この春から営業職に異動になった友人の、元気がない。
「接待ゴルフで、お客さんが池ポチャしてさ…。
なんて言ったらいいかわかんなくて黙ってたら、気のきいた言葉ひとつかけらんねーのかって、上司に怒られてさ…。
どうしろと…?」
ゴルフあるあるだった。
私自身は、ゴルフはうまくもないし、詳しくもない。
ただ、接待ゴルフにやたらと呼ばれた時期があって、 上司だのお客様だのを楽しませる為に、キャディーさん達の声掛けに、聞き耳を立てたりはしていたので、
「使えそうな言い回しなら、いくつか知ってるよ」
「マジで! 助けて!」
…と、いうことで、色々思い出してきたので、ついでにここにまとめておく。
ちなみに、私が接待するのは、男性ばかりだったので、ここでの接待対象は、男性を想定しておく。
お偉方がミスショットをした。
空気が凍りつく。
誰が口火を切るのか。
そんな時は…!
ミスをすると、少なからず恥ずかしい。
地位があればあるほど。
年齢が高ければ高いほど。
だから、ミスした理由を男らしさ、即ち『攻めようという気持ち』のせいにして、男のプライドをくすぐる方法がある。
「あ、欲張っちゃいました?」
欲張りというのは、男にとって、経営者にとって、褒め言葉だ。
勝ちを掴もうとする貪欲さ故のミス。
あらやだ、カッコイイわぁ……。
同じ系統で、
「攻めますね〜! 度胸あるなあ!」
なんてのもある。
これは、飛ばしすぎた時や、カップを過ぎてしまった時なんかに使える。
どちらも笑顔で言うのがポイント。
ミスを前向きに受け止めている事を、笑顔で示すのだ。
そして、更に大切なポイントは、深追いしない事。
しつこく褒めたり盛り上げたりすると、途端に嘘っぽくなり、媚びているように聞こえてくる。
「いやいや…」
と、相手が照れたり、饒舌に語り出したら成功。
何も言われなかったら、タイプが違う。
撤退して、微笑みながらプレーに戻ろう。
ミスをしたのは、あなたのせいじゃない。
これじゃ、誰でもミスりますよ。
……とは言えないので、これを、違う言葉に置き換える方法もある。
「そこからは難しい…、よく打てましたね」
場所が悪いせいにして、そこからボールを動かしただけでも感心する。
そう、褒めて媚びるのではなく、感心する。
そうして、相手が、
「そりゃ打てるよ。けどさ…」
と、ミスの言い訳をしやすい状況を作ってやるのだ。
別にすごくない、みたいな言い方をされても、
「え、そうなんですか?」
わかんないから、すごいと思っちゃいました、というポーズでいい。
あとは、
「もうちょっと手前からだったらなあ…。難しかったですね」
打ちやすい条件が整わなかったせいにして、自分でもきっと失敗してた、ここでミスるのは仕方がないと、フォローに聞こえないようにフォローする。
慰めるのではなく。
ただただ、状況を分析するように言う。
考えながら話している風に。
そしてここでも、深追いしない。
さっさとプレーに戻る。
流せ……!
気まずい……!
そんな時、距離をおいてクールダウンするのも、テクニックのうち。
ただ、だからといって、
「あ〜、ミスった…」
「ですねw トイレ行ってきますwww」
なんて、できるわけがない。
こういう時の離れ方は、
池ポチャ
「拾えるかな…? 見てきますねっ」
バンカー
「バンカーに入った…ような気がします。見てきますねっ」
はっきりしない時は、
「あのへんに落ちましたね。見てきますっ」
こうして、『ミスした俺の為に走ってくれる奴』になるべく、小走りにボールを探しに行って、
「ここでした〜! 打てそうですよ!」
「ここでした! 一回出しましょうか」
と、笑顔で言っておけばいい。
何かしてもらって、笑顔を向けられると、相手は「ありがとう」と、言うか、思うかしかなくなる。
走る時は、あくまでも軽快に、小走りに。
全力疾走だと変な奴だし、芝が傷む。
ダラダラ歩くのは、見ている側にはもどかしい。
軽快に…
軽快に…
爽やかに…!
ギスった…
やばい…なんか言わなきゃ…
そういう時は、
褒めるよりも、聞く。
相手がこだわっていそうな点に触れて、教えてもらう。
「ウェア、かっこいいですよね。どうやって選んでるんですか?」
「◯◯さんみたいに飛ばしたいんですけど、どんな練習してるんですか?」
「色々冒険してみたいんですけど、よかったゴルフ場って、どこでした?」
得意分野を大いに語らせ、相づちを入れたり、
「ちょっとメモしていいですか?」
と、聞く姿勢を見せながら、しっかりと食いついて(いるように見せながら)聞く。
だいたいはこれで、空気がゆるむ。
NGなのは、
「もったいない」
「おしい」
んなこと、わかってんだよ!と、なる、
「ドンマイです」
は、目上には使わない。
上から目線にも、バカにしているようにも聞こえる。
接待要員だからといって、ゴルフについて語ったり、見え見えのご機嫌取りをしたりする必要はない。
自然に…ただ自然に、
「あなたとゴルフするの、楽しい!」
と、伝えるのだ。
たとえ楽しくなくても……!
