中日春秋
2014年8月3日
一九六〇(昭和三十五)年、週末のたびに、百貨店には黒いビニール人形を求め長い行列ができたという。「木登りウィンキー」が正式名だが、もちろん「ダッコちゃん」
▼百貨店の行列には整理券を高く売るダフ屋やそれを取り締まる警官が出たというから、大騒ぎである。佐藤ビニール工業所(現タカラトミー)が生産したのは二百四十万個だったが、大量の偽物も製造され、合わせて約一千万個の黒い人形が出回ったという
▼生産がなかなか追いつかなかった。従業員が子どもに一個買いたいと願い出たが、当時の社長は「朝から並んでいるお客さまに一個でも買ってもらうため、われわれが先に買うわけにはいかない」。そんなエピソードも残っている
▼子が欲しいのなら猛暑も行列も気にならぬ親のならいは今も昔も変わらないようだ。小学生に人気の「妖怪ウォッチ」。関連玩具が二日発売され、早朝から家電量販店などに行列ができた。暑い中、子のために並んだ人にはご同情申し上げる
▼親は子を喜ばせたい。「ダッコちゃん」にせよ、親の方にも子どもの時、親が行列してでも何かを買ってきてくれた記憶があるもので、今度は自分がという気持ちになるものなのか
▼玩具を手にできた子どもへ。行列してくれた人への感謝を忘れずに。もう一つ。世の中にはどんなに欲しくても、手にできない子がいることも。
2014年8月3日
一九六〇(昭和三十五)年、週末のたびに、百貨店には黒いビニール人形を求め長い行列ができたという。「木登りウィンキー」が正式名だが、もちろん「ダッコちゃん」
▼百貨店の行列には整理券を高く売るダフ屋やそれを取り締まる警官が出たというから、大騒ぎである。佐藤ビニール工業所(現タカラトミー)が生産したのは二百四十万個だったが、大量の偽物も製造され、合わせて約一千万個の黒い人形が出回ったという
▼生産がなかなか追いつかなかった。従業員が子どもに一個買いたいと願い出たが、当時の社長は「朝から並んでいるお客さまに一個でも買ってもらうため、われわれが先に買うわけにはいかない」。そんなエピソードも残っている
▼子が欲しいのなら猛暑も行列も気にならぬ親のならいは今も昔も変わらないようだ。小学生に人気の「妖怪ウォッチ」。関連玩具が二日発売され、早朝から家電量販店などに行列ができた。暑い中、子のために並んだ人にはご同情申し上げる
▼親は子を喜ばせたい。「ダッコちゃん」にせよ、親の方にも子どもの時、親が行列してでも何かを買ってきてくれた記憶があるもので、今度は自分がという気持ちになるものなのか
▼玩具を手にできた子どもへ。行列してくれた人への感謝を忘れずに。もう一つ。世の中にはどんなに欲しくても、手にできない子がいることも。