感じる。猟奇や偏執狂とは違う歪み。
高岡容疑者本人に聞いたら、『愛』と答えるのだろうか。
冒頭の女子高生のケースにも言えるが、一線を超えてしまうような女性だから、喧嘩にもなるし、帰ってこなくもなる…というのは、男の側の理論だろうか……。