2014年9月7日
中日春秋
「お月さまへ連れてってよ。お星さまの間で遊ばせてよ」。ジャズのスタンダード曲「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は一九五四年の発表でちょうど六十年になる。大勢の演奏家たちが録音しているが、最も人気があるのは、軽快で男っぽいフランク・シナトラのバージョン(六四年)だろう
▼この曲といえば、シナトラとなったのには、ちょっとした歴史的背景がある。シナトラの歌が月の軌道上で初めてかかった曲ということになっているためである
▼六九年五月、アポロ10号の船内で宇宙飛行士たちが、この曲をカセットテープで流して聞いたという。一種の洒落(しゃれ)による選曲だろうが、以来、月といえば、シナトラのこの曲で日本でいえば、童謡「うさぎ」を連想させるのに似ている
▼八日は「中秋の名月」だが、今年は特別なのだそうだ。第一にお出ましが早い。例年は九月中旬から十月初旬だが、暦の関係で三十八年ぶりの早さという
▼しかも十一月五日に「後の十三夜」が出現し、八日の「十五夜」、十月六日の「十三夜」と合わせて三たびも「名月」がある。前回の「後の十三夜」は百七十一年前というから、今の世の人には初めて見る月となる
▼忙しく、気鬱(きうつ)な世の中に心が痛くなる出来事。人類を憐(あわ)れんで誰かが特別な月をあつらえてくれたか。月光に嫌なことを忘れ、「お月さまへ連れてって」もらえたら。
中日春秋
「お月さまへ連れてってよ。お星さまの間で遊ばせてよ」。ジャズのスタンダード曲「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は一九五四年の発表でちょうど六十年になる。大勢の演奏家たちが録音しているが、最も人気があるのは、軽快で男っぽいフランク・シナトラのバージョン(六四年)だろう
▼この曲といえば、シナトラとなったのには、ちょっとした歴史的背景がある。シナトラの歌が月の軌道上で初めてかかった曲ということになっているためである
▼六九年五月、アポロ10号の船内で宇宙飛行士たちが、この曲をカセットテープで流して聞いたという。一種の洒落(しゃれ)による選曲だろうが、以来、月といえば、シナトラのこの曲で日本でいえば、童謡「うさぎ」を連想させるのに似ている
▼八日は「中秋の名月」だが、今年は特別なのだそうだ。第一にお出ましが早い。例年は九月中旬から十月初旬だが、暦の関係で三十八年ぶりの早さという
▼しかも十一月五日に「後の十三夜」が出現し、八日の「十五夜」、十月六日の「十三夜」と合わせて三たびも「名月」がある。前回の「後の十三夜」は百七十一年前というから、今の世の人には初めて見る月となる
▼忙しく、気鬱(きうつ)な世の中に心が痛くなる出来事。人類を憐(あわ)れんで誰かが特別な月をあつらえてくれたか。月光に嫌なことを忘れ、「お月さまへ連れてって」もらえたら。